19 / 25
チャプター05-04
しおりを挟む
惑星マシスは、夜を迎えていた。人造人間の製造が完成目前となり、カッツィ団にとって、期待できる毎日を迎えられそうだった。
ランスは、人造人間の完成に恐怖を抱きながら持ち場に立ち、ジャンの動きを見ていた。
ジャンは、この製造室にある、魔力を電力へと変換する台座に立つと、両手で持つ一本の長い杖を身体の前に立てて、杖と全身を緑色の光で包んだ。さらなる魔力を込めて、周囲へ稲妻を飛ばすと、それを受け止めた台座が電力に変換し、人造人間のレッグスへと送り込まれた。
レッグスは、すでに円柱型の水槽から出されており、魔術師とは違う衣装のロングコートを着せて、ガラス張りのベッドで寝かせられていた。そんな彼に、電力と情報が送られ、起動されようとしていた。
ジャン以外にも、ランスやほかの魔術師も台座に立ち、魔力を機械へと流し込んだ。
しばらくすると、ランスは異変に気づいた。過剰な熱量の蓄積により、周辺機器が爆発しそうであると。そこで気転を効かせて、皆には気づかれないように、防御魔法を強く展開すると、自分を球体光壁で包んだ。
そして、予想どおりのことが起きた。周辺の機器や、人造人間が寝るベッドが大爆発を起こした。砂埃も舞い、天井素材や壁にも亀裂が入り、爆風によって魔術師達が壁に叩きつけられるように吹き飛んでしまった。
ランスも、衝撃に耐えきれず、台座から壁際へと吹き飛ばされてしまった。
静寂が始まると、見えているのは、機器から飛び出る火花と、ジャンの光る杖だった。そして、なにもかもが破壊されたのか、ランスの目の前には、機械の部品が散乱しており、光る石も落ちていた。
レッグスが寝かされていたベッドのあった中央は、砂埃でなにも見えなかった。
「やったか?」魔術師の一人が立ち上がり、辺りを見た。
ランスは、あえて立ち上がることはせず、立てないふりをして、様子を伺うことにした。
「レッグス、聞こえるか?」ジャンが、煙に包まれた中央へ話していた。
すると、中央で魔杖の緑色の光が出現した。すぐさま、その光る杖は、ランスの傍に位置する魔術師に向かって移動を開始した。そんな砂埃から飛び出してきたのは、あのレッグスと思われる人造人間だった。
レッグスは、魔杖を力ずくで振りまわすと、魔術師の胸部に魔杖を突き刺した。
危険を察知したほかの魔術師も杖を光らせて魔杖を展開すると、レッグスの魔杖を弾こうとした。だが、レッグスは完成直後であっても巧みな棒術を習得しているらしく、いとも簡単に魔術師の魔杖を何度も弾き、稲妻を発射して、相手を壁にめり込ませていた。
一瞬の出来事で二人の魔術師が死亡し、それを目の当たりにしたほかの魔術師は、逃げようと走り出した。
そこで、ジャンが煙のなかから飛び出し、レッグスが確認できる距離まで詰め寄ると、彼へ稲妻を発射していた。レッグスの全身に稲妻が命中して捕獲され、彼の動きはここで止まった。
「静まれ!」ジャンも飛び抜けた魔力の持ち主で、レッグスの動きを止めることは簡単だったようだ。魔界からの独立を目論むだけあって、初めて起きる問題に対しても冷静に対応できていた。「もう、大丈夫だ。皆、抑えつけろ」
ジャンのその合図に、ほかの魔術師が落ち着きを取り戻し、魔力の低い稲妻を発射して、レッグスを固定していた。
ランスは、とんでもない兵器を完成させてしまった罪悪感と恐怖に、言葉を失ってしまった。
もし、惑星シストンの警備隊がこちらを救いにこの惑星に来ようものなら、あのレッグスという殺人兵器に皆が殺されてしまう可能性だってあった。ジャンに抑えつけられたとはいえ、レッグスは、一般魔術師では手に負えないほどの魔力を持っていた。
「これは面白い」ジャンは、レッグスの強さに嬉しそうだった。「私が改めて洗脳措置をしておく。指定の場所まで連れていけ。……そこのお前。ランスを監獄に戻せ」
ランスは、人造人間の完成に恐怖を抱きながら持ち場に立ち、ジャンの動きを見ていた。
ジャンは、この製造室にある、魔力を電力へと変換する台座に立つと、両手で持つ一本の長い杖を身体の前に立てて、杖と全身を緑色の光で包んだ。さらなる魔力を込めて、周囲へ稲妻を飛ばすと、それを受け止めた台座が電力に変換し、人造人間のレッグスへと送り込まれた。
レッグスは、すでに円柱型の水槽から出されており、魔術師とは違う衣装のロングコートを着せて、ガラス張りのベッドで寝かせられていた。そんな彼に、電力と情報が送られ、起動されようとしていた。
ジャン以外にも、ランスやほかの魔術師も台座に立ち、魔力を機械へと流し込んだ。
しばらくすると、ランスは異変に気づいた。過剰な熱量の蓄積により、周辺機器が爆発しそうであると。そこで気転を効かせて、皆には気づかれないように、防御魔法を強く展開すると、自分を球体光壁で包んだ。
そして、予想どおりのことが起きた。周辺の機器や、人造人間が寝るベッドが大爆発を起こした。砂埃も舞い、天井素材や壁にも亀裂が入り、爆風によって魔術師達が壁に叩きつけられるように吹き飛んでしまった。
ランスも、衝撃に耐えきれず、台座から壁際へと吹き飛ばされてしまった。
静寂が始まると、見えているのは、機器から飛び出る火花と、ジャンの光る杖だった。そして、なにもかもが破壊されたのか、ランスの目の前には、機械の部品が散乱しており、光る石も落ちていた。
レッグスが寝かされていたベッドのあった中央は、砂埃でなにも見えなかった。
「やったか?」魔術師の一人が立ち上がり、辺りを見た。
ランスは、あえて立ち上がることはせず、立てないふりをして、様子を伺うことにした。
「レッグス、聞こえるか?」ジャンが、煙に包まれた中央へ話していた。
すると、中央で魔杖の緑色の光が出現した。すぐさま、その光る杖は、ランスの傍に位置する魔術師に向かって移動を開始した。そんな砂埃から飛び出してきたのは、あのレッグスと思われる人造人間だった。
レッグスは、魔杖を力ずくで振りまわすと、魔術師の胸部に魔杖を突き刺した。
危険を察知したほかの魔術師も杖を光らせて魔杖を展開すると、レッグスの魔杖を弾こうとした。だが、レッグスは完成直後であっても巧みな棒術を習得しているらしく、いとも簡単に魔術師の魔杖を何度も弾き、稲妻を発射して、相手を壁にめり込ませていた。
一瞬の出来事で二人の魔術師が死亡し、それを目の当たりにしたほかの魔術師は、逃げようと走り出した。
そこで、ジャンが煙のなかから飛び出し、レッグスが確認できる距離まで詰め寄ると、彼へ稲妻を発射していた。レッグスの全身に稲妻が命中して捕獲され、彼の動きはここで止まった。
「静まれ!」ジャンも飛び抜けた魔力の持ち主で、レッグスの動きを止めることは簡単だったようだ。魔界からの独立を目論むだけあって、初めて起きる問題に対しても冷静に対応できていた。「もう、大丈夫だ。皆、抑えつけろ」
ジャンのその合図に、ほかの魔術師が落ち着きを取り戻し、魔力の低い稲妻を発射して、レッグスを固定していた。
ランスは、とんでもない兵器を完成させてしまった罪悪感と恐怖に、言葉を失ってしまった。
もし、惑星シストンの警備隊がこちらを救いにこの惑星に来ようものなら、あのレッグスという殺人兵器に皆が殺されてしまう可能性だってあった。ジャンに抑えつけられたとはいえ、レッグスは、一般魔術師では手に負えないほどの魔力を持っていた。
「これは面白い」ジャンは、レッグスの強さに嬉しそうだった。「私が改めて洗脳措置をしておく。指定の場所まで連れていけ。……そこのお前。ランスを監獄に戻せ」
0
人物設定(イラスト有り) → https://www.pixiv.net/artworks/120358944
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~
山須ぶじん
SF
異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。
彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。
そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。
ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。
だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。
それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。
※タイトルを『人間の中身はバグだらけ。 ~俺依存症な引きこもり少女と、セカイ系恋愛ファンタジー~』から変更しました。
※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。
※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。
海峡の護り ~休載中~
醍醐
SF
不定期更新
平成31年、津軽海峡に侵入した潜水艦と最新鋭護衛艦『斐伊』の静かな戦い…
この世界の日本では、以下の点が現代と異なります。
・海上自衛隊の艦名が漢字表記になっている。
・憲法改正により、現場指揮官による実力行使が可能(ただし、先制攻撃は不可能。)
・天皇陛下の退位は行われていないので、元号は『平成』のまま。

MMS ~メタル・モンキー・サーガ~
千両文士
SF
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争、少子高齢化・・・人類が直面するありとあらゆる問題を科学の力で解決すべく世界政府が協力して始まった『プロジェクト・エデン』
洋上に建造された大型研究施設人工島『エデン』に招致された若き大天才学者ミクラ・フトウは自身のサポートメカとしてその人格と知能を完全電子化複製した人工知能『ミクラ・ブレイン』を建造。
その迅速で的確な技術開発力と問題解決能力で矢継ぎ早に改善されていく世界で人類はバラ色の未来が確約されていた・・・はずだった。
突如人類に牙を剥き、暴走したミクラ・ブレインによる『人類救済計画』。
その指揮下で人類を滅ぼさんとする軍事戦闘用アンドロイドと直属配下の上位管理者アンドロイド6体を倒すべく人工島エデンに乗り込むのは・・・宿命に導かれた天才学者ミクラ・フトウの愛娘にしてレジスタンス軍特殊エージェント科学者、サン・フトウ博士とその相棒の戦闘用人型アンドロイドのモンキーマンであった!!
機械と人間のSF西遊記、ここに開幕!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる