セルリアン

吉谷新次

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チャプター03-01

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 リップルは、ミアを肩に乗せて、汚れた街を歩いていた。

 ここは、惑星ゼリア。惑星ゼリアは、無法地帯となっている荒れた地域として有名で、犯罪者はともかく、指名手配犯や目的を持たない浮浪者などが滞在する居住惑星だった。警察や病院などの概念はなく、簡単な宿泊施設と、酒場や違法娯楽施設などがある。ほかにも、工業団地が見受けられ、違法な武器や情報収集機器などが、雑貨屋という場所で売られている。

 雨が多いこの繁華街は、日中も薄暗く、立ち並ぶ店の照明が歩道を照らしてくれていた。次第に、夜になる時間帯で、路地で座り込んでいる浮浪者の人相も悪くなっていく。

 ミアがリップルの頭上で、傘の形をした光壁をつくっているため、周囲の人間に睨まれつつも、顔を濡らすことなく歩くことができていた。

「実は、この惑星ゼリアっていう場所は初めてなんだ」リップルは、両脇に見える飲食店や娯楽施設を見ながら、ミアにつぶやいた。「いくら俺でも、この惑星に立ち寄ろうとは思わなかったな」

「でも、ブーチさんが言ってたなら、この場所が正解なんじゃない」ミアもまわりを見ながら答えた。「魔術師が銀河連邦の科学技術の真似事をしているなら、それに対抗するための機械を購入する方法としては、この惑星しかないんだよね?」

「ブーチが言うにはね」リップルは、度々見かける浮浪者にも目を向けた。「違法な機材で組み立てた商品は、手続きや保障なしで買える。素人でも扱えるハッキング機器も、ここで買える可能性がある」

 ミアは、雑貨屋を含めた売人を疑っており、詐欺をされないか、と問いかけてきた。ただ、その質問には、簡単に答えられた。詐欺はない、と。この惑星に立ち寄る人物が、どんな人物かわからないため、詐欺をしてしまえば、信用をなくすどころか、命もなくしてしまう可能性があるからだ。この惑星だからこそ、恨みを買うような詐欺が行われないとも言えた。

 リップルは、頭巾を深く被っており、横殴りの雨によって顔が濡れないようにしながら、ひたすらまわりを見続けた。

 道中に見かける浮浪者のなかには、罵声を浴びせてくる者もおり、ここに弱者がいるのであれば、すぐにでも金品を強奪されるような状態だった。すれ違っては、ここから出ていけ、と言われる始末。常に睨まれる立ち位置におり、刃物を隠さずに持っている者ですらいた。

 リップルの衣装も魔術師を切った際の返り血を滲み込ませているものの、この惑星では綺麗好きに見られるほどだった。そのためか、こちらを嫌う浮浪者は多数だった。

「この惑星を推奨したブーチは、ドックから動かないし、俺はここでずぶ濡れだ」リップルは、雑貨屋を目指して、食堂や違法娯楽施設の多い汚れた商店街を突き進んでいた。

「ねえねえ、魔術師が侵入物探知機を設置してる、って本当かな?」ミアは素朴な疑問を投げてきた。「結界があれば、侵入者は察知できるよ。わざわざ、連邦技術の真似事で、探知機なんて設置するかな?」

「カッツィ団は、連邦憲章上、魔界憲章上、魔界の団体ではないとされてるから、犯罪集団と見られてて、彼らも彼らなりに敵が多いのは確か。用心深くして、どんな侵入者でも探知できるようにしているのかもな。これは、ブーチが言ってたし、俺もそう思う。そこの抜け目を狙うのが俺達というわけだよ。機械でも魔術でも、侵入の探知ができないのが、科学と妖術の組み合わせ」

「妖精の技も侮れないからねー」ミアは微笑んだ。

「それにしても、この惑星の雑貨屋で、本当にハッキング機器が買えるかどうかだな」

 この惑星に来た目的は一つ。情報網に侵入できる機器を購入することだった。カッツィ団が探知機を起動していた場合に、その探知機を遠隔操作して、こちらの存在を無効にするつもりだった。妖術が魔術に勝ったとしても、物理に勝ることができない可能性もあるからだ。念入りな準備を必要とするこれからの活動だった。

 しばらく進むと、露出度の高い衣装を着る女性が、横から声をかけてきた。

「ねえ、私と一緒に寝ましょうよ」と若い女性の一人。「あなた、可愛いから、一回目は無料にしてあげる」

「えへへ。そうなんだ……」リップルは頭をかいて赤面した。「無料はすごいな」

「おい」こちらの耳を引っ張ってくるのは、もちろんミアだった。「異性だったら、誰でも良いのか? ランスが泣くぞ」救出対象の名前を教えていれば、すぐに嫌味で活用してきた。

 女性からの誘惑に対してやんわりと断りを入れてから離れると、目的の雑貨屋まで再び歩いた。珍しい人種の訪問なのか、その女性は、しばらくのあいだ、こちらを目で追っていた。

「可愛い、って言われたら、そりゃ嬉しいだろ」リップルはミアに返した。そして、仕返しをしてみた。「……ミアってさ、その結んである長いツインテールが似合うよね」

「そ、そう?」ミアも赤面して髪を整えた。「髪を褒められたことなんて……」

 そこで、強盗が現れた。歪んだ鉄パイプを握った男女が、路地から飛び出してきたのだ。彼らは鉄パイプを使って躊躇なく襲おうとしてきたのか、強奪の実行であることは明白だった。

 リップルは、彼らに驚くことなく片手をかざすと、念力で男の首を絞めて浮かせた。

 ミアも妖術を使い、女の全身を光で包み込んで、身動きを取れなくさせた。

 そして、その男女を路地へと押し返すと、なにごともなかったかのように歩き続けた。

「やるな、ミア」とリップル。「ミアも、麻痺術を持ってるんだな」

「リップルこそ、やるじゃねーか!」とミア。「念力の技術も大したもんだな」

「魔女には負けるかもしれないけどな」最後に自虐で返した。


※※※


 リップルは、繁華街を抜けるように歩き続けた。

 やがて、川沿いにある目的の雑貨屋に到着し、自動ドアを開放してなかへと入ってみた。

 目の前にしたのは、会計所と太った店主だけで、表に商品モニターはなかった。店主の後ろが広い倉庫となっており、そこに無数の商品が収められて、そこを複数の二足歩行ロボットが採集業務をしていた。そんなロボットの顔や身体は、あからさまなロボット感のある単純なデザインで、質素極まりなかった。ロボットによっては、手や足に装備機器があり、飛行技術や攻撃技術を備えているようだ。

「初めてみる顔だな」店主は煙草を吸って、吹き出た汗を腕で拭った。「金はあるのか?」

「少しね」リップルは辺りを見た。「商品は、自分で選べないの?」

「この場で、目的と所持金を口頭で言えば、それに見合った機材や人材を売る」と店主。「この店を知らないのか? 連邦以外の人間なら、誰もが立ち寄る店だぞ」

「人も売ってるの?」ミアが言った。

「その質問も失礼な話だな」店主は顔をしかめた。「ここは雑貨屋だぞ。死体も売ってる」

 リップルは、時折、ロボットの視線を受けていることに気づいた。そんなロボット達を見ていると、ロボットの足首にある装備機器がさらに気になった。それは、連邦が主に使っている論理原動機で、宇宙空間での飛行も可能としたものである。この雑貨屋は、確かにすごい店ではあった。雑貨屋と名乗って相応しいほどのものが、意外にもここにはあるようだ。

「あのさ」リップルは言った。「魔術師が連邦の科学技術を習得したのは知ってる?」

「世間話からかよ。……知ってるよ」店主はあっさり答えた。「時々、魔術師の落ちこぼれがここに来る。どこの団体とは言わねえが、なにかを企んでいるみたいだな。知り合いに魔術師もいるから、情報はたくさん入ってくる。どちらかというと、反連邦の技術を好んでそうだがな」

「その魔術師が滞在する惑星に行くんだ。探知機に反応されない携帯機器、あるいは、情報網への侵入が可能な機械か人材が欲しい。二万ペイズある」

 銀河連邦が扱う通貨がペイズとされ、連邦に所属していない惑星でも扱えるものとなっている。しかし、惑星によっては、その価値が下がることもあるため、覚悟が必要である。

「おう」店主は腕を組んだ。「……そんな金じゃせいぜい、連邦軍の複製銃しか売れねえ。この惑星の風俗価格だと、五回分ぐらいだな。……一二万ペイズだ」

「高っ!」ミアが大声を出した。「連邦の一般人が半年暮らすほどの生活費じゃん」

「物分かりが良い妖精だな」店主はニヤついた。「惑星フィーシーかピアリー出身だな」

「すげーな、お前。当たりだよ!」とミア。「大臣から色々と教育を受けたからね」と言って胸を張った。ただ、関心をしている場合ではなかった。

「買取ではなく借用にして、安くできない?」リップルは聞いた。

「基本、買取だ。人材も買ったあとは、そっちで勝手に売るなり抱くなりしてくれ。病原菌を擦りつけたモノなんて返されたくねーんだよ」と返ってくる。「その価格分の金を出せたとしても、末端レベルの機械だな」

「……惑星マシスに行くんだ」店主を説得しようとした。「やばいことが起きるかもしれなくて」

「あっそう。それじゃあ、ここもやばくなりそうだな」店主はカウンターから身を乗り出してくると、こちらを睨みつけてきた。「うちのピッキングロボットは、俺の指示があれば、貴様を光線で焼き尽くしてから臓器をピッキングすることだってできる。ロボットによっては、お前の情報をハッキングして金も盗める。……そろそろやばくなりそうだろ。帰る時間かどうか、自分の胸に聞いてみろ」と脅しをかけてきた。

「魔界は、この店も潰すかもしれないぞ」とリップル。「それもやばくない?」

「俺には、俺なりの護衛技術があるから問題ない。優秀なロボットもいる。はやく金を持ってこい」と店主。「じゃねーと、お前の顔も情報化して、殺し屋に懸賞金データを拡散するぞ」

「……わかった。金が溜まったら、出なおすよ」リップルは素直に従った。店主を説得することは不可能であると判断して踵を返し、自動ドアを開けた。

「おっさん」ミアが言った。「最後に質問良い?」

「こんな状況で質問かよ」店主は拍子抜けしていた。「なんだよ?」

「果物を扱ってる食堂はある?」ミアは、空腹のようだった。

「……のんきな奴だ」店主は適当な方角を指した。「そこの川を伝って歩けば、黄色い看板を掲げた二件の食堂がある。二件目のほうが庶民的だな」

「ありがとう。おっさん」ミアは礼儀正しくお礼を言っていた。

 ミアの質問もここで終わり、必要な道具が購入できず、引き返すこととなってしまった。


※※※


 バズは、惑星フィーシーでの敗北を引きずりながら、惑星ゼリアへと来ていた。部下を二人連れて、行きつけの酒場へと向かっている最中だった。ほぼ海面のこの惑星は、違法の埋め立て地が多く、その人工大陸に滞在する大抵の者が、その大陸に横線を入れたような中央歩道を利用している。その中央歩道は、乱雑に並ぶ建築物のあいだを抜ける路地のような歩道だった。そして、バズがそんな歩道を歩いている時に、視線を左右に向けるたびに、浮浪者や病人がうなだれるように座って人生に絶望をしている風景が見受けられるのだ。

 この惑星で死体処理屋をやるのは非常に儲かる話ではあるが、反銀河連邦団としては、魔術師や妖精のいるような惑星で、資源回収をしたほうが刺激的でもっと儲かるのだ。

「あーら、バズさんじゃないの」色っぽい女性が声をかけてきた。彼女は、客引きの女性であり、よく酒を交わす仲としても相手をしてくれている。「それで、いつ、私に宝石をプレゼントしてくれるの?」

「今日は、そんな気分じゃないんだ」バズは足を止めて、客引き女性に答えた。

 賞金稼ぎのおかげで、戦車や小型戦闘機が破壊されてしまい、節約を余儀なくされていた。今や第一開発局は小規模となり、第二開発局のほうが、反銀河連邦団の本部への発言権が強い。そんな状況のなかで朗報を本部に持ち込めない直近では、この惑星で女性と酒を飲む気にはなれなかった。

「今日は、あんたの部下が一人も来ないんだよ」と言ってくる。「うちで飲んでってよー」

「仕事中に、こんな小さい賞金稼ぎのせいで、金儲けができなかったんだよ」バズは、手を使って低身長の人物を表した。「……しばらくは、安い酒で生活する」

「あーら、偶然ね。私も今日、初めて子どもを見つけて誘ったんだけど、断られちゃった」客引き女性は、吐息を漏らした。「すんごく可愛かったのに。世のなかって、うまくいかないのね」

「足が欠落したアンドロイドの見間違えじゃないか? ここに子どもは来ないはずだ」客引き女性の世間話にはつき合っていられず、この場から去ろうとした。すると。

「そんなことないよ。そこで、見えない力を発揮して、強盗を蹴散らしたんだから。妖精族の小人が子どもの肩にいたから、念力と妖術を同時に使ってたよ」と言う。

「……」その言葉にバズは、動かそうとしていた足を止めた。「そいつは茶色い外套で、肩には、黄色に光る身体と緑色の衣装を着た妖精がいたか?」

「うん」と客引き女性。「私、まずいこと言った?」

「いいや。ありがたい情報だ。そいつは、見た目が子どもなだけで、人殺しに慣れてる」バズは、小銭をポケットから出すと、客引き女性に渡した。続けて、部下に顔を向けた。「……聞いたか? あの賞金稼ぎがここに来た、ということは、船の部品購入か雷刀の修理のためにここに来てる。周辺の雑貨屋を捜索しろ。見つけたら、捕獲光線銃を使え。俺は、それなりの準備をしてくる」

「了解」部下はしっかりと返事をすると、散ってくれた。


※※※


 雑貨屋の倉庫で、製品の整理整頓を行うロボットは、店主のボッシュによって、ポンコツ、と名づけられ、日々の労働により、安い給料を貰う生活を送っていた。

 つい先程に訪問してきた、子どものような客は、不思議なことを言っていた。惑星マシスに行く、と。その活動に非常に関心があり、その子どものような客と知り合いになりたい気分だった。けれど、ほぼ奴隷のような扱いを受けているこの場では、こちらの行動が制限されている。

「今日は、払いの良い客が来ねえな」ボッシュは、会計所でくつろぎながらぼやいた。

「魔界が出しゃばりだしてから、売り上げが減りましたね」ポンコツは、棚の奥からボッシュに言った。そして、古い機器で仕上がった指先を器用に動かして、細かい部品を並べていた。

「いっそのこと、魔界をお得意さんにしたほうがよさそうだな」とボッシュ。

 棚の整理が一段落したところで、ポンコツは、飛行機能が搭載された重い足を動かして、ボッシュの背後へと歩み寄った。

「夜間の整理が終了しました」そう言って、自身の業務終了を合図した。

「悪いが、今日の給料は半分だ」ボッシュは、携帯機器を取り出し、画面に映し出された給料管理画面を操作し、ポンコツ宛に送金した。「今回の半分にした差額分は、売り上げが上がったら送金しとく」

「……そんな。友達のために薬が必要なのです」ポンコツは、この場を動かなかった。「お願いします」

「この世界で生きるなら、まず自分のことを考えろ。友達のことを考えていると、死ぬぞ」ボッシュはそう言って、背中を向けてしまった。「半分の給料でも、お前は生きられているだろ」

「……大切な人の命を見捨てるような人生は送りたくないです」ポンコツは小声で反論した。

「大切な人材として扱われてたお前だって、結局は、転売され続けたんだろ」ボッシュは、改めてこちらを見た。「ここで長期雇用を得たのは、誰のおかげだ? 代理責任者もいない独立ロボットを雇えるのも、ここぐらいだろ。それに、ボロボロだったお前の身体に、飛行機能と火器攻撃機能、ハッキング機能を装着させたのも、誰のおかげだ?」

 ボッシュのその言葉に、反論ができなかったわけではなかった。反論をしない、と判断していた。

 そこで、来客があり、会話が途切れてしまった。

 出入口からやって来たのは、黒ずくめの戦闘スーツを身に着けた男女だった。全員が武装し、なかには、巨大生物を捕獲するための捕獲光線銃も装備している者もいた。

「お尋ねしたい」と先頭に立つ男。

「見積もりは無料。購入は有料。それと、情報提供も有料だ」とボッシュ。

「茶色の外套を着たガキを見なかったか? 髪が若干逆立っていて、その髪も茶色だ。目の色は青緑。知っていたら、金をやる」

「ああ」ボッシュは適当な方角を指した。「川沿いの黄色い看板が並んだ食堂の、二件目のところだ。そこで、妖精と一緒に食事をしに行った」

 すると、武装した男女のうち、先頭に立つ男は、数枚の紙幣をカウンターに置いた。
「もう少しつけ加えるとな」十分な支払いに気分を良くしたボッシュは、相手に追加の情報を与えた。「魔界の惑星に行く、とも言ってたぞ」

「邪魔した」武装した兵士達は、武器を改めて構え、この店から出ていった。

「反連邦が物々しいな。こんなところでなにをする気だ?」ボッシュは、彼らがいなくなってから、ぼやいた。そして、彼らが置いていった紙幣を手に取り、それを半分にわけたあと、こちらにその半分を渡してきた。「……ほら、これをやる」

「しっかりと、クレジットデータで払ってください」とポンコツ。

「じゃあ、クビだ」ボッシュはそう言いきったため。

「わかりました。それでは、失礼致します」ポンコツはそう返し、彼に背を向けた。

 通路を歩いている途中、ボッシュから色々と罵声を浴びたが、困ることはなかった。
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人物設定(イラスト有り) → https://www.pixiv.net/artworks/120358944
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