40 / 83
一章 10:06:34:49.574
一
しおりを挟む するとモー・キンムーが、ラー・キンムーに向かって言った。
「あれは金になるぜ、兄貴」
ラー・キンムーが口の端を上げてうなずいた。
「そうだな。いい土産になりそうだ」
俺は、そんなふたりを鼻でせせら笑った。
「ふん、俺からこれを奪い取れると思っているのか?」
ラー・キンムーが恍惚の表情を浮かべて言った。
「お前はつまらん小僧だが、ひとつだけ素晴らしいことがある。それは、お宝を持っているということだ!」
ラー・キンムーが言うなり、凄まじい勢いで俺に襲いかかってきた。
俺はすぐに蒼龍槍を後ろ手に引いて構え、間合いをはかる。
ここだ!
俺は力強く蒼龍槍を前に出す。
と、ラー・キンムーが待っていたかのように上に向かって跳び上がった。
蒼龍槍が空を切る。
と、その後ろにモー・キンムーが!
上からラー・キンムー、目の前にはモー・キンムーという二段構えの攻撃が迫る。
「死ねい!」
ラー・キンムーが上から真っ直ぐ指を伸ばした手刀でもって、俺を指し貫こうと試みる。
俺はすんでのところでそれを、ダッキングしてかわした。
頭のすぐ上をラー・キンムーの手刀が通り過ぎる。
だが目の前にはモー・キンムーが、俺の動きを予測していたかのように下段蹴りを繰り出していた。
俺はその足を、蒼龍槍で薙ぎ払おうと渾身の力でもって横殴りした。
すさまじい衝撃音と共に、モー・キンムーの右足が砕けた。
モー・キンムーがたまらず絶叫した。
「おのれ!」
弟の仇とばかりに、ラー・キンムーが踵を返して俺に襲い掛かる。
俺はすぐさま立ち上がり、振り向きざまに蒼龍槍を振るった。
再びの衝撃音が鳴り響く。
蒼龍槍はラー・キンムーの脇腹にめり込み、肋骨数本を葬った。
ラー・キンムーのけたたましい悲鳴が上がる。
俺は肺腑の中の空気を一気に吐き出した。
「ふう~」
「やりおるの。さすがじゃ」
俺の背から、バーン翁が語りかけていた。
俺は振替し、肩をすくめてみせた。
「なあに、大したことじゃないさ」
バーン翁が相好を崩した。
「そうかそうか。だがなかなかの相手だったとは思わないか?」
これには俺もうなずくしかなかった。
「ああ。こいつら、Sランクだと思う」
バーン翁がうなずいた。
「うむ。野良のSランクじゃな」
「Sランクってのは、数が少ないんじゃなかったのか?」
俺が抗議するように言ったことで、バーン翁が笑みを見せた。
「わしのせいじゃないんだから、文句を言うな」
「でもさあ、三人もだぜ?たぶんSランクっていっても、ぎりぎり合格ってところだと思うけど、それにしてもだぜ」
「まあそれに関しては、わしも興味津々じゃ」
「あれは金になるぜ、兄貴」
ラー・キンムーが口の端を上げてうなずいた。
「そうだな。いい土産になりそうだ」
俺は、そんなふたりを鼻でせせら笑った。
「ふん、俺からこれを奪い取れると思っているのか?」
ラー・キンムーが恍惚の表情を浮かべて言った。
「お前はつまらん小僧だが、ひとつだけ素晴らしいことがある。それは、お宝を持っているということだ!」
ラー・キンムーが言うなり、凄まじい勢いで俺に襲いかかってきた。
俺はすぐに蒼龍槍を後ろ手に引いて構え、間合いをはかる。
ここだ!
俺は力強く蒼龍槍を前に出す。
と、ラー・キンムーが待っていたかのように上に向かって跳び上がった。
蒼龍槍が空を切る。
と、その後ろにモー・キンムーが!
上からラー・キンムー、目の前にはモー・キンムーという二段構えの攻撃が迫る。
「死ねい!」
ラー・キンムーが上から真っ直ぐ指を伸ばした手刀でもって、俺を指し貫こうと試みる。
俺はすんでのところでそれを、ダッキングしてかわした。
頭のすぐ上をラー・キンムーの手刀が通り過ぎる。
だが目の前にはモー・キンムーが、俺の動きを予測していたかのように下段蹴りを繰り出していた。
俺はその足を、蒼龍槍で薙ぎ払おうと渾身の力でもって横殴りした。
すさまじい衝撃音と共に、モー・キンムーの右足が砕けた。
モー・キンムーがたまらず絶叫した。
「おのれ!」
弟の仇とばかりに、ラー・キンムーが踵を返して俺に襲い掛かる。
俺はすぐさま立ち上がり、振り向きざまに蒼龍槍を振るった。
再びの衝撃音が鳴り響く。
蒼龍槍はラー・キンムーの脇腹にめり込み、肋骨数本を葬った。
ラー・キンムーのけたたましい悲鳴が上がる。
俺は肺腑の中の空気を一気に吐き出した。
「ふう~」
「やりおるの。さすがじゃ」
俺の背から、バーン翁が語りかけていた。
俺は振替し、肩をすくめてみせた。
「なあに、大したことじゃないさ」
バーン翁が相好を崩した。
「そうかそうか。だがなかなかの相手だったとは思わないか?」
これには俺もうなずくしかなかった。
「ああ。こいつら、Sランクだと思う」
バーン翁がうなずいた。
「うむ。野良のSランクじゃな」
「Sランクってのは、数が少ないんじゃなかったのか?」
俺が抗議するように言ったことで、バーン翁が笑みを見せた。
「わしのせいじゃないんだから、文句を言うな」
「でもさあ、三人もだぜ?たぶんSランクっていっても、ぎりぎり合格ってところだと思うけど、それにしてもだぜ」
「まあそれに関しては、わしも興味津々じゃ」
1
本業が忙しいため、なかなかコメントへの返信はできませんが、すべて読ませていただきます。ご感想ありましたら嬉しいです。
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。

年下の地球人に脅されています
KUMANOMORI(くまのもり)
SF
鵲盧杞(かささぎ ろき)は中学生の息子を育てるシングルマザーの宇宙人だ。
盧杞は、息子の玄有(けんゆう)を普通の地球人として育てなければいけないと思っている。
ある日、盧杞は後輩の社員・谷牧奨馬から、見覚えのないセクハラを訴えられる。
セクハラの件を不問にするかわりに、「自分と付き合って欲しい」という谷牧だったが、盧杞は元夫以外の地球人に興味がない。
さらに、盧杞は旅立ちの時期が近づいていて・・・
シュール系宇宙人ノベル。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
蒼海のシグルーン
田柄満
SF
深海に眠っていた謎のカプセル。その中から現れたのは、機械の体を持つ銀髪の少女。彼女は、一万年前に滅びた文明の遺産『ルミノイド』だった――。古代海洋遺跡調査団とルミノイドのカーラが巡る、海と過去を繋ぐ壮大な冒険が、今始まる。
毎週金曜日に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる