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やがて、父になる
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「あと四ヶ月?」
「そう。楽しみ?」そう聞くと夫は笑う。
「おーい。早く出てこいよ。お前の為の部屋、お前の玩具たっくさん用意してあるんだぞ」周りに両親がいても彼の行動は変わらず、お腹に向かって真面目に話しかける。
「でも、良かったな。別に異常がなくて」
「うん···。ちゃんと信号で止まってたんだけどね」ひとりで少し離れたコンビニへ行った帰り、信号待ちをしてた時、後ろから何かが当たって、走ってきた車にぶつかる寸前だった。
「これからは、コンビニも俺がついてくから! お前、俺をひとりにする気か?」心配されてるのか? 怒られてるのか? わからない言葉を言われ、困る。
「いい? 今日は、ゆっくり歩きなさいよ? あなたひとりの身体じゃないんだから」とお母さんやお父さんにまでしつこい位に注意され、啓一と一緒にクリスマスディナーへと向かった。
「で、あれからどう? あの変な夢見るの?」
「ううん。見ない」
夢じゃないのに。あの日、本当に郵便物も来たし、メールも届いたのに、誰も信じてくれず、夢にされた。
「今日は、クリスマス・イブだから···」美月と腕を組み、ディナーショー前にジュエリーショップへ···。
そこで、予め注文しといた指輪を美月に嵌めた。
「結婚指輪あるよ? いいの?」涙目で俺を見上げ、頷いて返す。
「来年は、二人じゃないから。先にな」自分と同じように指輪やネックレスを選びに来てるカップルもいる。
「さ、行こうか?」手を差し出し、美月が腕を絡ませる。
街並みは、クリスマスカラー一色で、ところどころにサンタの格好をした呼び込みが立ち、歌を歌いながら騒ぐ外国人がいたりして、賑やかだった。
「着いたね」
「うん。お腹いっぱい食べようね。ももちゃん!」
っ!!
「ももちゃん? え? マジ?」どうやら、お腹の子は、女の子らしく俺と義父の勘が当たった。
席に着くまでも、「ももちゃん、女の子かぁ」と言ってたらしく、ウエイターが怪訝な顔をしていたと美月が教えてくれた。
「でも、内緒だよ? まだアッチには言ってないから」小声で言う美月に目尻が垂れる俺。
「早く会いたい! の、前に···」側にウエイターがいるのを忘れ、大慌てで料理を注文した。
「ふふっ···かわいい」美月は、お酒が飲めないから100%の林檎ジュースで、俺はグラスワインの白。最近、少し太ったから···
カチンッ···と互いにグラスを鳴らし、
「Merry Christmas」
「Merry Christmas···あ、また動いた」そんな会話を交わす。
忙しくもそれを感じさせないにこやかな表情のウエイターを眺めながら、これから生まれてくる赤ん坊の話や育児についての話をしながら、料理に舌をうつ。
静かに流れるクリスマスソング、各席で溢れる笑い声や嬉し泣き···
「素敵なクリスマスね···」美月も指に嵌めた指輪を見て、また涙を流していた。
「おっ? デザートが来たぞ」美月には話していなかったが、これは特別に頼んでおいたやつだ。
「お待たせいたしました。本日のデザート、クリスマスの贈り物でございます」
「わっ! 可愛い!!」美月の目の前に置かれた更には、ミルクチョコ、ホワイトチョコで作られた可愛いチョコのプレゼントボックス。
「割ってみて。いいよ、思いっきりやっても」
ザクッ···と美月が、フォークをたてると、中からは···
「······。これ食べるの?」マジパンで作られた赤ちゃんが入っている。
「ただのお菓子だよ。こんなの。ちょっと不格好な赤ん坊だけどさ···」
(仕事の合間に、ここに来て練習させてもらった)
「ありがとう。パパ···」美月は、食べる前にもまたスマホでその不格好な赤ん坊を撮って、少しずつ食べ始めた。
「うん。パパ···え? あ! そうか! パパだもんな」とまた何故か慌てふためく。
「ん? どうした? 美月」
「ううん。なんでもない。んう、ごちそうさま!」なんとなく俺の背後をジッと見るが、見知らぬ一組の客がいるだけで、知り合いでもなんでもなかった。
「ありがとうございました。土屋様」とウエイターに言われ、帰り際に小さなプレゼントを美月が貰った。
「なんか、今年のクリスマスは、嬉しすぎる!」美月と腕を絡ませ、仲良く家へと向かう。
冬ではあるが、空は満面の星空でオリオン座が見えた。
パチッ···とクリスマスツリーのスイッチを入れると暗いリビングに赤や緑のライトが、まばゆいばかりに輝き出す。
「この時間からは、俺らの時間···」
「幸せ」そう呟く美月。
「来年は、ここにひとり増えるから、もっと幸せだ」
「うん」まだ誰も乗っていないベビークーハンに産まれた我が子を想像してみた。
「お前に似てるといいな」
─女の子は、父親に似ると幸せになるというが、顔は美月の方が可愛いから。
「そうかな? 啓ちゃんに似た方が、幸せじゃない?」と何故か張り合う。
「じゃ、ベッドで?」
「試す?」顔と顔が自然と近づき、唇を重ねた。
「···の前に風呂だな」
「うん。寒い···」と二人同時に風呂に入り、身体を洗いあった。
「······。」
「美月?」美月は、勃起した俺のペニスをマジマジと眺める。
「骨は無いから! んな恥ずかしいから」そう言って、美月の背中に回る。
「なんだぁ。あると思った」
(あったら、大変!)
寝室には、隅にベビーベッドが置いてあり、中には紙オムツが入っている。
「愛してる」美月をゆっくりとベッドに倒すと、パジャマのボタンを外していった。
「えっち!」
「だって、柔らかいし···」
(前より大きくなったとは言えない)
チュパッ···チュッ···余り乳首を刺激しないように、優しく丁寧に愛撫をしていく。
んっ···んんっ···
やはり、妊娠すると、感度が良くなるのか?乳房にしろ、乳首、クリにしろ、ほんとに少し触っただけで、ギュンッと感じるらしい。
(女はわからん)
「ゆっくり動かすから」と横になった美月と重なるように挿入してから、身体を密着させ動かしていく。
「どう? 痛くない?」耳元で囁き、美月は大丈夫と頷く。
妊娠して、お腹が大きくなるとなかなか性行為は難しくなるが、それでもマタニティブックを見ては、あれこれ試していた。というか、美月が試したがる。
ヌチュッヌチュッとした感覚が伝わり、小さく喘ぐ声が聞こえる。
「普通がいい···これじゃ、つまんない。顔が見れないのやだ」美月は肩を震わせて小さく言った。
「大丈夫? 痛かったら言えよ?」と、まぁ、俺も満足しない訳で···
ヌプッ···ヌプッ···と挿入し、お腹の赤ちゃんが驚かない程度に美月を啼かし、外に出していった。
そして、クリスマスが過ぎ、正月が過ぎ···
桜が満開になる直前に、美月は、女の子を産んだ。
「桃子、ね。可愛い」
「本当に、可愛い」男ふたり、ベビーベッド上に置かれた二枚の命名用紙を前に言い合う姿を見て、美月やお義母さんが笑う。
「いい加減仲直りしなさいよ」
「そうよ。でないと、抱かせない!」
っ!!
「「喜んで!!」」
桃子は、大きな病気もせず、すくすくと育ち、明日三才の誕生日を迎える···
「そう。楽しみ?」そう聞くと夫は笑う。
「おーい。早く出てこいよ。お前の為の部屋、お前の玩具たっくさん用意してあるんだぞ」周りに両親がいても彼の行動は変わらず、お腹に向かって真面目に話しかける。
「でも、良かったな。別に異常がなくて」
「うん···。ちゃんと信号で止まってたんだけどね」ひとりで少し離れたコンビニへ行った帰り、信号待ちをしてた時、後ろから何かが当たって、走ってきた車にぶつかる寸前だった。
「これからは、コンビニも俺がついてくから! お前、俺をひとりにする気か?」心配されてるのか? 怒られてるのか? わからない言葉を言われ、困る。
「いい? 今日は、ゆっくり歩きなさいよ? あなたひとりの身体じゃないんだから」とお母さんやお父さんにまでしつこい位に注意され、啓一と一緒にクリスマスディナーへと向かった。
「で、あれからどう? あの変な夢見るの?」
「ううん。見ない」
夢じゃないのに。あの日、本当に郵便物も来たし、メールも届いたのに、誰も信じてくれず、夢にされた。
「今日は、クリスマス・イブだから···」美月と腕を組み、ディナーショー前にジュエリーショップへ···。
そこで、予め注文しといた指輪を美月に嵌めた。
「結婚指輪あるよ? いいの?」涙目で俺を見上げ、頷いて返す。
「来年は、二人じゃないから。先にな」自分と同じように指輪やネックレスを選びに来てるカップルもいる。
「さ、行こうか?」手を差し出し、美月が腕を絡ませる。
街並みは、クリスマスカラー一色で、ところどころにサンタの格好をした呼び込みが立ち、歌を歌いながら騒ぐ外国人がいたりして、賑やかだった。
「着いたね」
「うん。お腹いっぱい食べようね。ももちゃん!」
っ!!
「ももちゃん? え? マジ?」どうやら、お腹の子は、女の子らしく俺と義父の勘が当たった。
席に着くまでも、「ももちゃん、女の子かぁ」と言ってたらしく、ウエイターが怪訝な顔をしていたと美月が教えてくれた。
「でも、内緒だよ? まだアッチには言ってないから」小声で言う美月に目尻が垂れる俺。
「早く会いたい! の、前に···」側にウエイターがいるのを忘れ、大慌てで料理を注文した。
「ふふっ···かわいい」美月は、お酒が飲めないから100%の林檎ジュースで、俺はグラスワインの白。最近、少し太ったから···
カチンッ···と互いにグラスを鳴らし、
「Merry Christmas」
「Merry Christmas···あ、また動いた」そんな会話を交わす。
忙しくもそれを感じさせないにこやかな表情のウエイターを眺めながら、これから生まれてくる赤ん坊の話や育児についての話をしながら、料理に舌をうつ。
静かに流れるクリスマスソング、各席で溢れる笑い声や嬉し泣き···
「素敵なクリスマスね···」美月も指に嵌めた指輪を見て、また涙を流していた。
「おっ? デザートが来たぞ」美月には話していなかったが、これは特別に頼んでおいたやつだ。
「お待たせいたしました。本日のデザート、クリスマスの贈り物でございます」
「わっ! 可愛い!!」美月の目の前に置かれた更には、ミルクチョコ、ホワイトチョコで作られた可愛いチョコのプレゼントボックス。
「割ってみて。いいよ、思いっきりやっても」
ザクッ···と美月が、フォークをたてると、中からは···
「······。これ食べるの?」マジパンで作られた赤ちゃんが入っている。
「ただのお菓子だよ。こんなの。ちょっと不格好な赤ん坊だけどさ···」
(仕事の合間に、ここに来て練習させてもらった)
「ありがとう。パパ···」美月は、食べる前にもまたスマホでその不格好な赤ん坊を撮って、少しずつ食べ始めた。
「うん。パパ···え? あ! そうか! パパだもんな」とまた何故か慌てふためく。
「ん? どうした? 美月」
「ううん。なんでもない。んう、ごちそうさま!」なんとなく俺の背後をジッと見るが、見知らぬ一組の客がいるだけで、知り合いでもなんでもなかった。
「ありがとうございました。土屋様」とウエイターに言われ、帰り際に小さなプレゼントを美月が貰った。
「なんか、今年のクリスマスは、嬉しすぎる!」美月と腕を絡ませ、仲良く家へと向かう。
冬ではあるが、空は満面の星空でオリオン座が見えた。
パチッ···とクリスマスツリーのスイッチを入れると暗いリビングに赤や緑のライトが、まばゆいばかりに輝き出す。
「この時間からは、俺らの時間···」
「幸せ」そう呟く美月。
「来年は、ここにひとり増えるから、もっと幸せだ」
「うん」まだ誰も乗っていないベビークーハンに産まれた我が子を想像してみた。
「お前に似てるといいな」
─女の子は、父親に似ると幸せになるというが、顔は美月の方が可愛いから。
「そうかな? 啓ちゃんに似た方が、幸せじゃない?」と何故か張り合う。
「じゃ、ベッドで?」
「試す?」顔と顔が自然と近づき、唇を重ねた。
「···の前に風呂だな」
「うん。寒い···」と二人同時に風呂に入り、身体を洗いあった。
「······。」
「美月?」美月は、勃起した俺のペニスをマジマジと眺める。
「骨は無いから! んな恥ずかしいから」そう言って、美月の背中に回る。
「なんだぁ。あると思った」
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寝室には、隅にベビーベッドが置いてあり、中には紙オムツが入っている。
「愛してる」美月をゆっくりとベッドに倒すと、パジャマのボタンを外していった。
「えっち!」
「だって、柔らかいし···」
(前より大きくなったとは言えない)
チュパッ···チュッ···余り乳首を刺激しないように、優しく丁寧に愛撫をしていく。
んっ···んんっ···
やはり、妊娠すると、感度が良くなるのか?乳房にしろ、乳首、クリにしろ、ほんとに少し触っただけで、ギュンッと感じるらしい。
(女はわからん)
「ゆっくり動かすから」と横になった美月と重なるように挿入してから、身体を密着させ動かしていく。
「どう? 痛くない?」耳元で囁き、美月は大丈夫と頷く。
妊娠して、お腹が大きくなるとなかなか性行為は難しくなるが、それでもマタニティブックを見ては、あれこれ試していた。というか、美月が試したがる。
ヌチュッヌチュッとした感覚が伝わり、小さく喘ぐ声が聞こえる。
「普通がいい···これじゃ、つまんない。顔が見れないのやだ」美月は肩を震わせて小さく言った。
「大丈夫? 痛かったら言えよ?」と、まぁ、俺も満足しない訳で···
ヌプッ···ヌプッ···と挿入し、お腹の赤ちゃんが驚かない程度に美月を啼かし、外に出していった。
そして、クリスマスが過ぎ、正月が過ぎ···
桜が満開になる直前に、美月は、女の子を産んだ。
「桃子、ね。可愛い」
「本当に、可愛い」男ふたり、ベビーベッド上に置かれた二枚の命名用紙を前に言い合う姿を見て、美月やお義母さんが笑う。
「いい加減仲直りしなさいよ」
「そうよ。でないと、抱かせない!」
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