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オマケ
旅路─迷子と吟遊詩人
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勇者により魔王は倒され、この大陸の危機は去った。しかし、魔物が全て消えた訳でなはい。勇者は冒険者となり、仲間たちと共に民を守る旅を続けている─
今現在、俺リンドウの前で吟遊詩人が語った物語。知っているようで知らない人物の話を聞き、俺は必死に我慢した。
そんなご立派な旅じゃないんですよ、とツッコむのを……
その勇者と一緒に旅をしている俺にとっては、今の話は非常に笑えるものだった。果たして誰の話なのかと、何度か耳を疑ったものである。
話が終わり、周りに集まっていた人たちが吟遊詩人に金を投げ始めた。こっちでもやっぱチップとかあるんだな。
こういうストリートパフォーマンス系は少しでもチップを投げる物なのだろうが、残念ながら俺はこれを望んで聞いていたわけではない。と言うか、なんなら俺の方が先客なのに、急に来て語られて迷惑してる。
手持ち無沙汰だったため何とはなしに聞いていたが…周りの奴らがチラチラとこちらを見てくる。多分、聞いといて金投げないとか意味わかんない、ってところだろう。
うるせぇ、こっちだってわりとギリギリなんだよ。精神的に。
ムカついたので、そのまま周りにガンを飛ばしていれば、話を聞きに集まって来ていたおっさんが一人、俺に話しかけてきた。
「おい、坊主。こういうのはな、聞いたら銅貨ぐらい投げるもんだぜ。それが常識だ」
「…悪いが、聞きたくて聞いていた訳じゃない。ここで待ち合わせをしてたらあれがそこで話始めた。つまり不可抗力だ」
「それでも聞いたんだろ?聞きたくなけりゃ、ちょっと移動すれば良かったんだ。しなかったってことは多少興味が…」
「あんな話に興味はない。動かなかったのは、ここから一歩も動くなと言われたからだ。もういいか?それともなんだ。あんたらは無理矢理金を奪いとるような、盗賊紛いの輩なのか?」
鼻で笑いながらそう言えば、癪に触ったのか苛立ちも隠そうともせずにおっさんが声を荒げる。
「ガキがっ!調子のってんじゃ…ギャッ!!」
殴りかかってきたので、その手を取り勢いを利用して投げ飛ばす。勿論、身体強化は使っていない。喧嘩の感覚は鈍っていないからな。
つーか、さっきから坊主だガキだって…チビで悪かったな!!
第一、只でさえ気が立ってっとこにウザい絡みしてくんじゃねぇよ。あー、ムカつく。でもここで過剰防衛なんかしたら俺が衛兵に捕まるし、つかここで待ち合わせはもう無理だな。
おっさんを投げ飛ばした時、多分通報しにいった奴とかいたはずだ。衛兵来る前に逃げたほうがいい。
例え、現在俺が絶賛迷子だとしても、だ。これで問題起こして衛兵のお世話になりましたとか、絶対に赤目さんに怒られる…!
最後に軽くおっさんを蹴って、逃げる方向を決めるために周りを見渡す。
「衛兵さん!あの子供です!!」
「げ、もう来た」
「あの子供が突然、人を投げ飛ばしたんです!!」
「はー!?!?!?」
ふざけんな!!正当防衛だったろ!!先に殴りかかってきたのあのおっさんだぞ!!!突然投げ飛ばしたとか、虚偽の報告すんな!!ややこしくなるだろうが!!!!
「このやろっ…!」
「──こっち」
「…っえ?」
「あっ、待ちなさい!!」
思わず喧嘩モードに入りそうになった俺だが、突然腕を引っ張られたことにより、戦闘体勢が解けてしまった。
そちらを振り向けば、先程の吟遊詩人が俺を引っ張って走り出す。驚きで抵抗もできず、引かれるまま走る。
何やら要り組んだ路地へと入り、右へ左へと進み衛兵を撒こうとする吟遊詩人。
その背を見ながら走り、ぼんやりと俺はこうなった原因を思い出す。
ことの始まりは数時間前。冒険者ギルドでみゃーのと別行動をすることになったところから始まった。
理由は単純で、この数ヶ月の冒険で俺たちはCランクとなり、もうすぐBランクに上がるための試験を受けれるようになったのだ。
しかし、みゃーのだけ依頼の数が指定数に達していなかった。そのため、みゃーのとラナさんとルーファスさんの三人は依頼を受け、面倒くさがった俺はお目付け役の赤目さんと足りない物資の購入をする事にした。シコクは一匹でふらっと探索に出掛けている。
何の問題もなく買い物を済ませ、宿へ戻ろうとしたときだ。俺が集団の移動に巻き込まれ、赤目さんとはぐれてしまった。
正直めっちゃ焦ったよね。知らない人多いし、戻ろうとしても押し返されるし。やっと人波から抜け出せたかと思えば、もう知らない場所だった。
そんなに離れてないし、自力で何とか戻れるだろうと軽く考えていたのだが…
えぇ、えぇ、甘かったのは認めよう。認めたくはないが!!!認めざるを得なかったんですが!!!!
どうやら、俺は方向音痴だったらしい。
迷いに迷い、獣使いのスキルを思い出して小鳥に赤目さんへの手紙を託し、返事が帰ってきての待ち合わせだった。
そこに吟遊詩人がやって来て、動くに動けない俺はそのまま聞くことになり、絡んできたおっさんを投げ飛ばし、何故か吟遊詩人に腕を引かれて現在に至る。
ちなみに、既に衛兵は撒いた。今は路地の一角で休憩をしている。吟遊詩人はいまだに俺の腕を掴んでいた。
「………おい」
「……………」
「……おい!」
「…え?あ、何?」
「何、じゃない。腕、痛いんだけど」
「あぁ、すまない。しかし、あなたは強いんだな。自分より体の大きな男を投げ飛ばすなんて」
「あんな勢い任せの攻撃、カウンターしてくださいって言ってるようなもん。それより、アンタなんで俺の腕掴んだりしたの」
少し睨み付けながら会話をする。吟遊詩人は帽子を目深に被っており、口元しか見えない。おかげで表情が読みにくい。
口元の変化で感情を読もうと努力してみるが、ピクリとも動かず、淡々と言葉を発するだけだった。
「…どうやら、話に聞いていたより随分とお転婆なんだな」
「はぁ?聞いていたって…」
何言ってんの、頭大丈夫?と言うのを飲み込んで我慢する。流石に失礼すぎる。急に逆ギレとかされたら面倒極まりない。
それより、言葉通りに受けとるならこいつは俺を知っている誰かの知り合いということで。俺を知ってる奴なんか王城の人達ぐらいで…
いや、あと一人いる。
「…その話とやらは、一体誰から?」
「ある日突然現れた、君のように黒目黒髪でやけに強く、そのくせ常識がほとんど欠落している不思議な友人から」
「何て言ってた?」
「えぇと、確か『チビですばしっこくて力もないのに、10人の男が相手でも怪我一つなく全員をノックアウトするカウンターの化物な小鬼』って…」
「誰がチビで小鬼だあの野郎!!!」
ちくしょう、そんなこと言ってたとかもう彼奴で確定じゃねぇか。
つか、随分な評価だなぁおい!!!そしてなんだ!!!さっきこの人さりげに「話に聞いていたより」って言ってなかったか!?よりってなんだ!!!この短時間で俺の何を察したんだおい!!!
脳内で散々暴れるが、それを表情に出さないよう話を続ける。
「……ちなみに確認なんだが、そいつの名前は」
「本名かどうかは知らないが、「ロック」と名乗っていた」
「おん…ありがと─」
そこまで聞いたときだった。
「リンドウから離れろ!!」
上から赤目さんが降ってきた。……降ってきた!?
「赤目さん!?なんで上から!?」
「屋根からお前を探していたんだが…まさか路地に連れ込まれていたとはな」
連れ込まれて?あれ、何か勘違いされてる気が…
「ちょっと待っていろ。今すぐコイツをころs「赤目さんストップ!ステイ!!」はぁ?」
「殺されるのは勘弁したいな…何か勘違いされているようだが、私は人をこんなところに連れ込み何かをするような趣味はない」
「あの人、勘違いで追ってきた衛兵を撒くのを手伝ってくれただけだよ」
「勘違いで追ってきた衛兵って、表通りで「人を投げ飛ばした黒髪の少年」を探してるやつらか?あれを見て、俺はお前が何かやらかしたと思ったんだが…」
「俺悪くないもん」
「やらかしたんだな?」
その疑いの目を止めてくれ。本当に俺は悪くない。神経を逆撫でする物言いをした自覚はあるが、手を出してきた方が悪いって昔先生が言ってたもん。俺悪くない。
事情を説明したら、盛大なため息が返ってきた。なんだよ、失礼な。
そのまま赤目さんの説教が始まりそうになり、咄嗟に俺は吟遊詩人に目線をやる。頼む、止めてくれ。
「……じゃあ、迎えも来たようだし私はそろそろお暇させて貰うよ」
バッチリ目が合ったと思えば、片手をひらりと振る吟遊詩人。逃げる気だこの野郎!!!
「待って!ちょっと待て!!彼奴、何処にいるか知らない?知り合いなんだろ?」
「さぁ。先月、途中で別れたから。今何処に居るかは知らないや。力になれず、申し訳ない」
「そうか…いや、別にいいんだ。情報ありがとう」
ポケットから金貨を取りだし、吟遊詩人に投げる。話に興味はないが、情報にはちゃんと対価はやる。だからな、その物凄く意外って顔止めろ。失礼な。
吟遊詩人と別れ、赤目さんと共に大通りへ戻る。そろそろ依頼を終わらせた三人と合流したら、宿へと戻ってすぐに寝よう。もう疲れた。
「帰ったら話がある」
「説教は勘弁してください」
…どうやら、すぐには寝れないらしい。俺悪くないのに!
今現在、俺リンドウの前で吟遊詩人が語った物語。知っているようで知らない人物の話を聞き、俺は必死に我慢した。
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その勇者と一緒に旅をしている俺にとっては、今の話は非常に笑えるものだった。果たして誰の話なのかと、何度か耳を疑ったものである。
話が終わり、周りに集まっていた人たちが吟遊詩人に金を投げ始めた。こっちでもやっぱチップとかあるんだな。
こういうストリートパフォーマンス系は少しでもチップを投げる物なのだろうが、残念ながら俺はこれを望んで聞いていたわけではない。と言うか、なんなら俺の方が先客なのに、急に来て語られて迷惑してる。
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うるせぇ、こっちだってわりとギリギリなんだよ。精神的に。
ムカついたので、そのまま周りにガンを飛ばしていれば、話を聞きに集まって来ていたおっさんが一人、俺に話しかけてきた。
「おい、坊主。こういうのはな、聞いたら銅貨ぐらい投げるもんだぜ。それが常識だ」
「…悪いが、聞きたくて聞いていた訳じゃない。ここで待ち合わせをしてたらあれがそこで話始めた。つまり不可抗力だ」
「それでも聞いたんだろ?聞きたくなけりゃ、ちょっと移動すれば良かったんだ。しなかったってことは多少興味が…」
「あんな話に興味はない。動かなかったのは、ここから一歩も動くなと言われたからだ。もういいか?それともなんだ。あんたらは無理矢理金を奪いとるような、盗賊紛いの輩なのか?」
鼻で笑いながらそう言えば、癪に触ったのか苛立ちも隠そうともせずにおっさんが声を荒げる。
「ガキがっ!調子のってんじゃ…ギャッ!!」
殴りかかってきたので、その手を取り勢いを利用して投げ飛ばす。勿論、身体強化は使っていない。喧嘩の感覚は鈍っていないからな。
つーか、さっきから坊主だガキだって…チビで悪かったな!!
第一、只でさえ気が立ってっとこにウザい絡みしてくんじゃねぇよ。あー、ムカつく。でもここで過剰防衛なんかしたら俺が衛兵に捕まるし、つかここで待ち合わせはもう無理だな。
おっさんを投げ飛ばした時、多分通報しにいった奴とかいたはずだ。衛兵来る前に逃げたほうがいい。
例え、現在俺が絶賛迷子だとしても、だ。これで問題起こして衛兵のお世話になりましたとか、絶対に赤目さんに怒られる…!
最後に軽くおっさんを蹴って、逃げる方向を決めるために周りを見渡す。
「衛兵さん!あの子供です!!」
「げ、もう来た」
「あの子供が突然、人を投げ飛ばしたんです!!」
「はー!?!?!?」
ふざけんな!!正当防衛だったろ!!先に殴りかかってきたのあのおっさんだぞ!!!突然投げ飛ばしたとか、虚偽の報告すんな!!ややこしくなるだろうが!!!!
「このやろっ…!」
「──こっち」
「…っえ?」
「あっ、待ちなさい!!」
思わず喧嘩モードに入りそうになった俺だが、突然腕を引っ張られたことにより、戦闘体勢が解けてしまった。
そちらを振り向けば、先程の吟遊詩人が俺を引っ張って走り出す。驚きで抵抗もできず、引かれるまま走る。
何やら要り組んだ路地へと入り、右へ左へと進み衛兵を撒こうとする吟遊詩人。
その背を見ながら走り、ぼんやりと俺はこうなった原因を思い出す。
ことの始まりは数時間前。冒険者ギルドでみゃーのと別行動をすることになったところから始まった。
理由は単純で、この数ヶ月の冒険で俺たちはCランクとなり、もうすぐBランクに上がるための試験を受けれるようになったのだ。
しかし、みゃーのだけ依頼の数が指定数に達していなかった。そのため、みゃーのとラナさんとルーファスさんの三人は依頼を受け、面倒くさがった俺はお目付け役の赤目さんと足りない物資の購入をする事にした。シコクは一匹でふらっと探索に出掛けている。
何の問題もなく買い物を済ませ、宿へ戻ろうとしたときだ。俺が集団の移動に巻き込まれ、赤目さんとはぐれてしまった。
正直めっちゃ焦ったよね。知らない人多いし、戻ろうとしても押し返されるし。やっと人波から抜け出せたかと思えば、もう知らない場所だった。
そんなに離れてないし、自力で何とか戻れるだろうと軽く考えていたのだが…
えぇ、えぇ、甘かったのは認めよう。認めたくはないが!!!認めざるを得なかったんですが!!!!
どうやら、俺は方向音痴だったらしい。
迷いに迷い、獣使いのスキルを思い出して小鳥に赤目さんへの手紙を託し、返事が帰ってきての待ち合わせだった。
そこに吟遊詩人がやって来て、動くに動けない俺はそのまま聞くことになり、絡んできたおっさんを投げ飛ばし、何故か吟遊詩人に腕を引かれて現在に至る。
ちなみに、既に衛兵は撒いた。今は路地の一角で休憩をしている。吟遊詩人はいまだに俺の腕を掴んでいた。
「………おい」
「……………」
「……おい!」
「…え?あ、何?」
「何、じゃない。腕、痛いんだけど」
「あぁ、すまない。しかし、あなたは強いんだな。自分より体の大きな男を投げ飛ばすなんて」
「あんな勢い任せの攻撃、カウンターしてくださいって言ってるようなもん。それより、アンタなんで俺の腕掴んだりしたの」
少し睨み付けながら会話をする。吟遊詩人は帽子を目深に被っており、口元しか見えない。おかげで表情が読みにくい。
口元の変化で感情を読もうと努力してみるが、ピクリとも動かず、淡々と言葉を発するだけだった。
「…どうやら、話に聞いていたより随分とお転婆なんだな」
「はぁ?聞いていたって…」
何言ってんの、頭大丈夫?と言うのを飲み込んで我慢する。流石に失礼すぎる。急に逆ギレとかされたら面倒極まりない。
それより、言葉通りに受けとるならこいつは俺を知っている誰かの知り合いということで。俺を知ってる奴なんか王城の人達ぐらいで…
いや、あと一人いる。
「…その話とやらは、一体誰から?」
「ある日突然現れた、君のように黒目黒髪でやけに強く、そのくせ常識がほとんど欠落している不思議な友人から」
「何て言ってた?」
「えぇと、確か『チビですばしっこくて力もないのに、10人の男が相手でも怪我一つなく全員をノックアウトするカウンターの化物な小鬼』って…」
「誰がチビで小鬼だあの野郎!!!」
ちくしょう、そんなこと言ってたとかもう彼奴で確定じゃねぇか。
つか、随分な評価だなぁおい!!!そしてなんだ!!!さっきこの人さりげに「話に聞いていたより」って言ってなかったか!?よりってなんだ!!!この短時間で俺の何を察したんだおい!!!
脳内で散々暴れるが、それを表情に出さないよう話を続ける。
「……ちなみに確認なんだが、そいつの名前は」
「本名かどうかは知らないが、「ロック」と名乗っていた」
「おん…ありがと─」
そこまで聞いたときだった。
「リンドウから離れろ!!」
上から赤目さんが降ってきた。……降ってきた!?
「赤目さん!?なんで上から!?」
「屋根からお前を探していたんだが…まさか路地に連れ込まれていたとはな」
連れ込まれて?あれ、何か勘違いされてる気が…
「ちょっと待っていろ。今すぐコイツをころs「赤目さんストップ!ステイ!!」はぁ?」
「殺されるのは勘弁したいな…何か勘違いされているようだが、私は人をこんなところに連れ込み何かをするような趣味はない」
「あの人、勘違いで追ってきた衛兵を撒くのを手伝ってくれただけだよ」
「勘違いで追ってきた衛兵って、表通りで「人を投げ飛ばした黒髪の少年」を探してるやつらか?あれを見て、俺はお前が何かやらかしたと思ったんだが…」
「俺悪くないもん」
「やらかしたんだな?」
その疑いの目を止めてくれ。本当に俺は悪くない。神経を逆撫でする物言いをした自覚はあるが、手を出してきた方が悪いって昔先生が言ってたもん。俺悪くない。
事情を説明したら、盛大なため息が返ってきた。なんだよ、失礼な。
そのまま赤目さんの説教が始まりそうになり、咄嗟に俺は吟遊詩人に目線をやる。頼む、止めてくれ。
「……じゃあ、迎えも来たようだし私はそろそろお暇させて貰うよ」
バッチリ目が合ったと思えば、片手をひらりと振る吟遊詩人。逃げる気だこの野郎!!!
「待って!ちょっと待て!!彼奴、何処にいるか知らない?知り合いなんだろ?」
「さぁ。先月、途中で別れたから。今何処に居るかは知らないや。力になれず、申し訳ない」
「そうか…いや、別にいいんだ。情報ありがとう」
ポケットから金貨を取りだし、吟遊詩人に投げる。話に興味はないが、情報にはちゃんと対価はやる。だからな、その物凄く意外って顔止めろ。失礼な。
吟遊詩人と別れ、赤目さんと共に大通りへ戻る。そろそろ依頼を終わらせた三人と合流したら、宿へと戻ってすぐに寝よう。もう疲れた。
「帰ったら話がある」
「説教は勘弁してください」
…どうやら、すぐには寝れないらしい。俺悪くないのに!
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