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本編
27、あのアクセサリーの正体
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──時は、騎士にアクセサリーを届けて貰ったところに戻る。
「赤目さんと騎士さん。ちょっとまずいことになりそうなんで、お話いいでしょうか?」
「は?別に俺は構わないが…」
「自分も構いません」
「じゃあ遠慮なく。これなんだけどさ…どうやら防御魔法かかって無さそうなんだよね」
「「何だって?」」
俺は何となくでアクセサリーの正体を察した。あの魔導師のことだから、大人しく防御魔法なんか付与しないと思ったのだ。
まぁ、1%ぐらいは「魔導師の防御魔法のおかけで助かった」という恩を売り付けられているのかと思ったが、そんなことなかった。
アクセサリーの本当の効果は「魔力封じ」。受け取ってすぐ、俺は試しに魔法を使ってみた。最悪の場合を想定してのことだったのだが、まさか本当にそうだとは思わなかった。
結果、俺の魔法は一つも発動しなかった。元々持っていた身体強化も使えない。
俺のスキルで片手剣スキルを取っていたからよかったものの、これを気付かずつけていたら流石にヤバかったな。
赤目さんに渡し、試しに魔法を使わせる。赤目さんも魔法が発動しなかったことに驚き、今すぐ馬車を引き返させようとした。まぁ、止めたけど。
「何故止める!!仮にも勇者の仲間である魔導師が、騙していたのだぞ!?」
「騙されてないよ。すぐ気づいたでしょ?何かしてくるとは思ってたけど、まさかここまでとは俺も予想外だった…」
「まさか、お前に嫌がらせしていたのは…」
「ご名答!ご丁寧に、誰かに罪を擦り付ける用意までしての嫌がらせでした!逆に感心したよね!!」
「馬鹿言ってる場合か!!やはり一度戻って…」
「だからちょっと待ちなさいって」
ここはいっそ、あの魔導師の思い通りになってやろうじゃないか。そう言えば、赤目さんと騎士さんは、俺をあり得ないものを見る目で見てきた。何故だ。
「お前は、馬鹿なのか?」
「そんな真顔で言わなくたっていいじゃないか」
「リンドウ殿、失礼ですが自分も思いました」
「騎士さんまで…!!」
ノリで顔を覆って嘘泣きをすれば、明らかに二人が狼狽えた。まさか嘘泣きが通じるとは。
嘘泣きを止めて、すっと顔を上げる。ふざけてる場合じゃないんだよ。
「いい?流石の俺だって、もう虐めに飽きたんだよ。で、いい加減に止めさすために、一芝居うつわけだ」
「それで、この魔力封じをつける、と?」
「そう。それのせいで俺が大怪我を負えばどうなるか。一回覚えさせた方が早いでしょ」
「しかし…そいつはそれを望んでいるのでは?」
そう、そこだ。あの魔導師は俺が大怪我をし、なんなら最悪死んでくれとも思っているだろう。もしくは、奴隷として売られるよう裏から手を回してたりするかもしれない。
そうすれば、みゃーのが自分を見てくれると思っているのだろうが、そうは問屋が下ろさない。
過去、似たような女がいた。俺やあれと違い、人当たりよくニコニコしているみゃーのは、たまに勘違いされてしまう。しかも、それが全員きつめの女子ばっか。
そういう人種に好かれやすいらしく、俺らはそんな勘違い女たちに多大なる迷惑を掛けられたことがある。
俺はこんなでも一応女子なので、嫉妬を買って酷い虐めを受けた。あれはみゃーのの兄なので、お近づきになろうと大量に女子がすり寄ってくる。一度、そんな彼女たちを殴ろうとしたことがあり、俺とみゃーので全力で止めた。
勿論、みゃーのがそんな女子たちを好きになるなんてことはなく。何なら酷くなっていく俺の虐めにブチ切れたことがある。
ああいう女子は、大概みゃーのの地雷を自分で踏み抜くんだ。何度も見てきた。
そういうわけで、あの魔導師のせいで俺が大怪我を負った場合、大好きな勇者様からのお叱りを受けるわけだ。これ以上の仕返しはないだろう。
アクセサリーをつけ、魔導師の策略に乗ってやろうとすれば、赤目さんから意見がでた。
「しかし、それなら騎士団への連絡はどうするつもりだ。お前が拐われた場所がわからなければ…」
「それは…あ、いいこと思い付いた」
馬車からおり、スキルを使う。獣使いのスキルを使い、鳥に案内を頼もうと思ったのだ。
丁度よさげな小鳥を発見したので、テイムして呼び寄せる。赤目さんに小鳥を渡せば、何か意外と似合ってしまった。イケメンは何しても格好付くからいいな。
「その子が案内してくれるだろうから、配置についたら飛ばしてね」
「お前、何で今スキル」
「細かいことは気にしない!!騎士さんは、戻ってルーファスさんに伝言をお願い。それと、このアクセサリーを調べる道具の用意とかもお願いしておいて」
「分かった」
ルーファスさんへの伝言は、あの魔導師の調査の頼み事。俺への嫌がらせの証拠だって、完璧に消せるわけじゃないだろう。でっち上げでも構わないから、追い込む準備をお願いしたかった。
馬に乗って引き返した騎士さんを見送り、ようやく馬車が進んだ。
その後は、前々回の通りである。わざと攻撃を受け、魔法を封じられたせいで俺は大怪我を負った風にして帰った。気絶もしてたから余計にそれっぽく見えたことだろう。
見えていたと言うか、実際に俺の体は大分酷いものだったらしいが。
俺の苦労は報われ、やり過ぎな気もするがあの魔導師は地下牢に入れられたようだ。これで嫌がらせがなくなる。ざまぁ見ろ。
ちなみに、俺が気絶して帰ってきた時は大変だったらしい。主にみゃーのが。
目撃者である赤目さんとルーファスさんに詳しく聞きたかったのだが、みゃーのに止められてしまった。余計に気になるので、後で聞き出すことにした。
その後、みゃーのに捕まった時に何をされた、どうしたのかを聞かれたので、馬鹿正直に話したら全員に叱られたのは言うまでもないだろう。
「痛みを遮断ってなに!?ボロボロなのに無理して動いたの!?昔から思ってたけど、しおちゃんって自分の体の弱さ理解出来てないよね!!」
「いや、死ななきゃいいかなって」
「貴様はもっと体を大事にしろ!!手当てが間に合わなければ、確実に死んでいたぞ!!」
「え、そんなに酷かっt」
「リンドウ、反省しなさい」
「そうですよリンドウ様。貴方はそのうちルーファス様の子供になるのですから」
「まって、その話本気だったの!?」
「話をそらさない!!」
「今の俺悪くn」
「「「「今すぐベッドに戻る!!!」」」」
「は、はい!!」
まだお昼だったというのに、その後はずっとベッドで過ごした。流石に暇なので読書ぐらいは許可されたが。
そこから数日、起き上がるだけで心配されることとなる。そこまで酷かったのか…俺の体。
「赤目さんと騎士さん。ちょっとまずいことになりそうなんで、お話いいでしょうか?」
「は?別に俺は構わないが…」
「自分も構いません」
「じゃあ遠慮なく。これなんだけどさ…どうやら防御魔法かかって無さそうなんだよね」
「「何だって?」」
俺は何となくでアクセサリーの正体を察した。あの魔導師のことだから、大人しく防御魔法なんか付与しないと思ったのだ。
まぁ、1%ぐらいは「魔導師の防御魔法のおかけで助かった」という恩を売り付けられているのかと思ったが、そんなことなかった。
アクセサリーの本当の効果は「魔力封じ」。受け取ってすぐ、俺は試しに魔法を使ってみた。最悪の場合を想定してのことだったのだが、まさか本当にそうだとは思わなかった。
結果、俺の魔法は一つも発動しなかった。元々持っていた身体強化も使えない。
俺のスキルで片手剣スキルを取っていたからよかったものの、これを気付かずつけていたら流石にヤバかったな。
赤目さんに渡し、試しに魔法を使わせる。赤目さんも魔法が発動しなかったことに驚き、今すぐ馬車を引き返させようとした。まぁ、止めたけど。
「何故止める!!仮にも勇者の仲間である魔導師が、騙していたのだぞ!?」
「騙されてないよ。すぐ気づいたでしょ?何かしてくるとは思ってたけど、まさかここまでとは俺も予想外だった…」
「まさか、お前に嫌がらせしていたのは…」
「ご名答!ご丁寧に、誰かに罪を擦り付ける用意までしての嫌がらせでした!逆に感心したよね!!」
「馬鹿言ってる場合か!!やはり一度戻って…」
「だからちょっと待ちなさいって」
ここはいっそ、あの魔導師の思い通りになってやろうじゃないか。そう言えば、赤目さんと騎士さんは、俺をあり得ないものを見る目で見てきた。何故だ。
「お前は、馬鹿なのか?」
「そんな真顔で言わなくたっていいじゃないか」
「リンドウ殿、失礼ですが自分も思いました」
「騎士さんまで…!!」
ノリで顔を覆って嘘泣きをすれば、明らかに二人が狼狽えた。まさか嘘泣きが通じるとは。
嘘泣きを止めて、すっと顔を上げる。ふざけてる場合じゃないんだよ。
「いい?流石の俺だって、もう虐めに飽きたんだよ。で、いい加減に止めさすために、一芝居うつわけだ」
「それで、この魔力封じをつける、と?」
「そう。それのせいで俺が大怪我を負えばどうなるか。一回覚えさせた方が早いでしょ」
「しかし…そいつはそれを望んでいるのでは?」
そう、そこだ。あの魔導師は俺が大怪我をし、なんなら最悪死んでくれとも思っているだろう。もしくは、奴隷として売られるよう裏から手を回してたりするかもしれない。
そうすれば、みゃーのが自分を見てくれると思っているのだろうが、そうは問屋が下ろさない。
過去、似たような女がいた。俺やあれと違い、人当たりよくニコニコしているみゃーのは、たまに勘違いされてしまう。しかも、それが全員きつめの女子ばっか。
そういう人種に好かれやすいらしく、俺らはそんな勘違い女たちに多大なる迷惑を掛けられたことがある。
俺はこんなでも一応女子なので、嫉妬を買って酷い虐めを受けた。あれはみゃーのの兄なので、お近づきになろうと大量に女子がすり寄ってくる。一度、そんな彼女たちを殴ろうとしたことがあり、俺とみゃーので全力で止めた。
勿論、みゃーのがそんな女子たちを好きになるなんてことはなく。何なら酷くなっていく俺の虐めにブチ切れたことがある。
ああいう女子は、大概みゃーのの地雷を自分で踏み抜くんだ。何度も見てきた。
そういうわけで、あの魔導師のせいで俺が大怪我を負った場合、大好きな勇者様からのお叱りを受けるわけだ。これ以上の仕返しはないだろう。
アクセサリーをつけ、魔導師の策略に乗ってやろうとすれば、赤目さんから意見がでた。
「しかし、それなら騎士団への連絡はどうするつもりだ。お前が拐われた場所がわからなければ…」
「それは…あ、いいこと思い付いた」
馬車からおり、スキルを使う。獣使いのスキルを使い、鳥に案内を頼もうと思ったのだ。
丁度よさげな小鳥を発見したので、テイムして呼び寄せる。赤目さんに小鳥を渡せば、何か意外と似合ってしまった。イケメンは何しても格好付くからいいな。
「その子が案内してくれるだろうから、配置についたら飛ばしてね」
「お前、何で今スキル」
「細かいことは気にしない!!騎士さんは、戻ってルーファスさんに伝言をお願い。それと、このアクセサリーを調べる道具の用意とかもお願いしておいて」
「分かった」
ルーファスさんへの伝言は、あの魔導師の調査の頼み事。俺への嫌がらせの証拠だって、完璧に消せるわけじゃないだろう。でっち上げでも構わないから、追い込む準備をお願いしたかった。
馬に乗って引き返した騎士さんを見送り、ようやく馬車が進んだ。
その後は、前々回の通りである。わざと攻撃を受け、魔法を封じられたせいで俺は大怪我を負った風にして帰った。気絶もしてたから余計にそれっぽく見えたことだろう。
見えていたと言うか、実際に俺の体は大分酷いものだったらしいが。
俺の苦労は報われ、やり過ぎな気もするがあの魔導師は地下牢に入れられたようだ。これで嫌がらせがなくなる。ざまぁ見ろ。
ちなみに、俺が気絶して帰ってきた時は大変だったらしい。主にみゃーのが。
目撃者である赤目さんとルーファスさんに詳しく聞きたかったのだが、みゃーのに止められてしまった。余計に気になるので、後で聞き出すことにした。
その後、みゃーのに捕まった時に何をされた、どうしたのかを聞かれたので、馬鹿正直に話したら全員に叱られたのは言うまでもないだろう。
「痛みを遮断ってなに!?ボロボロなのに無理して動いたの!?昔から思ってたけど、しおちゃんって自分の体の弱さ理解出来てないよね!!」
「いや、死ななきゃいいかなって」
「貴様はもっと体を大事にしろ!!手当てが間に合わなければ、確実に死んでいたぞ!!」
「え、そんなに酷かっt」
「リンドウ、反省しなさい」
「そうですよリンドウ様。貴方はそのうちルーファス様の子供になるのですから」
「まって、その話本気だったの!?」
「話をそらさない!!」
「今の俺悪くn」
「「「「今すぐベッドに戻る!!!」」」」
「は、はい!!」
まだお昼だったというのに、その後はずっとベッドで過ごした。流石に暇なので読書ぐらいは許可されたが。
そこから数日、起き上がるだけで心配されることとなる。そこまで酷かったのか…俺の体。
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