47 / 75
~7. 婚姻の理由~
羨望*
しおりを挟む
ロザリアとの婚姻が決まるまで、自分は生涯、妃は取らないと決めていた。持ち掛けられる縁談は全て丁重に断り、このまま独身を貫くつもりでいた。
第二王子である自分の結婚には、政治的な利があることは理解していた。そこに異論はないし、否定もしない。模範的な王子であれば、王家にもっとも利のある令嬢を、妃として迎えるべきだったのかもしれない。
だけど、譲れなかった。どんなに利があったとしても、生涯で唯一、心惹かれた彼女以外を妻に迎える気は起きなかった。彼女以外の女性には、全く興味が沸かなかった。
◇
それは、五年ほど前のことだったろうか。当時、騎士団に所属していた僕は、レリック公国の数人の要人とともに、セントレア帝国に訪問していた。
初日に王城で開かれた立食形式の歓迎の宴。アーサー皇子の婚約者であった彼女は、セントレア帝国の王家側の人間として、その場に参加していた。
「何か飲まれますか?」
空になった僕のグラスを見て、先にそう声を掛けてくれたのは彼女の方だった。
「あ…、では、水をいただけますか」
「あら、お水で良いのですか…?」
「えぇ。今回、僕は騎士団として参加している身ですから」
「ふふ。真面目ですのね」
そう言って目の前で笑った彼女に、自分でも驚くほど胸が高鳴った。以前にも何度か挨拶を交わしたことはあったが、こんなに近い距離で彼女と話すのは初めてだった。
薄く華奢な肩、白く美しい胸元の肌、柔らかそうな頬に、赤く潤った唇。そして、意志の強い深蒼色の瞳。ほんの一瞬のやり取りの間に、彼女のすべてを目に焼き付けた。
◇
「ロザリア嬢…」
その夜、ベッドの中で目を瞑り、先ほど目に焼き付けた彼女の姿を瞼の裏に浮かべた。
下半身に手を伸ばし、すでに充血しかけている自身を指先で摩る。こんなにも鮮明に、彼女を思い浮かべながら自慰をするのは初めてだった。
手の中で硬くなっていく自身。つい先ほどまで、手を伸ばせば届きそうな距離に彼女がいた。あのドレスの下には、胸元と同じ、白く美しい肌が隠されているのだろう。この肉棒で貫き、あの華奢な身体を揺らしたら、貴女はどんな声で啼くのだろうか。
「ハァ…っ」
想像するだけで、痛いほどに自身が反り勃った。重力に逆らうそれを根元から掴み、上下に擦り上げる。まだ男を知らない貴女の膣内は、これぐらいのキツさだろうか。
先走りの液が射精口から溢れる。零れ落ちそうになるそれを手の平に広げ、そのまま尖端を手の中でグチュグチュと扱く。此処をこのように貴女の奥に擦り付けたら、どんなに気持ちが悦いのだろう。
「ハァ…ッ、あ…っ、…く…ッ!」
肉棒の中心で、子種が昇っていく感覚がする。無垢な彼女の膣内に、欲望の全てを吐き出す瞬間を想像する。
「んん…ッ! 出…る…ッ!」
まさか訪問中のセントレア帝国で、このように自慰に耽ってしまうとは、自分でも思いもよらなかった。罪悪感に襲われながらも、それでも、これほどまでに我を忘れて快感を貪ったのは初めてだった。
第二王子である自分の結婚には、政治的な利があることは理解していた。そこに異論はないし、否定もしない。模範的な王子であれば、王家にもっとも利のある令嬢を、妃として迎えるべきだったのかもしれない。
だけど、譲れなかった。どんなに利があったとしても、生涯で唯一、心惹かれた彼女以外を妻に迎える気は起きなかった。彼女以外の女性には、全く興味が沸かなかった。
◇
それは、五年ほど前のことだったろうか。当時、騎士団に所属していた僕は、レリック公国の数人の要人とともに、セントレア帝国に訪問していた。
初日に王城で開かれた立食形式の歓迎の宴。アーサー皇子の婚約者であった彼女は、セントレア帝国の王家側の人間として、その場に参加していた。
「何か飲まれますか?」
空になった僕のグラスを見て、先にそう声を掛けてくれたのは彼女の方だった。
「あ…、では、水をいただけますか」
「あら、お水で良いのですか…?」
「えぇ。今回、僕は騎士団として参加している身ですから」
「ふふ。真面目ですのね」
そう言って目の前で笑った彼女に、自分でも驚くほど胸が高鳴った。以前にも何度か挨拶を交わしたことはあったが、こんなに近い距離で彼女と話すのは初めてだった。
薄く華奢な肩、白く美しい胸元の肌、柔らかそうな頬に、赤く潤った唇。そして、意志の強い深蒼色の瞳。ほんの一瞬のやり取りの間に、彼女のすべてを目に焼き付けた。
◇
「ロザリア嬢…」
その夜、ベッドの中で目を瞑り、先ほど目に焼き付けた彼女の姿を瞼の裏に浮かべた。
下半身に手を伸ばし、すでに充血しかけている自身を指先で摩る。こんなにも鮮明に、彼女を思い浮かべながら自慰をするのは初めてだった。
手の中で硬くなっていく自身。つい先ほどまで、手を伸ばせば届きそうな距離に彼女がいた。あのドレスの下には、胸元と同じ、白く美しい肌が隠されているのだろう。この肉棒で貫き、あの華奢な身体を揺らしたら、貴女はどんな声で啼くのだろうか。
「ハァ…っ」
想像するだけで、痛いほどに自身が反り勃った。重力に逆らうそれを根元から掴み、上下に擦り上げる。まだ男を知らない貴女の膣内は、これぐらいのキツさだろうか。
先走りの液が射精口から溢れる。零れ落ちそうになるそれを手の平に広げ、そのまま尖端を手の中でグチュグチュと扱く。此処をこのように貴女の奥に擦り付けたら、どんなに気持ちが悦いのだろう。
「ハァ…ッ、あ…っ、…く…ッ!」
肉棒の中心で、子種が昇っていく感覚がする。無垢な彼女の膣内に、欲望の全てを吐き出す瞬間を想像する。
「んん…ッ! 出…る…ッ!」
まさか訪問中のセントレア帝国で、このように自慰に耽ってしまうとは、自分でも思いもよらなかった。罪悪感に襲われながらも、それでも、これほどまでに我を忘れて快感を貪ったのは初めてだった。
10
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様
さくたろう
恋愛
役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。
ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。
恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。
※小説家になろう様にも掲載しています
いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。
その日がくるまでは
キムラましゅろう
恋愛
好き……大好き。
私は彼の事が好き。
今だけでいい。
彼がこの町にいる間だけは力いっぱい好きでいたい。
この想いを余す事なく伝えたい。
いずれは赦されて王都へ帰る彼と別れるその日がくるまで。
わたしは、彼に想いを伝え続ける。
故あって王都を追われたルークスに、凍える雪の日に拾われたひつじ。
ひつじの事を“メェ”と呼ぶルークスと共に暮らすうちに彼の事が好きになったひつじは素直にその想いを伝え続ける。
確実に訪れる、別れのその日がくるまで。
完全ご都合、ノーリアリティです。
誤字脱字、お許しくださいませ。
小説家になろうさんにも時差投稿します。

【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
藍生蕗
恋愛
子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。
しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。
いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。
※ 本編は4万字くらいのお話です
※ 他のサイトでも公開してます
※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。
※ ご都合主義
※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!)
※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
→同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話
下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。
御都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
無能令嬢だと見離された私ですが、美貌の公爵様がなぜか放っておいてくれません
天宮叶
恋愛
魔法使いの名門であるエルシー伯爵家に産まれたルーナ。
期待されながら育てられたルーナだったが、魔力測定の儀式を受けた際に魔力がないことがわかってしまう。
そして魔力のないルーナのことを両親は咎め、空気のように扱うようになった。また妹であるケティが膨大な魔力を有しているとわかると、ルーナの扱いはますます酷くなってしまう。
ある日、ケティの引き立て役として一緒に参加したデビュタント。
そこでルーナは周りから無能令嬢だと馬鹿にされてしまう。
さらに男に絡まれてしまい、困っていると美貌の公爵と呼ばれているフェリクスが通りかかり助けてくれる。
フェリクスにお礼を伝えて別れようとしたルーナだったが、なぜかフェリクスに呼び止められてしまう。
さらにルーナにはフェリクスの魅了の魔法が効かないことがわかり──
無能だと馬鹿にされてきた令嬢が、天才魔法使いの公爵の力を借りて、強く成長していくファンタジーラブロマンスです!
よろしくお願いします(●´ω`●)

【溺愛のはずが誘拐?】王子様に婚約破棄された令嬢は引きこもりましたが・・・お城の使用人達に可愛がられて楽しく暮らしています!
五月ふう
恋愛
ザルトル国に来てから一ヶ月後のある日。最愛の婚約者サイラス様のお母様が突然家にやってきた。
「シエリさん。あなたとサイラスの婚約は認められないわ・・・!すぐに荷物をまとめてここから出ていって頂戴!」
「え・・・と・・・。」
私の名前はシエリ・ウォルターン。17歳。デンバー国伯爵家の一人娘だ。一ヶ月前からサイラス様と共に暮らし始め幸せに暮していたのだが・・・。
「わかったかしら?!ほら、早く荷物をまとめて出ていって頂戴!」
義母様に詰め寄られて、思わずうなずきそうになってしまう。
「な・・・なぜですか・・・?」
両手をぎゅっと握り締めて、義母様に尋ねた。
「リングイット家は側近として代々ザルトル王家を支えてきたのよ。貴方のようなスキャンダラスな子をお嫁さんにするわけにはいかないの!!婚約破棄は決定事項です!」
彼女はそう言って、私を家から追い出してしまった。ちょうどサイラス様は行方不明の王子を探して、家を留守にしている。
どうしよう・・・
家を失った私は、サイラス様を追いかけて隣町に向かったのだがーーー。
この作品は【王子様に婚約破棄された令嬢は引きこもりましたが・・・お城の使用人達に可愛がられて楽しく暮らしています!】のスピンオフ作品です。
この作品だけでもお楽しみいただけますが、気になる方は是非上記の作品を手にとってみてください。
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる