公国第二王子の一途な鐘愛 〜白い結婚ではなかったのですか!?〜

緑野 蜜柑

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~3. 深瞳の恋慕~

秘かな恋慕*

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蜜を纏いながら、殿下がズプ…ズプ…と探るようにゆっくりと動く。

「あ…っ、ハァ…、ん…っ」
「痛くはないか」

殿下の問いにコクコクと頷く。充分に潤ったそこに痛みはない。膣内を繰り返し押し拡げる殿下を、従順に飲み込んでいる。

「ひゃ…ッ!?」

硬い尖端がわたくしのお腹側を擦った瞬間、小さく叫び声が漏れた。

「あぁ、此処か…?」
「だ、だめ…ッ、其処は…っ、待…っ、あっ、やぅ…ッ、殿下…っ!」
「ほら、あまり喘ぐとレイラに聞こえるぞ」
「─…っ!?」

殿下の言葉に反射的に声を抑える。え…? レイラに聞こえる…? どういうこと…? 

「ドアの外で立っているそうだ」
「え…?」
「貴女が苦しそうな声をあげたら、その時点で乱入すると言っていた」
「─…ッ!」

その言葉に慌てて手で口を押さえる。そんなわたくしを見て殿下は意地悪く笑うと、わたくしの手首を掴んでベッドに押さえつけた。

「で、殿下…!? う、動いちゃ、ダメ…ッ、やぁ…ッ、こ、声が…っ!」
「ほら、静かに」

そう言いながら、わたくしの反応を愉しむように、殿下が繰り返し悦い箇所をこする。わざとわたくしに声を上げさせるみたいに。

「んん…ッ、い、意地悪、ですわ…っ、だめ、これ…ッ、声、我慢できな…っ、あぁ…ッ」
「…意地悪なのは、貴女のせいだがな」

そう小さく笑うと、殿下がわたくしの声を深いキスで塞いだ。舌が絡まり、喘ぎ声が殿下に飲み込まれていく。

逞しい殿下の腕の中で繰り返し揺らされ、吐き出せない喘ぎに息が苦しくなってくる。蓄積する快感に身体が熱くなり、昇っていく気配がする。

「で、殿下…ッ、あ…ッ、も、もう…っ♡」

サイラス殿下が腰の動きを速める。目を瞑り、快感を追うその表情を見て、ふと、湧き上がる感情に気付いた。

今、殿下と身体を重ねているのはわたくし。だけど、その瞼の向こうで、殿下は彼女の姿を浮かべているのではないかしら…

「殿下…っ」

手を伸ばして、サイラス殿下の頬に触れる。瞼を開けた瞳が私を見て、優しく微笑む。

あぁ、この気持ちはまずい…。この人に対して抱いてはいけないものだ。止めなくては…

だけど沸き上がってくる快感の中で、心が願ってしまった。今だけは、わたくしを見て欲しい、と。

「…っく、ロザ…リア─…っ」

そうわたくしの名を呼びながら自身を震わせる殿下が堪らなく愛しかった。気付けばわたくしは、殿下をきつく抱き締めていた。
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