公国第二王子の一途な鐘愛 〜白い結婚ではなかったのですか!?〜

緑野 蜜柑

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~2. 王位継承権~

白昼下の愛撫*

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「で、殿下…っ」

手際良くドレスの背の紐を緩められ、その下のボタンが外されていく。スカートの重みで落ちそうになるドレスをわたくしは慌てて胸元で支えた。

「ひゃ…ッ」

サイラス殿下の手が背中から侵入する。思わず小さな叫び声を出すと、殿下の大きな手がそのままわたくしの肌を撫でた。

「や…、ん…っ」
「歳の近いクラウスの方が、貴女とは話が合ったか?」
「え…?」

その言葉の意図が分からず顔を上げる。目が合った殿下は、微かに眉をしかめた。

「わ…!」

くるりと体の向きを180度変えられ、壁際を向かされる。これでは殿下の表情が見えない。

" 歳の近いクラウスの方が "…? クラウス王子とわたくしとの歳の差は三つ。一方で、サイラス殿下とは七つ離れているから、確かにクラウス王子との方が歳は近いけれど…

「で、殿下…? 今のはどういう…」
「ああいう綺麗な顔をした男の方が好きなのか、という話だ」

ますます意味がわからない。綺麗な顔…? クラウス王子にはまだ少年らしさが残っており、中性的な美しさがある。黙っていれば、まさしく "王子様" で、現にレリック公国の民からも絶大な人気だと聞く。

でも、顔立ちはサイラス殿下と似ていらっしゃるし、あと数年もすれば、彼もサイラス殿下のように逞しい男性へとなっていくのではないかしら…

そんなお二人が並んだら、きっと素敵だ。今は拗らせているクラウス王子も、その頃にはもう少し素直になっているかもしれない。

「あ…っ、待…っ」

殿下の手がドレスの生地の下を這い、背後からわたくしの乳房を包んだ。そのまま指先がフニフニとその膨らみを弄び始める。

「で、殿下…っ、ま、まだ昼間ですわ…っ」

傾きかけた昼の光が、部屋の奥まで差し込んでいる。まだ夕刻まで数時間はある。こんな明るい時間から肌を晒し、こんなこと…

「よ、夜に…、準備をして、もう一度参りますから…っ、ひぁ…ッ!?」

首の背に生温かいものが這った。殿下の舌だ。ヌル…と背中の中央を舐め上げられ、背筋がゾクッとする。

「…貴女の匂いがする」

その言葉に我に返る。やはり駄目。なんの準備もできていない身で、これ以上は…

「で、殿下…っ、せ、せめて湯浴みを…」
「必要ない。昨夜、貴女が付けていた香油より、僕はこちらのほうが好きだ…」

そう答えた殿下は、わたくしの背中にもう一度唇を押し付け、そのままチュウ…と吸い上げた。
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