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~3. 深瞳の恋慕~
情事の反動
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「おはようございます。ロザリア妃殿下」
「おはよう、レイラ」
「サイラス殿下から本日の薔薇を承りました」
そう言って花瓶に生けた薔薇── "ロゼ・ブランシュ" を、専属メイドのレイラが私のベッドの横の窓辺に飾った。
「あの…、サイラス殿下は、何か言っていらした…?」
「いいえ? 妃殿下には何も言付けないと、殿下の御顔を拝見した瞬間にお伝えしましたから」
「そ、そう…なのね…?」
いつもと変わらぬ笑みを見せるレイラは、実は今、怒り狂っている。
◇
3日前、殿下の部屋で抱かれた私は、行為が終わった途端に力尽き、気を失った。そして、次に気付いた時には、自室のベッドの上だった。
腰がすっかり抜けてしまっていて、立つことが出来なかった。殿下を受け入れた後、私の身体は殿下の肉棒に何度も責められ、ある意味、想定通りの有り様となった訳だ。
気を失っていた間の私の介抱は全てレイラがやってくれたらしい。いつの間にか肌触りの良い寝着に着替えが済んでいて、腰の痛み以外には不快な箇所もなく、私の身なりは整えられていた。
それだけではなく。なんと、レイラはメイドという立場ながら、雇い主のサイラス殿下に向かって、私への一週間の接触禁止を言い渡したそうだ。レイラのあまりの剣幕に殿下も大人しく従い、今日で接触禁止も3日目だ。
「あのね、レイラ…、私は別にサイラス殿下を怒ってはいないのよ…?」
「妃殿下は甘すぎます…! もっと怒ってください、全力で…!」
そう強く言うレイラに苦笑する。このやり取りは何度目だろうか。
「妃殿下のお身体への配慮もできないなんて、そんなの第二王子であってもクズですからね…?」
「そ、そうね…?」
「しかも、時と場所も弁えずに及ぶなんて、そんなの獣ですからね、獣…!」
「で、殿下は、獣では…」
全く衰えないレイラの勢いにたじろぐ。殿下相手に暴言もいい所だ。
本来の閨ではない時間に行為に及んだのは殿下ではあるけれど、私も殿下を煽った気がするし、殿下に向けられたレイラの苦言は、私のせいでもあるような気がする…
というか、閨の行為が激しかったぐらいで接触禁止になる面倒な妻など、早々に愛想を尽かされるのではないかしら…
「妃殿下は優しすぎますわ」
「そんなことはないと思うけど…」
「こういう時にビシっと躾けないと!」
「い、犬ではないのだから…」
「犬みたいなもんですよ。妃殿下には絶対服従なんですから、殿下は」
そう力説するレイラに、私は首を傾げて苦笑した。
「おはよう、レイラ」
「サイラス殿下から本日の薔薇を承りました」
そう言って花瓶に生けた薔薇── "ロゼ・ブランシュ" を、専属メイドのレイラが私のベッドの横の窓辺に飾った。
「あの…、サイラス殿下は、何か言っていらした…?」
「いいえ? 妃殿下には何も言付けないと、殿下の御顔を拝見した瞬間にお伝えしましたから」
「そ、そう…なのね…?」
いつもと変わらぬ笑みを見せるレイラは、実は今、怒り狂っている。
◇
3日前、殿下の部屋で抱かれた私は、行為が終わった途端に力尽き、気を失った。そして、次に気付いた時には、自室のベッドの上だった。
腰がすっかり抜けてしまっていて、立つことが出来なかった。殿下を受け入れた後、私の身体は殿下の肉棒に何度も責められ、ある意味、想定通りの有り様となった訳だ。
気を失っていた間の私の介抱は全てレイラがやってくれたらしい。いつの間にか肌触りの良い寝着に着替えが済んでいて、腰の痛み以外には不快な箇所もなく、私の身なりは整えられていた。
それだけではなく。なんと、レイラはメイドという立場ながら、雇い主のサイラス殿下に向かって、私への一週間の接触禁止を言い渡したそうだ。レイラのあまりの剣幕に殿下も大人しく従い、今日で接触禁止も3日目だ。
「あのね、レイラ…、私は別にサイラス殿下を怒ってはいないのよ…?」
「妃殿下は甘すぎます…! もっと怒ってください、全力で…!」
そう強く言うレイラに苦笑する。このやり取りは何度目だろうか。
「妃殿下のお身体への配慮もできないなんて、そんなの第二王子であってもクズですからね…?」
「そ、そうね…?」
「しかも、時と場所も弁えずに及ぶなんて、そんなの獣ですからね、獣…!」
「で、殿下は、獣では…」
全く衰えないレイラの勢いにたじろぐ。殿下相手に暴言もいい所だ。
本来の閨ではない時間に行為に及んだのは殿下ではあるけれど、私も殿下を煽った気がするし、殿下に向けられたレイラの苦言は、私のせいでもあるような気がする…
というか、閨の行為が激しかったぐらいで接触禁止になる面倒な妻など、早々に愛想を尽かされるのではないかしら…
「妃殿下は優しすぎますわ」
「そんなことはないと思うけど…」
「こういう時にビシっと躾けないと!」
「い、犬ではないのだから…」
「犬みたいなもんですよ。妃殿下には絶対服従なんですから、殿下は」
そう力説するレイラに、私は首を傾げて苦笑した。
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