公国第二王子の一途な鐘愛 〜白い結婚ではなかったのですか!?〜

緑野 蜜柑

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~3. 深瞳の恋慕~

情事の反動

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「おはようございます。ロザリア妃殿下」
「おはよう、レイラ」
「サイラス殿下から本日の薔薇を承りました」

そう言って花瓶に生けた薔薇── "ロゼ・ブランシュ" を、専属メイドのレイラがわたくしのベッドの横の窓辺に飾った。

「あの…、サイラス殿下は、何か言っていらした…?」
「いいえ? 妃殿下には何も言付ことづけないと、殿下の御顔を拝見した瞬間にお伝えしましたから」
「そ、そう…なのね…?」

いつもと変わらぬ笑みを見せるレイラは、実は今、怒り狂っている。



3日前、殿下の部屋で抱かれたわたくしは、行為が終わった途端に力尽き、気を失った。そして、次に気付いた時には、自室のベッドの上だった。

腰がすっかり抜けてしまっていて、立つことが出来なかった。殿下を受け入れた後、わたくしの身体は殿下の肉棒に何度も責められ、ある意味、想定通りの有り様となった訳だ。

気を失っていた間のわたくしの介抱は全てレイラがやってくれたらしい。いつの間にか肌触りの良い寝着に着替えが済んでいて、腰の痛み以外には不快な箇所もなく、わたくしの身なりは整えられていた。

それだけではなく。なんと、レイラはメイドという立場ながら、雇い主のサイラス殿下に向かって、わたくしへの一週間の接触禁止を言い渡したそうだ。レイラのあまりの剣幕に殿下も大人しく従い、今日で接触禁止も3日目だ。

「あのね、レイラ…、わたくしは別にサイラス殿下を怒ってはいないのよ…?」
「妃殿下は甘すぎます…! もっと怒ってください、全力で…!」

そう強く言うレイラに苦笑する。このやり取りは何度目だろうか。

「妃殿下のお身体への配慮もできないなんて、そんなの第二王子であってもクズですからね…?」
「そ、そうね…?」
「しかも、時と場所も弁えずに及ぶなんて、そんなの獣ですからね、獣…!」
「で、殿下は、獣では…」

全く衰えないレイラの勢いにたじろぐ。殿下相手に暴言もいい所だ。

本来の閨ではない時間に行為に及んだのは殿下ではあるけれど、わたくしも殿下を煽った気がするし、殿下に向けられたレイラの苦言は、わたくしのせいでもあるような気がする…

というか、閨の行為が激しかったぐらいで接触禁止になる面倒な妻など、早々に愛想を尽かされるのではないかしら…

「妃殿下は優しすぎますわ」
「そんなことはないと思うけど…」
「こういう時にビシっと躾けないと!」
「い、犬ではないのだから…」
「犬みたいなもんですよ。妃殿下には絶対服従なんですから、殿下は」

そう力説するレイラに、わたくしは首を傾げて苦笑した。
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