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学年末試験ゲーム
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「及川くん…っ」
次の日、私は朝早く登校し、下駄箱の前で及川くんに声をかけた。
「え…?どうしたの、楓音ちゃん」
驚いた顔で及川くんが私を見る。
「来週の期末テスト。私と勝負して」
「え…っ?」
「私が勝ったら、聞いてほしいことがあるの」
「いいけど…。てっきり勝負を挑んでくるのは鈴木くんだけだと思ってた」
「え…?」
「鈴木くんともさっき同じ話をしたばっかりなんだ」
なんで…
鈴木くんは何を挑む必要があるのだろう…
「鈴木くんとの勝負の内容は楓音ちゃんには言えないけど、今度こそ俺は鈴木くんには負けない。だから楓音ちゃんにも手加減できないよ」
「うん、大丈夫。そもそもテストなんだから、手加減とかしたら駄目だと思う…」
「確かにね」
そう言って及川くんは笑った。
学年末テストは全13科目。
そのうち、選択科目を除く計7科目の上位10名の順位が学年掲示板に貼り出される。
試験期間は4日間。
4日間、すべての科目に最善を尽くした。
それは及川くんも鈴木くんもきっと同じ。
一週間後、朝早く登校すると、廊下に結果が貼り出されていた。そして、一番上に私の名前があった。
二段目に及川くん、三段目に鈴木くん。二人との点差は、僅か2点と4点だった。
「げ…っ、マジかー…!」
登校してきた鈴木くんが頭を抱えてしゃがみこむ。
「あとちょっとじゃないか…」
なんとも落胆した声…。
そんなに悔しがるなんて、一体及川くんと何を勝負したのだろう。
「だ、大丈夫…?鈴木くん…」
「早野、よかったな」
頭を抱えたまま私を見上げた鈴木くんは、そう言ってニカッと笑った。
「おはよう。楓音ちゃんが一番で鈴木くんが三番だね」
飄々と現れた及川くんは、ちらり掲示板を見ると、特に表情を崩さずそう言った。
「及川、先にお前と話したいんだけど、いいか」
「いいよ。楓音ちゃん、今日放課後でもいいかな」
「う、うん!」
「じゃ、行こっか、鈴木くん」
そう言って、二人は廊下を歩いて行ってしまった。
一時間目が始まる直前に教室に戻ってきた鈴木くんは、スッキリとした表情をしているような気がした。
放課後。
昇降口で及川くんが待っていた。駅までの途中の公園に立ち寄り、並んでベンチに腰かけた。
「鈴木くんにも楓音ちゃんにも勝つつもりだったんだけどな…」
「私だって、そう何度も負けてられないよ」
「うん…。聞くよ…、何でも」
私を見てそう言った顔は、優しい表情をしていた。
及川くんと離れた3ヶ月。
鈴木くんのいいところをたくさん知った。
優しくて、一生懸命で、真っ直ぐな鈴木くん。鈴木くんのおかげで、私は今、及川くんの横にいる。
伝えたい、ただひとつの気持ちを持って。
静かに深く息を吸って、私はその気持ちを口にした。
「私は、及川くんが、好き…」
数秒間が空いて、及川くんは目をキョトンとさせて私を見ていた。意を決して告白をしたのに、謎の沈黙に気恥ずかしくなる。
「え…、楓音ちゃん、俺のこと…好きなの」
「う、うん…」
「それは、付き合いたいっていう意味で…?」
「うん…。及川くんじゃなきゃ駄目だって気付いたから…」
「え…、鈴木くんじゃないの…?」
「う、うん…」
何がどうなってそうなったのかわからないけど、及川くんは呆気にとられた顔をして、「鈴木くんめ…」と呟いて笑った。
「色々、聞きたいことはあるけど、とりあえず抱き締めてもいいかな」
「う…、うん」
ベンチに座ったまま、ぎゅうっと及川くんに抱き締められる。
久しぶりの腕の中。
でも、前までの当惑した感じじゃない。
どこか幸せな気持ち。
「今度はゲームじゃなくて、俺と…付き合って」
「うん…」
「好きだよ、楓音ちゃん」
「私も、及川くんが好き…」
戻ってきたのだ。この場所に。
次の日、私は朝早く登校し、下駄箱の前で及川くんに声をかけた。
「え…?どうしたの、楓音ちゃん」
驚いた顔で及川くんが私を見る。
「来週の期末テスト。私と勝負して」
「え…っ?」
「私が勝ったら、聞いてほしいことがあるの」
「いいけど…。てっきり勝負を挑んでくるのは鈴木くんだけだと思ってた」
「え…?」
「鈴木くんともさっき同じ話をしたばっかりなんだ」
なんで…
鈴木くんは何を挑む必要があるのだろう…
「鈴木くんとの勝負の内容は楓音ちゃんには言えないけど、今度こそ俺は鈴木くんには負けない。だから楓音ちゃんにも手加減できないよ」
「うん、大丈夫。そもそもテストなんだから、手加減とかしたら駄目だと思う…」
「確かにね」
そう言って及川くんは笑った。
学年末テストは全13科目。
そのうち、選択科目を除く計7科目の上位10名の順位が学年掲示板に貼り出される。
試験期間は4日間。
4日間、すべての科目に最善を尽くした。
それは及川くんも鈴木くんもきっと同じ。
一週間後、朝早く登校すると、廊下に結果が貼り出されていた。そして、一番上に私の名前があった。
二段目に及川くん、三段目に鈴木くん。二人との点差は、僅か2点と4点だった。
「げ…っ、マジかー…!」
登校してきた鈴木くんが頭を抱えてしゃがみこむ。
「あとちょっとじゃないか…」
なんとも落胆した声…。
そんなに悔しがるなんて、一体及川くんと何を勝負したのだろう。
「だ、大丈夫…?鈴木くん…」
「早野、よかったな」
頭を抱えたまま私を見上げた鈴木くんは、そう言ってニカッと笑った。
「おはよう。楓音ちゃんが一番で鈴木くんが三番だね」
飄々と現れた及川くんは、ちらり掲示板を見ると、特に表情を崩さずそう言った。
「及川、先にお前と話したいんだけど、いいか」
「いいよ。楓音ちゃん、今日放課後でもいいかな」
「う、うん!」
「じゃ、行こっか、鈴木くん」
そう言って、二人は廊下を歩いて行ってしまった。
一時間目が始まる直前に教室に戻ってきた鈴木くんは、スッキリとした表情をしているような気がした。
放課後。
昇降口で及川くんが待っていた。駅までの途中の公園に立ち寄り、並んでベンチに腰かけた。
「鈴木くんにも楓音ちゃんにも勝つつもりだったんだけどな…」
「私だって、そう何度も負けてられないよ」
「うん…。聞くよ…、何でも」
私を見てそう言った顔は、優しい表情をしていた。
及川くんと離れた3ヶ月。
鈴木くんのいいところをたくさん知った。
優しくて、一生懸命で、真っ直ぐな鈴木くん。鈴木くんのおかげで、私は今、及川くんの横にいる。
伝えたい、ただひとつの気持ちを持って。
静かに深く息を吸って、私はその気持ちを口にした。
「私は、及川くんが、好き…」
数秒間が空いて、及川くんは目をキョトンとさせて私を見ていた。意を決して告白をしたのに、謎の沈黙に気恥ずかしくなる。
「え…、楓音ちゃん、俺のこと…好きなの」
「う、うん…」
「それは、付き合いたいっていう意味で…?」
「うん…。及川くんじゃなきゃ駄目だって気付いたから…」
「え…、鈴木くんじゃないの…?」
「う、うん…」
何がどうなってそうなったのかわからないけど、及川くんは呆気にとられた顔をして、「鈴木くんめ…」と呟いて笑った。
「色々、聞きたいことはあるけど、とりあえず抱き締めてもいいかな」
「う…、うん」
ベンチに座ったまま、ぎゅうっと及川くんに抱き締められる。
久しぶりの腕の中。
でも、前までの当惑した感じじゃない。
どこか幸せな気持ち。
「今度はゲームじゃなくて、俺と…付き合って」
「うん…」
「好きだよ、楓音ちゃん」
「私も、及川くんが好き…」
戻ってきたのだ。この場所に。
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