【完結】定期試験ゲーム 〜俺が勝ったら彼女になって〜

緑野 蜜柑

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Kiss

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人気ひとけのない放課後の北校舎。

先日の中間テストでゲームに負けた私は、先程から及川くんのキスの攻撃を受けていた。

深く重なる唇。戸惑う私の口をこじ開けて、及川くんの舌が入ってくる。

「んん…っ、待っ…てってば…!」

「濃いの、しようねって言ったじゃん」

「し、舌入ってくるとか、聞いてない…っ」

私の言葉に及川くんは一瞬キョトンとした表情を見せ、ポンポンと頭を軽く叩くと、そのままぎゅっと抱きしめた。

「なっ、何…!?」

「楓音ちゃんって、なんにも知らないんだなぁ…」

「バ、バカにしてる?」

「いや。壮絶に可愛いなと思ってる」

「い、意味わかんない…」

どう考えても、バカにされている気がする。

「いやー…、彼氏としては迷うよね」

「な、何が…?」

「楓音ちゃんのそういうとこ、俺の手で壊したいような、簡単には壊したくないような…」

「…?」

言葉の意図を読み取れない私に、及川くんはもう一度だけ、軽いキスをするとニッコリ笑った。

「そういえばさぁ、楓音ちゃん、鈴木くんに結構色々されたでしょ」

「え…?」

「つーか、中庭!何で俺の知らないとこで鈴木くんと会ってんの」

鼻先をムギュっとされる。

「な、なんで知って…」

「3階の渡り廊下から丸見えだったよ。つーか、あのとき、告白するわ頬にキスするわ、鈴木くん、結構やってくれたよね」

確かに…
あれはびっくりした。

「あげく、未遂とはいえ、化学準備室では無理矢理キスまでしようとしやがって…。俺が行かなかったらファーストキスは鈴木くんだったね、楓音ちゃん」

「う…、うん」

「あんなとこで二人きりになるなんて、油断しすぎでしょうが」

ほっぺをムギュっとつねられる。

い、痛い…
いつの間にか怒りの矛先が私に…


「多分、鈴木くん、まだ楓音ちゃんのコト諦めないと思うんだよね」

「え…?」

「ゲームに負けたし、この前のコトもあるし、当分は大人しいだろうけどさ」

及川くんの手が、私の頬を包む。
鼻が当たりそうな至近距離にドキドキする。

「そう簡単に諦められるような女の子じゃないから、楓音ちゃんは」

満足気にそう言うと、静かに唇が重なった。

優しいキスに、私は目を閉じた。
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