【完結】定期試験ゲーム 〜俺が勝ったら彼女になって〜

緑野 蜜柑

文字の大きさ
上 下
7 / 19

Kiss

しおりを挟む
人気ひとけのない放課後の北校舎。

先日の中間テストでゲームに負けた私は、先程から及川くんのキスの攻撃を受けていた。

深く重なる唇。戸惑う私の口をこじ開けて、及川くんの舌が入ってくる。

「んん…っ、待っ…てってば…!」

「濃いの、しようねって言ったじゃん」

「し、舌入ってくるとか、聞いてない…っ」

私の言葉に及川くんは一瞬キョトンとした表情を見せ、ポンポンと頭を軽く叩くと、そのままぎゅっと抱きしめた。

「なっ、何…!?」

「楓音ちゃんって、なんにも知らないんだなぁ…」

「バ、バカにしてる?」

「いや。壮絶に可愛いなと思ってる」

「い、意味わかんない…」

どう考えても、バカにされている気がする。

「いやー…、彼氏としては迷うよね」

「な、何が…?」

「楓音ちゃんのそういうとこ、俺の手で壊したいような、簡単には壊したくないような…」

「…?」

言葉の意図を読み取れない私に、及川くんはもう一度だけ、軽いキスをするとニッコリ笑った。

「そういえばさぁ、楓音ちゃん、鈴木くんに結構色々されたでしょ」

「え…?」

「つーか、中庭!何で俺の知らないとこで鈴木くんと会ってんの」

鼻先をムギュっとされる。

「な、なんで知って…」

「3階の渡り廊下から丸見えだったよ。つーか、あのとき、告白するわ頬にキスするわ、鈴木くん、結構やってくれたよね」

確かに…
あれはびっくりした。

「あげく、未遂とはいえ、化学準備室では無理矢理キスまでしようとしやがって…。俺が行かなかったらファーストキスは鈴木くんだったね、楓音ちゃん」

「う…、うん」

「あんなとこで二人きりになるなんて、油断しすぎでしょうが」

ほっぺをムギュっとつねられる。

い、痛い…
いつの間にか怒りの矛先が私に…


「多分、鈴木くん、まだ楓音ちゃんのコト諦めないと思うんだよね」

「え…?」

「ゲームに負けたし、この前のコトもあるし、当分は大人しいだろうけどさ」

及川くんの手が、私の頬を包む。
鼻が当たりそうな至近距離にドキドキする。

「そう簡単に諦められるような女の子じゃないから、楓音ちゃんは」

満足気にそう言うと、静かに唇が重なった。

優しいキスに、私は目を閉じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

スパルタ上司と甘くとろけるチョコレートキス

散りぬるを
恋愛
2月14日バレンタインデー。その日、大園紗和(26)は朝から頭を悩ませていた。 物腰柔らかな口調とは裏腹に、妥協を許さないスパルタ上司ーー米山将彦(34)にチョコを渡すかどうかで。 それは「日頃のお礼として」用意したチョコだったのだが、米山に対して苦手意識を持つ紗和は、昼休みになっても渡せずにいた。しかし、ふいに訪れた2人きりの時間。そしてまさかの、米山からの告白。 会社では見せることのない米山の意外な一面に、紗和はドキドキしてしまって……? 最初から最後まで甘い、バレンタインデーをテーマにした短編です。 ※ムーンライトノベルズからの転載です。

最愛の彼

詩織
恋愛
部長の愛人がバレてた。 彼の言うとおりに従ってるうちに私の中で気持ちが揺れ動く

処理中です...