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失恋の理由④
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次の日の朝、会社に行こうと家を出ると、エレベーターの手前で西野さんが立っていた。
「西野さん…」
「おはようございます。朝からすみません。あの、栗原さんに謝りたくて…」
頭を掻きながら少し気まずそうに西野さんが言う。でも、その雰囲気は、昨日の冷たいものとは少し異なっていた。
「あ、謝らなくちゃいけないのは、あたしの方で…」
「いいんです、それはもう。自分の方こそ、冷たい態度を取ってすみません」
そう言って西野さんが笑う。柔らかいその笑顔はいつもの西野さんで、何が理由で態度が緩んだのかはわからなかったけれど、心がふわっと温かくなった。
◇
「あの…、昨日、すみません。芽衣ちゃんと盗み見るようなことをして…」
「あぁ、いえ。あれは、あんな場所で話していたこちらが悪いです」
駅までの道を並んで歩きながら、西野さんがそう笑う。本当にいつも通りの西野さんに戻っている。なんなら少し機嫌がいいぐらいかもしれない…
「…栗原さんには、以前話しましたよね。同棲していた元カノのこと」
「あ、はい…、一緒にホームセンターに行ったときに…」
「それが、昨日の女性なんです」
やはり昨日の女性が美月さんだったのだ。だとしたらやっぱり、復縁…したとか?だから今日の西野さんは機嫌が良いのだろうか。
「そう…だったんですね。すごい綺麗な人だったので、さすが西野さんだなーって、芽衣ちゃんと話してて…」
「何がさすがなのかは、わかりませんが…」
そう言いながら、西野さんが苦笑する。その表情を見ていたら、西野さんの瞳が急にあたしの方を向いて、ドキッとした。
「栗原さんと同じなんです」
「え…?」
「別れた原因は、彼女の浮気で…」
驚いて言葉を失う。悠真の浮気現場を見てしまった時と同じように、心臓が冷たいものに掴まれる。
「…勝手な人で。彼女の方から別れを切り出してきたくせに、何度かやり直さないかと言われていて。昨日もその話でした」
「……」
「でも、同棲を解消した時に、彼女とは二度と復縁はしないと自分は心に決めたんです」
穏やかな表情のまま、西野さんが淡々と話していく。返す言葉がない。あんなにお似合いに見えた二人だったのに。それに、西野さんは彼女に未練があって、忘れられないのだと思っていたのに。
「まぁ、そう言うと格好いいんですけど、実際は、情けないことに何度も揺れたんです」
「え…?」
「彼女も反省している。やり直せるかもしれない。浮気なんてされないように、自分がもっと頑張れば…なんて。未練たらしくそんなことを考えたり」
「……」
「栗原さんには偉そうにあんなことを言ったけど、自分も同じだったなって、昨日彼女と話していて思い出しました」
過去を振り返るように、西野さんが笑う。
「一昨日は、栗原さんと自分を重ねていたんだと思います。だからついムキになって、キツイ言葉を使ってしまった…」
「……」
「別れるべきだと頭では理解しているのに、心は簡単ではないこと、僕自身もそれはよくわかっていたのに。本当に、すみませんでした」
そう言うと、西野さんがあたしに頭を下げた。
「西野さん…」
「おはようございます。朝からすみません。あの、栗原さんに謝りたくて…」
頭を掻きながら少し気まずそうに西野さんが言う。でも、その雰囲気は、昨日の冷たいものとは少し異なっていた。
「あ、謝らなくちゃいけないのは、あたしの方で…」
「いいんです、それはもう。自分の方こそ、冷たい態度を取ってすみません」
そう言って西野さんが笑う。柔らかいその笑顔はいつもの西野さんで、何が理由で態度が緩んだのかはわからなかったけれど、心がふわっと温かくなった。
◇
「あの…、昨日、すみません。芽衣ちゃんと盗み見るようなことをして…」
「あぁ、いえ。あれは、あんな場所で話していたこちらが悪いです」
駅までの道を並んで歩きながら、西野さんがそう笑う。本当にいつも通りの西野さんに戻っている。なんなら少し機嫌がいいぐらいかもしれない…
「…栗原さんには、以前話しましたよね。同棲していた元カノのこと」
「あ、はい…、一緒にホームセンターに行ったときに…」
「それが、昨日の女性なんです」
やはり昨日の女性が美月さんだったのだ。だとしたらやっぱり、復縁…したとか?だから今日の西野さんは機嫌が良いのだろうか。
「そう…だったんですね。すごい綺麗な人だったので、さすが西野さんだなーって、芽衣ちゃんと話してて…」
「何がさすがなのかは、わかりませんが…」
そう言いながら、西野さんが苦笑する。その表情を見ていたら、西野さんの瞳が急にあたしの方を向いて、ドキッとした。
「栗原さんと同じなんです」
「え…?」
「別れた原因は、彼女の浮気で…」
驚いて言葉を失う。悠真の浮気現場を見てしまった時と同じように、心臓が冷たいものに掴まれる。
「…勝手な人で。彼女の方から別れを切り出してきたくせに、何度かやり直さないかと言われていて。昨日もその話でした」
「……」
「でも、同棲を解消した時に、彼女とは二度と復縁はしないと自分は心に決めたんです」
穏やかな表情のまま、西野さんが淡々と話していく。返す言葉がない。あんなにお似合いに見えた二人だったのに。それに、西野さんは彼女に未練があって、忘れられないのだと思っていたのに。
「まぁ、そう言うと格好いいんですけど、実際は、情けないことに何度も揺れたんです」
「え…?」
「彼女も反省している。やり直せるかもしれない。浮気なんてされないように、自分がもっと頑張れば…なんて。未練たらしくそんなことを考えたり」
「……」
「栗原さんには偉そうにあんなことを言ったけど、自分も同じだったなって、昨日彼女と話していて思い出しました」
過去を振り返るように、西野さんが笑う。
「一昨日は、栗原さんと自分を重ねていたんだと思います。だからついムキになって、キツイ言葉を使ってしまった…」
「……」
「別れるべきだと頭では理解しているのに、心は簡単ではないこと、僕自身もそれはよくわかっていたのに。本当に、すみませんでした」
そう言うと、西野さんがあたしに頭を下げた。
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