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第3章
18 反攻の為に
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アーケイディア組とデネブ組は、方面が共通しており、途中まで同行することとなった。また、本来ならヨナス組もこの方面であるが、森林地帯を通ってベガへ向かうルートを選択するために、別行動である。
結果、アロイス、ニュクス、ヘスティアと、ある意味見掛け詐欺な武闘派の道行きとなった。アーケイディアではアロイスとデュキスがお役目交代となり、アロイスがアーケイディアの引き締めを図ることとなる。ヘスティアは、方舟教会関連での補佐を行うこととなっていた。
先行して出発したのは、中心地であるアーケイディアを押さえることにより、各地での連鎖的な蠢動を抑止するとともに、その集積された情報を前線にフィードバックすることが目的であった。
方舟教会が動いただけに、情報戦は開始から不利である。
不幸中の幸いは、ニュクスとヘスティアの一派により、中立を標榜する一派からの情報が期待できることであった。
道程中途の湖畔にネレウスから借りた行政府のキャリアを駐機すると、一同はようやく少し緊張を解くことが出来た。道中は、すれ違うすべての人々を仮想的と見定め、情報の露出を制限していたのである。
「この湖畔は比較的安全なので、焦らずにここにキャンプを張りましょう」
ヘスティアはそう言い、ドールに荷物の搬出を指示した。使用済みでもう用のない物品を、格納庫の奥へと再配置するのである。
「アロイス卿、其方、気づいていたかね?」
「ああ、我々の進路を詳しく訊ねてきた連中ですな」
「街道を大きく外れるまで、追跡もされていたようだ」
今回に限ったことではないのである。ヘリントスにも匹敵する規模のキャリアは、凡そ個人所有は考えられず、クラン、キャラバン、行政府など、押さえておくべき情報源の可能性が高いのである。また、辺境からの帰路に、武装がほぼ外されているキャリアの姿は違和感でしかない。
「おふたりはそちらに視点が向くのですね。私はむしろ、コンタクトがなかったことに、却って居心地の悪さを感じました。教会関係者からの———」
言の通り、ヘスティアを含め、二名が教会の導師であるにも拘わらず、道行く教会関係者からの表敬が無かったのである。これは異常事態であった。
「うむ、それが何を意味するのかは判然としないが、いずれ真面な理由ではないであろうな。直接的に警戒すべきことではないが、何か、不審な事態が進行中であるのは間違いないだろう」
ニュクスはそう言い、ヘスティアの髪を撫でた。
アロイスは顎に手を遣りながら、
「方角的には、彼らは何処の教区から出て来たものでしょうな。それによって、考えるべきが、大きく異なります」
丁度いい岩場を発見し、三人は作業をドールに任せたまま、腰を下ろした。
都市間の中程に当たるため、全方向、人工物の気配は無く、キャリアのみが威容を誇っていた。街道を外れてこちらに寄り道したのは、隙を見せる為でもある。三人は、敢えて襲撃を待っていた。乱暴だが、敵性団体の情報を手にするのに、これほど効率的な方法は無いと言える。
アロイスが指摘したのは、ひとつ前の宿場で追いついた、いずこかの教区の導師の件についてであった。残念ながら、ニュクス、ヘスティア共に面識がなく、先方も敢えて関わろうとしなかったが為に、正体不明なのである。
追いついた、とするのであれば、アルタイル方面からベガ方面が有力だが、その二地点の間には、数多の集落が実験的に設けられている。把握しきれるものではなかった。
「あの方々は、そもそも導師ではない可能性が高いです。おそらくは偽装でしょう」
「ヘスティアもそう思うか」
ニュクスが応えると、アロイスは、
「普通の導師に見えましたが、表敬が無かった以外に不審な点でもありましたか?お恥ずかしながら、何も気づきませんでした……」
問われたふたりは顔を見合わせると頷き、代表してヘスティアが回答した。
「符牒があるのです。それを挨拶に織り交ぜない者は、それどころではない緊急事態にあるか、偽者だけです」
関係者以外には、符牒をお伝えすることは出来ないので、ご容赦ください、と結び、ヘスティアはドールの作業に視線を移した。自分の発言すべきは終わったと判断したのかもしれない。
「教会との揉め事の最中に、教会関係者の偽者ですか———。まったく穏やかではないですな」
「時事に通暁していたので、ここ最近入った者ではないだろうが、連合の可能性は否めん。何らかの意図で、浸透を計っているものと見える」
この先にあるのは、大都市では、アーケイディア、ヨナス、デネブ、シクロ———。その他、中規模の都市である。林立していると言っていい。目的地は杳として知れなかった。ただ、胡乱な者がうろついているとなると、彼ら三人が戻って来た意味は大きかった。
空が朱に染まる前に、ドールはすべての作業を終えていた。
食事を終えると、それぞれ言葉少なに寝室へと籠った。
———これから、闘いははじまる。
ベガ、ヨナス組は気楽なものであった。
彼らは身軽にヴィークルを用いたが、追従式の小型キャリアを含め、街道を少し外れて、イオの結界に納めて貰っていたのである。
逆に、姿を消すタイミングを計る方が難しかった。
イオは非常に気楽に、テセウスから借りたヴィークルを運転し、消えては戻る、を繰り返していた。本人のヴィークルは、いつでも持ち出せるので、ヘリントスの格納庫の奥底に放置しているらしい。禍々しいフォルムなので、今回はテセウスから使用を却下されたのである。
「ちょっと見て来たけどね、ベガはあまり居心地の良いことにはならなそうだよ」
「見て来た?この短時間で?!!」
ヘルメスが驚くが、アストライアは慣れたものである。
「イオの仕出かすことに驚いていては、この世が儚くなるぞ」
アストライアがきっぱりと言うと、
「———アストライア、それは流石に私でも傷つく」
と、イオが消沈した。びっくり箱な能力について頓着が無いのかと思いきや、実は気にしていたらしい。
「問題ないところまで先行して、身体半分を霧化して現地に転移してみた。住民がやけに殺気立っているし、風のひとを罵る声も高かったね」
「風のひとっていうのは私のことですか?可能ならヘルメスと呼んでくれると嬉しいですね、夜の王。望んで得た名ではないが、最近は愛着がある」
「そうなのかい?テセウスを自覚が無いと詰っていたから、本当は自分がテセウスでありたいのかと思ってた!!失礼したね!!私のことも、夜の王なんて呼ばずに、《イオ》でいいよ!!実はこれ、本名じゃないんだ」
「そこまで明け透けに言われると毒も出て来んですな。《テセウス》になりたかったんじゃない、テセウスであるあの男になりたかったのだよ、私は……」
声を落として言うと、
「そうか、君はひどく不器用なんだね!!なんでも水準以上に熟してしまうから、誰からもそのことに気づいて貰えなかったか———」
アストライアが口を隠して、忍ぶように笑みを浮かべた。
ヘルメスはぱっと見、気ままで捉えどころがないように思えるが、長く親しく関係していると、本当に真摯な頑固者であることが判るのである。
頬を紅潮させながら、ヘルメスは口早にイオに問うた。
「そ、それで、例のふたりの姿は在ったのですか?それに、本名でないとは?!!我々、アバターは名に縛られるものでしょう」
「ふたりは現在、ヨナスだね。ベガは放棄したようだ。で、名前だけれど、《イオ》というのは、私の一面を示しているので偽名ではないけど、本当の名前は別にあるということなのさ」
少し遠い眼でベガの方を望み、イオは零した。
イオにしてみれば、単一の名前に縛られている皆の方が、よっぽど不自由でおかしい。人とは、社会、コミュニティとの関わり方によって性格を変えるものであり、単一の《役割》に拘泥しなければならないことは、生き物ではなく、それこそ単一目的のドールと大差ないと感じてしまうのである。
テセウスが《テセウス》でありながらも、他の存在を内包して崩れないのは、《導き手》《救い手》などと付加された《役割》に真実が隠されているからかもしれない。
「それで、イオ、街の様子なのだが、ヘルメスはベガには入らない方がいいか?このまま森林辺縁をヨナスに直接向かうのであれば、アーテナイを経由してふたりで向かうことも可能だ。むしろ、我々はイオの邪魔ではないのか」
アストライアが訊ねた内容には、一定の理があった。
ヘルメスとアストライアがベガを経由しようとしたのは、ベガの現状を把握するためであって、戦争を仕掛ける為ではない。余計な揉め事は避けるのが道理であった。
「ううん……、そうだねぇ……。アストライアの意見はある意味ではこの上なく正しいんだけど、今回は却下かな」
「何か理由があると……」
「ベガを放置すると、遠からず、ベガは連合の都市になるね。騒いでいるのは、殆どが連合の紐付きだよ」
思いもよらなかった言葉に、ヘルメスとアストライアは呆然とした。
———そうか、だから原理派はベガを拠点としていたのか!!
ヘルメスは直感した。宗教者にとって、コミュニティの如何は問題ではない。何処に所属しようと、方舟教会の教義を否定されなければそう、何ら問題ではないのである。
ヘルメスの腹の底に、マグマが湧いた。
「イオ、現地住民と、連合系住民の比率はどの位だったか判明していますか?また、どの程度、武装が行き渡っているのか、気に掛かります」
マグマはそのまま、身を焦がしてしまいそうな熱量で、ヘルメスの血液を循環させた。一時も留まっていられないほどの焦りを殺し、彼は彼我の戦力を量ることにした。
「戦力化はほぼ、していないと見ていいね。どちらかと言えば、君たちふたりが殺してしまうことの方が問題。絶対に、民衆の敵愾心を刺激するのに使われてしまうよ」
「それもそうか……。では、蜂起した連合系住民を除くにはどうするべきか———」
森の辺縁にてキャンプを張り、朝までに方針を定めることとなった。イオは、
「私の《ドレインタッチ》で、適当にやんちゃしている子たちから生命力を抜き取れば、無力化は難しくないよ」
と、恐ろし気なことを言い出した。イオはテセウスから預かっているゲストであり、ヘルメスの部下ではない。可能であれば、自分たちの手で事態を収拾したかった。
だが、ヘルメスは腹を括ってもいた。
———最悪の場合、手段は選ばないと。
結果、アロイス、ニュクス、ヘスティアと、ある意味見掛け詐欺な武闘派の道行きとなった。アーケイディアではアロイスとデュキスがお役目交代となり、アロイスがアーケイディアの引き締めを図ることとなる。ヘスティアは、方舟教会関連での補佐を行うこととなっていた。
先行して出発したのは、中心地であるアーケイディアを押さえることにより、各地での連鎖的な蠢動を抑止するとともに、その集積された情報を前線にフィードバックすることが目的であった。
方舟教会が動いただけに、情報戦は開始から不利である。
不幸中の幸いは、ニュクスとヘスティアの一派により、中立を標榜する一派からの情報が期待できることであった。
道程中途の湖畔にネレウスから借りた行政府のキャリアを駐機すると、一同はようやく少し緊張を解くことが出来た。道中は、すれ違うすべての人々を仮想的と見定め、情報の露出を制限していたのである。
「この湖畔は比較的安全なので、焦らずにここにキャンプを張りましょう」
ヘスティアはそう言い、ドールに荷物の搬出を指示した。使用済みでもう用のない物品を、格納庫の奥へと再配置するのである。
「アロイス卿、其方、気づいていたかね?」
「ああ、我々の進路を詳しく訊ねてきた連中ですな」
「街道を大きく外れるまで、追跡もされていたようだ」
今回に限ったことではないのである。ヘリントスにも匹敵する規模のキャリアは、凡そ個人所有は考えられず、クラン、キャラバン、行政府など、押さえておくべき情報源の可能性が高いのである。また、辺境からの帰路に、武装がほぼ外されているキャリアの姿は違和感でしかない。
「おふたりはそちらに視点が向くのですね。私はむしろ、コンタクトがなかったことに、却って居心地の悪さを感じました。教会関係者からの———」
言の通り、ヘスティアを含め、二名が教会の導師であるにも拘わらず、道行く教会関係者からの表敬が無かったのである。これは異常事態であった。
「うむ、それが何を意味するのかは判然としないが、いずれ真面な理由ではないであろうな。直接的に警戒すべきことではないが、何か、不審な事態が進行中であるのは間違いないだろう」
ニュクスはそう言い、ヘスティアの髪を撫でた。
アロイスは顎に手を遣りながら、
「方角的には、彼らは何処の教区から出て来たものでしょうな。それによって、考えるべきが、大きく異なります」
丁度いい岩場を発見し、三人は作業をドールに任せたまま、腰を下ろした。
都市間の中程に当たるため、全方向、人工物の気配は無く、キャリアのみが威容を誇っていた。街道を外れてこちらに寄り道したのは、隙を見せる為でもある。三人は、敢えて襲撃を待っていた。乱暴だが、敵性団体の情報を手にするのに、これほど効率的な方法は無いと言える。
アロイスが指摘したのは、ひとつ前の宿場で追いついた、いずこかの教区の導師の件についてであった。残念ながら、ニュクス、ヘスティア共に面識がなく、先方も敢えて関わろうとしなかったが為に、正体不明なのである。
追いついた、とするのであれば、アルタイル方面からベガ方面が有力だが、その二地点の間には、数多の集落が実験的に設けられている。把握しきれるものではなかった。
「あの方々は、そもそも導師ではない可能性が高いです。おそらくは偽装でしょう」
「ヘスティアもそう思うか」
ニュクスが応えると、アロイスは、
「普通の導師に見えましたが、表敬が無かった以外に不審な点でもありましたか?お恥ずかしながら、何も気づきませんでした……」
問われたふたりは顔を見合わせると頷き、代表してヘスティアが回答した。
「符牒があるのです。それを挨拶に織り交ぜない者は、それどころではない緊急事態にあるか、偽者だけです」
関係者以外には、符牒をお伝えすることは出来ないので、ご容赦ください、と結び、ヘスティアはドールの作業に視線を移した。自分の発言すべきは終わったと判断したのかもしれない。
「教会との揉め事の最中に、教会関係者の偽者ですか———。まったく穏やかではないですな」
「時事に通暁していたので、ここ最近入った者ではないだろうが、連合の可能性は否めん。何らかの意図で、浸透を計っているものと見える」
この先にあるのは、大都市では、アーケイディア、ヨナス、デネブ、シクロ———。その他、中規模の都市である。林立していると言っていい。目的地は杳として知れなかった。ただ、胡乱な者がうろついているとなると、彼ら三人が戻って来た意味は大きかった。
空が朱に染まる前に、ドールはすべての作業を終えていた。
食事を終えると、それぞれ言葉少なに寝室へと籠った。
———これから、闘いははじまる。
ベガ、ヨナス組は気楽なものであった。
彼らは身軽にヴィークルを用いたが、追従式の小型キャリアを含め、街道を少し外れて、イオの結界に納めて貰っていたのである。
逆に、姿を消すタイミングを計る方が難しかった。
イオは非常に気楽に、テセウスから借りたヴィークルを運転し、消えては戻る、を繰り返していた。本人のヴィークルは、いつでも持ち出せるので、ヘリントスの格納庫の奥底に放置しているらしい。禍々しいフォルムなので、今回はテセウスから使用を却下されたのである。
「ちょっと見て来たけどね、ベガはあまり居心地の良いことにはならなそうだよ」
「見て来た?この短時間で?!!」
ヘルメスが驚くが、アストライアは慣れたものである。
「イオの仕出かすことに驚いていては、この世が儚くなるぞ」
アストライアがきっぱりと言うと、
「———アストライア、それは流石に私でも傷つく」
と、イオが消沈した。びっくり箱な能力について頓着が無いのかと思いきや、実は気にしていたらしい。
「問題ないところまで先行して、身体半分を霧化して現地に転移してみた。住民がやけに殺気立っているし、風のひとを罵る声も高かったね」
「風のひとっていうのは私のことですか?可能ならヘルメスと呼んでくれると嬉しいですね、夜の王。望んで得た名ではないが、最近は愛着がある」
「そうなのかい?テセウスを自覚が無いと詰っていたから、本当は自分がテセウスでありたいのかと思ってた!!失礼したね!!私のことも、夜の王なんて呼ばずに、《イオ》でいいよ!!実はこれ、本名じゃないんだ」
「そこまで明け透けに言われると毒も出て来んですな。《テセウス》になりたかったんじゃない、テセウスであるあの男になりたかったのだよ、私は……」
声を落として言うと、
「そうか、君はひどく不器用なんだね!!なんでも水準以上に熟してしまうから、誰からもそのことに気づいて貰えなかったか———」
アストライアが口を隠して、忍ぶように笑みを浮かべた。
ヘルメスはぱっと見、気ままで捉えどころがないように思えるが、長く親しく関係していると、本当に真摯な頑固者であることが判るのである。
頬を紅潮させながら、ヘルメスは口早にイオに問うた。
「そ、それで、例のふたりの姿は在ったのですか?それに、本名でないとは?!!我々、アバターは名に縛られるものでしょう」
「ふたりは現在、ヨナスだね。ベガは放棄したようだ。で、名前だけれど、《イオ》というのは、私の一面を示しているので偽名ではないけど、本当の名前は別にあるということなのさ」
少し遠い眼でベガの方を望み、イオは零した。
イオにしてみれば、単一の名前に縛られている皆の方が、よっぽど不自由でおかしい。人とは、社会、コミュニティとの関わり方によって性格を変えるものであり、単一の《役割》に拘泥しなければならないことは、生き物ではなく、それこそ単一目的のドールと大差ないと感じてしまうのである。
テセウスが《テセウス》でありながらも、他の存在を内包して崩れないのは、《導き手》《救い手》などと付加された《役割》に真実が隠されているからかもしれない。
「それで、イオ、街の様子なのだが、ヘルメスはベガには入らない方がいいか?このまま森林辺縁をヨナスに直接向かうのであれば、アーテナイを経由してふたりで向かうことも可能だ。むしろ、我々はイオの邪魔ではないのか」
アストライアが訊ねた内容には、一定の理があった。
ヘルメスとアストライアがベガを経由しようとしたのは、ベガの現状を把握するためであって、戦争を仕掛ける為ではない。余計な揉め事は避けるのが道理であった。
「ううん……、そうだねぇ……。アストライアの意見はある意味ではこの上なく正しいんだけど、今回は却下かな」
「何か理由があると……」
「ベガを放置すると、遠からず、ベガは連合の都市になるね。騒いでいるのは、殆どが連合の紐付きだよ」
思いもよらなかった言葉に、ヘルメスとアストライアは呆然とした。
———そうか、だから原理派はベガを拠点としていたのか!!
ヘルメスは直感した。宗教者にとって、コミュニティの如何は問題ではない。何処に所属しようと、方舟教会の教義を否定されなければそう、何ら問題ではないのである。
ヘルメスの腹の底に、マグマが湧いた。
「イオ、現地住民と、連合系住民の比率はどの位だったか判明していますか?また、どの程度、武装が行き渡っているのか、気に掛かります」
マグマはそのまま、身を焦がしてしまいそうな熱量で、ヘルメスの血液を循環させた。一時も留まっていられないほどの焦りを殺し、彼は彼我の戦力を量ることにした。
「戦力化はほぼ、していないと見ていいね。どちらかと言えば、君たちふたりが殺してしまうことの方が問題。絶対に、民衆の敵愾心を刺激するのに使われてしまうよ」
「それもそうか……。では、蜂起した連合系住民を除くにはどうするべきか———」
森の辺縁にてキャンプを張り、朝までに方針を定めることとなった。イオは、
「私の《ドレインタッチ》で、適当にやんちゃしている子たちから生命力を抜き取れば、無力化は難しくないよ」
と、恐ろし気なことを言い出した。イオはテセウスから預かっているゲストであり、ヘルメスの部下ではない。可能であれば、自分たちの手で事態を収拾したかった。
だが、ヘルメスは腹を括ってもいた。
———最悪の場合、手段は選ばないと。
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