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第3章
3 王者の魂
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———サボるなよ。
そうは言われても、テセウスに出来ることは少なかった。連合でも顔と名が売れており、諜報は不可能、行政府の業務も、これまでの経緯が判らないので邪魔にしかならない。強いて言うなら練兵であるが、これをテセウスがやると、目立ちすぎて連合を刺激する。———とどのつまり、遺跡に潜るしか、選択肢がないのである。
アルタイル周辺は、開拓がこれからということもあり、枯れてない遺跡は豊富である。だが、連合との間に位置する物も多く、慎重な立ち回りを求められた。
「枯れてない中で、一番ガードが激烈なのは———、此処にするか。イオ、来られるか?」
「いいよ。と言うか、独りだと、アクセスしながらガーディアン・ドールは相手できないよ」
イオの言う通りだった。それなると本格的な殲滅戦になり、遺跡の生産能力を超えるまで、防衛機能の停止等、対処をしている暇が無くなるのである。
手強いガーディアンが居て進めない階層には、重要なものが眠っている可能性が高い。どうせ時間拘束されるのであれば、実益を兼ねようというつもりであった。
ヘリントスが無い今、宿代なども自給しなければならないのである。行政府の宿舎を勧められたが、それは丁重にお断りした。
選択肢がある。ガードのシステムが見えやすい夜に向かうか、ガードや侵食獣が非活性の昼間に向かうか———。
イオが居るのであれば、と、今回は夜間を選択した。
短期間決戦である。
開門するだけの予定なので、キャリアは借りなかった。
独り占めしてもやっかみを生むだけなので、解放時には管理局を通じて、街に居る採掘師諸氏に、情報を共有する予定である。
のんびりとヴィークルを駆りながら、テセウスは今後の展望について思いを巡らせていた。《戯曲家》の尻尾を掴むにはどうしたらいいか———。
ヤツは表に出て来ない。なら、どうにかして、興味を持たれている自分が餌になるしかないのではないか……。
砂礫に塗れた遺跡に着く頃には、すっかり疲弊していた。
由紀子の退院が決まった。
義母からのその報を受けて、加藤は走り出していた。
自家用車は処分済み、タクシーを呼ぶ手間ももどかしく、車道に飛び出した。
そして視界を覆う車体の影を見た際に、加藤は何処からか声を聴いた気がした。細胞そのものが反応しているような、染み入るような声であった。
———王たれ。導きとなれ。
幸い轢死は免れたが、路上で加藤は呆然としていた。
そうだったのか……。自分こそがテセウスであったのだ。概念世界の王を喪い、世界がテセウスにテセウスたることを求めたのだ。その結果、相似が発生し、テセウスと運命の交叉路は自分を結んだ。
思念を用いて相似による接続を行った場合、量子は時空を超える。初めから、気づかなければならなかった。自分はテセウスやイオと通信していたではないか———。
自分はネイティブなこの世界の住民ではない。何らかのきっかけで、荒野の世界から零れ落ちた、あの世界の魂だ———。
自分は、あの震災の街で、運命の収束による集合知から産まれた、イオの同種である。
《戯曲家》に最後の一刺しが出来るのは、おそらく自分であろう。
世界を観測していようと、確率を操ろうと、その世界の外側にある存在からの干渉は防げまい。
そして信じた。
自分は、《戯曲家》のような者たちから逃がされたのだ、と。
遺跡の開錠は難航を極めた。
イオが音を上げたのである。
無論、戦力的に厳しかったのではない、むしろ逆で、退屈に耐えられなくなった。
「ねぇ、テセウス。もういいから、そこの扉を切り裂くか蹴破ってしまおうよ」
瞳の動きが物騒である。
「ま、まて、イオ……。増幅器の件があるからな、いま再びの破壊は拙い」
「数は多くて鬱陶しいけどさぁ、別に私たちでなくても突破できるよねぇ……」
「……そうだな、それはその通り」
結局、この遺跡に来たのも暇潰しでしかなく、テセウスも退屈していたのであった。
このドールの数からすると生産施設の可能性があるので、行政府や管理局は大喜びだろうが、刺激に欠ける。動きたいのに主体的に動けないことが、メンタル面での負担となっているのを感じるのだ。
終わることなく感じるドールの群れ、単純に積層と暗号長で難易度を増した捻りのない防壁……。
ふたりがうんざりしながら「作業」を進めていると、ドールの排出数が落ち着いてきた。
「資材が払底して来たか?あと少しみたいだな」
「———テセウス、それはちょっと楽観的過ぎる」
テセウスが胸を撫で下ろしていると、イオから即座に否定が入る。
ちょうどその時、腹に直接響くような振動が足下から伝わってきた。定期的に、大きな太鼓を叩いたように連続した音が周囲を満たす。
「———え?」
格納庫のような入り口の大きい施設の扉がスライドされ、その入り口の擦切りいっぱいに巨大な構造物が顔を見せた。ドール何体分の質量であろうか———。
「聞いてないよ……。早く帰って眠りてぇ———」
悪夢のような敵対者に、テセウスは現実逃避をしそうになった。
大質量と、それを稼働させるトルクとパワーだけでもおつりがくるのに、全身には物騒な装備が沢山、搭載されているようであった。
「軍事施設だったか……。悪夢だ……」
悲壮な覚悟で、テセウスとイオは巨人に向かっていった。
縮尺を誤ったかのような対峙に、観客は居なかった。
あるのはただ、降り始めた雨の音と駆動音———。
緊張はいや増した。
入院当初の報道の騒がしさも興味を失い、由紀子の退院は静かに行われた。
義母と加藤のみの出迎えで、会計を終えるとすぐに、義母の自家用車で、自宅に移動することとなった。
車内は静寂に満ちていた。誰も言葉を発せず、ただ、フロントガラスを打ちつける雨粒の音とワイパーの駆動音が響いた。
「———私は何か、人数分の飲み物でも買ってくるわ。しばらく掛かるから、ふたりで話でもしていて頂戴。電話は持っていくわね」
そう言って、義母は本当に買い物に出て行った。煮え切らない加藤への支援射撃であろう。あのハッキリした性格の女傑に、まだ嫌われてはいないようなのが非常に有難かった。呆れてはいるであろうが、やはり彼女にとって、加藤も出来の悪い息子ではあるのだろう。愛情深い女性であった。
「———智行、ごめんなさい」
はらりと涙を零しながら、由紀子が頭を下げた。
加藤は狼狽した。それは自分の台詞の筈……。
「貴方には隠し事ばかりで……。こんなことになるなんて思いもしなかった」
「いや、謝らなければならないのは僕の方で———」
真剣に、由紀子の瞳を覗き込む。
義母のくれた機会、逃す訳にはいかなかった。
荒野の世界との接続がどうなるのか不確定だったが、先の仮定が正しいのであれば、テセウスとの相似は、考えていたよりも近しく、縁は深い筈であった。
「由紀子、出来れば、今後の僕たちの関係について再考してほしい」
「関係?再考?」
「そうだ。こんな言葉しか選べない、ムードの欠片もない僕だが、もう一度やり直して欲しい。僕には、君しか要らない」
緊張を共有し、喉が酷く乾くのを感じた。
加藤は由紀子の肩を抱き寄せ、首筋に顔を埋めた。こんな大胆なことが出来るとは思っていなかった。
「———碌にお風呂も入っていないから、匂い嗅がないでね」
「この状況で、気にするのがそこかい?」
この後、呼び戻すのが遅いと義母に叱られた。
少し狭まったふたりの距離に気がついたようで、意地の悪い笑みを投げると、
「智行さん、二度はないよ」
と釘を刺してきた。無論、その覚悟である。
大きく頷くと、ルームミラーの向こう側の表情は懐かしくも優しかった。
よく出来ました、と言うように頷かれた。
———面映ゆかった。
そうは言われても、テセウスに出来ることは少なかった。連合でも顔と名が売れており、諜報は不可能、行政府の業務も、これまでの経緯が判らないので邪魔にしかならない。強いて言うなら練兵であるが、これをテセウスがやると、目立ちすぎて連合を刺激する。———とどのつまり、遺跡に潜るしか、選択肢がないのである。
アルタイル周辺は、開拓がこれからということもあり、枯れてない遺跡は豊富である。だが、連合との間に位置する物も多く、慎重な立ち回りを求められた。
「枯れてない中で、一番ガードが激烈なのは———、此処にするか。イオ、来られるか?」
「いいよ。と言うか、独りだと、アクセスしながらガーディアン・ドールは相手できないよ」
イオの言う通りだった。それなると本格的な殲滅戦になり、遺跡の生産能力を超えるまで、防衛機能の停止等、対処をしている暇が無くなるのである。
手強いガーディアンが居て進めない階層には、重要なものが眠っている可能性が高い。どうせ時間拘束されるのであれば、実益を兼ねようというつもりであった。
ヘリントスが無い今、宿代なども自給しなければならないのである。行政府の宿舎を勧められたが、それは丁重にお断りした。
選択肢がある。ガードのシステムが見えやすい夜に向かうか、ガードや侵食獣が非活性の昼間に向かうか———。
イオが居るのであれば、と、今回は夜間を選択した。
短期間決戦である。
開門するだけの予定なので、キャリアは借りなかった。
独り占めしてもやっかみを生むだけなので、解放時には管理局を通じて、街に居る採掘師諸氏に、情報を共有する予定である。
のんびりとヴィークルを駆りながら、テセウスは今後の展望について思いを巡らせていた。《戯曲家》の尻尾を掴むにはどうしたらいいか———。
ヤツは表に出て来ない。なら、どうにかして、興味を持たれている自分が餌になるしかないのではないか……。
砂礫に塗れた遺跡に着く頃には、すっかり疲弊していた。
由紀子の退院が決まった。
義母からのその報を受けて、加藤は走り出していた。
自家用車は処分済み、タクシーを呼ぶ手間ももどかしく、車道に飛び出した。
そして視界を覆う車体の影を見た際に、加藤は何処からか声を聴いた気がした。細胞そのものが反応しているような、染み入るような声であった。
———王たれ。導きとなれ。
幸い轢死は免れたが、路上で加藤は呆然としていた。
そうだったのか……。自分こそがテセウスであったのだ。概念世界の王を喪い、世界がテセウスにテセウスたることを求めたのだ。その結果、相似が発生し、テセウスと運命の交叉路は自分を結んだ。
思念を用いて相似による接続を行った場合、量子は時空を超える。初めから、気づかなければならなかった。自分はテセウスやイオと通信していたではないか———。
自分はネイティブなこの世界の住民ではない。何らかのきっかけで、荒野の世界から零れ落ちた、あの世界の魂だ———。
自分は、あの震災の街で、運命の収束による集合知から産まれた、イオの同種である。
《戯曲家》に最後の一刺しが出来るのは、おそらく自分であろう。
世界を観測していようと、確率を操ろうと、その世界の外側にある存在からの干渉は防げまい。
そして信じた。
自分は、《戯曲家》のような者たちから逃がされたのだ、と。
遺跡の開錠は難航を極めた。
イオが音を上げたのである。
無論、戦力的に厳しかったのではない、むしろ逆で、退屈に耐えられなくなった。
「ねぇ、テセウス。もういいから、そこの扉を切り裂くか蹴破ってしまおうよ」
瞳の動きが物騒である。
「ま、まて、イオ……。増幅器の件があるからな、いま再びの破壊は拙い」
「数は多くて鬱陶しいけどさぁ、別に私たちでなくても突破できるよねぇ……」
「……そうだな、それはその通り」
結局、この遺跡に来たのも暇潰しでしかなく、テセウスも退屈していたのであった。
このドールの数からすると生産施設の可能性があるので、行政府や管理局は大喜びだろうが、刺激に欠ける。動きたいのに主体的に動けないことが、メンタル面での負担となっているのを感じるのだ。
終わることなく感じるドールの群れ、単純に積層と暗号長で難易度を増した捻りのない防壁……。
ふたりがうんざりしながら「作業」を進めていると、ドールの排出数が落ち着いてきた。
「資材が払底して来たか?あと少しみたいだな」
「———テセウス、それはちょっと楽観的過ぎる」
テセウスが胸を撫で下ろしていると、イオから即座に否定が入る。
ちょうどその時、腹に直接響くような振動が足下から伝わってきた。定期的に、大きな太鼓を叩いたように連続した音が周囲を満たす。
「———え?」
格納庫のような入り口の大きい施設の扉がスライドされ、その入り口の擦切りいっぱいに巨大な構造物が顔を見せた。ドール何体分の質量であろうか———。
「聞いてないよ……。早く帰って眠りてぇ———」
悪夢のような敵対者に、テセウスは現実逃避をしそうになった。
大質量と、それを稼働させるトルクとパワーだけでもおつりがくるのに、全身には物騒な装備が沢山、搭載されているようであった。
「軍事施設だったか……。悪夢だ……」
悲壮な覚悟で、テセウスとイオは巨人に向かっていった。
縮尺を誤ったかのような対峙に、観客は居なかった。
あるのはただ、降り始めた雨の音と駆動音———。
緊張はいや増した。
入院当初の報道の騒がしさも興味を失い、由紀子の退院は静かに行われた。
義母と加藤のみの出迎えで、会計を終えるとすぐに、義母の自家用車で、自宅に移動することとなった。
車内は静寂に満ちていた。誰も言葉を発せず、ただ、フロントガラスを打ちつける雨粒の音とワイパーの駆動音が響いた。
「———私は何か、人数分の飲み物でも買ってくるわ。しばらく掛かるから、ふたりで話でもしていて頂戴。電話は持っていくわね」
そう言って、義母は本当に買い物に出て行った。煮え切らない加藤への支援射撃であろう。あのハッキリした性格の女傑に、まだ嫌われてはいないようなのが非常に有難かった。呆れてはいるであろうが、やはり彼女にとって、加藤も出来の悪い息子ではあるのだろう。愛情深い女性であった。
「———智行、ごめんなさい」
はらりと涙を零しながら、由紀子が頭を下げた。
加藤は狼狽した。それは自分の台詞の筈……。
「貴方には隠し事ばかりで……。こんなことになるなんて思いもしなかった」
「いや、謝らなければならないのは僕の方で———」
真剣に、由紀子の瞳を覗き込む。
義母のくれた機会、逃す訳にはいかなかった。
荒野の世界との接続がどうなるのか不確定だったが、先の仮定が正しいのであれば、テセウスとの相似は、考えていたよりも近しく、縁は深い筈であった。
「由紀子、出来れば、今後の僕たちの関係について再考してほしい」
「関係?再考?」
「そうだ。こんな言葉しか選べない、ムードの欠片もない僕だが、もう一度やり直して欲しい。僕には、君しか要らない」
緊張を共有し、喉が酷く乾くのを感じた。
加藤は由紀子の肩を抱き寄せ、首筋に顔を埋めた。こんな大胆なことが出来るとは思っていなかった。
「———碌にお風呂も入っていないから、匂い嗅がないでね」
「この状況で、気にするのがそこかい?」
この後、呼び戻すのが遅いと義母に叱られた。
少し狭まったふたりの距離に気がついたようで、意地の悪い笑みを投げると、
「智行さん、二度はないよ」
と釘を刺してきた。無論、その覚悟である。
大きく頷くと、ルームミラーの向こう側の表情は懐かしくも優しかった。
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