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ミケとわたし達
ムササビカフェ食堂へ辿り着いた理由は
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「美味しかったにゃん」
お口の周りが綺麗になったミケがにゃぱーと笑う。
「うん、美味しかったね」とわたし達も声を揃えて言った。
「皆さんに喜んでもらえて作った甲斐がありますよ」
柔らかい笑みを浮かべる高男さんのその表情はきっと、このムササビカフェ食堂を始めたご先祖様から受け継がれているのだろう。
どうして、わたしがここに辿り着いたかわからないけれど、出会えて良かった。
「さて、真歌さん、真朝おばあちゃん、真昼さんにそれからミケちゃんここに辿り着いた理由がわかりましたか?」
高男さんはそう言ってわたし達の顔を真っ直ぐ見つめた。その澄んだ透明感のある目にわたしは引き込まれそうになる。
どうしてわたしはここにやって来たの? 自分自身に問いかけてみる。それは、突然仕事がなくなり落ち込んでいたわたしは、『高尾山に登ろう』と背表紙に書かれた本を偶然見つけたから?
それは偶然じゃなくてもしかしたら必然的だったのかもしれない。そう、きっと。
大切なことが何か隠れている。それは何かまだわからないけれど、きっと見つかるはずだ。そう思うと胸がドキドキしてきた。この気持ちは果たしてなんだろうか?
ぽわんとあたたかくて心地よいのになんだか苦しくて不安な気持ちが胸にある。
「真歌さんどうしましたか?」
「え?」
「なんだか辛そうな表情をしていますけど」
「そんな顔していますか?」
「はい、少し」
「自分でもよくわからないけど幸せなんだけど不安な気持ちがあって……」
そう答えている今も幸せな気持ちとなんともいえない不安感がじわじわと込み上げてくる。
「そうですか……でも、きっと、真歌さんは大丈夫なはずですよ」
高男さんに『大丈夫』と言われるとわたしは大丈夫なんだと思えてきた。やっぱり高男さんは不思議な人だ。
そして、みんなに目を向けると思い思いの表情をしていた。今、みんなはどんな気持ちなんだろうか。
幸せなのかな、不安なのかな、苦しいのかな、楽しいのかな?
みんなの心の中までわからないけれど、きっと、心地良さと不思議な感覚になっているんじゃないかなと思う。
そして、わたしは視線を高男さんの透明感のある澄んだ目に戻し「高男さんもみんなも居るから大丈夫だと思います」と言った。
そう、わたしは大丈夫だ。
まだ、よくわからない不安感はあるけれど、きっと、それは乗り越えられるはずだ。
「そうですよ。みんなが真歌さんのことを見守っていますよ」
高男さんは優しい眼差しをわたしに向けた。この人は、きっと今まで助けてほしいと思っている多くの人の悩みを解決してきたのだろう。
それはとても凄いことで簡単には出来ない。恐らく負の感情に出会い辛かったこともあるんじゃないかな。
それでもいつも人の気持に寄り添い料理を作っている。わたしには真似の出来ないことだ。
「高男さん、ありがとう。わたしは負けませんよ」
何に負けないと言ったのか自分自身でもよくわからないけれど、わたしは強く負けないと思ったのだ。
「高男さん、わたしも負けないにゃん。頑張るにゃん」
肉球のある拳をぎゅっと握りしめてミケが言った。
「おっ、ミケちゃん頑張るんだね。で、何を頑張るのかな?」
「んにゃん? えっと、ご飯をたくさん食べられるように頑張るにゃん」
ミケは舌舐めずりをしながら答える。
「あはは、ご飯をね……ミケちゃんらしいね」
「ん? 何か違っていたかにゃん。あ、そうだ、わたしもこのムササビカフェ食堂にやって来たことの意味をちゃんと考えるにゃん」
ミケはその表情をキリッと引き締めて言った。
そんなミケの頭をおばあちゃんと真昼ひいおばあちゃんが両側から撫で「わたしもちゃんと考えるわね」と声を合わせて言った。
微笑ましい光景だなと思いながらミケとおばあちゃん達の様子を目を細めながら見ていると、二人と一匹はこちらに視線を向けニコッと笑った。
その笑顔を見ると元気が湧いてきた。この先何を知ってもきっと大丈夫だと思えてきた。
お口の周りが綺麗になったミケがにゃぱーと笑う。
「うん、美味しかったね」とわたし達も声を揃えて言った。
「皆さんに喜んでもらえて作った甲斐がありますよ」
柔らかい笑みを浮かべる高男さんのその表情はきっと、このムササビカフェ食堂を始めたご先祖様から受け継がれているのだろう。
どうして、わたしがここに辿り着いたかわからないけれど、出会えて良かった。
「さて、真歌さん、真朝おばあちゃん、真昼さんにそれからミケちゃんここに辿り着いた理由がわかりましたか?」
高男さんはそう言ってわたし達の顔を真っ直ぐ見つめた。その澄んだ透明感のある目にわたしは引き込まれそうになる。
どうしてわたしはここにやって来たの? 自分自身に問いかけてみる。それは、突然仕事がなくなり落ち込んでいたわたしは、『高尾山に登ろう』と背表紙に書かれた本を偶然見つけたから?
それは偶然じゃなくてもしかしたら必然的だったのかもしれない。そう、きっと。
大切なことが何か隠れている。それは何かまだわからないけれど、きっと見つかるはずだ。そう思うと胸がドキドキしてきた。この気持ちは果たしてなんだろうか?
ぽわんとあたたかくて心地よいのになんだか苦しくて不安な気持ちが胸にある。
「真歌さんどうしましたか?」
「え?」
「なんだか辛そうな表情をしていますけど」
「そんな顔していますか?」
「はい、少し」
「自分でもよくわからないけど幸せなんだけど不安な気持ちがあって……」
そう答えている今も幸せな気持ちとなんともいえない不安感がじわじわと込み上げてくる。
「そうですか……でも、きっと、真歌さんは大丈夫なはずですよ」
高男さんに『大丈夫』と言われるとわたしは大丈夫なんだと思えてきた。やっぱり高男さんは不思議な人だ。
そして、みんなに目を向けると思い思いの表情をしていた。今、みんなはどんな気持ちなんだろうか。
幸せなのかな、不安なのかな、苦しいのかな、楽しいのかな?
みんなの心の中までわからないけれど、きっと、心地良さと不思議な感覚になっているんじゃないかなと思う。
そして、わたしは視線を高男さんの透明感のある澄んだ目に戻し「高男さんもみんなも居るから大丈夫だと思います」と言った。
そう、わたしは大丈夫だ。
まだ、よくわからない不安感はあるけれど、きっと、それは乗り越えられるはずだ。
「そうですよ。みんなが真歌さんのことを見守っていますよ」
高男さんは優しい眼差しをわたしに向けた。この人は、きっと今まで助けてほしいと思っている多くの人の悩みを解決してきたのだろう。
それはとても凄いことで簡単には出来ない。恐らく負の感情に出会い辛かったこともあるんじゃないかな。
それでもいつも人の気持に寄り添い料理を作っている。わたしには真似の出来ないことだ。
「高男さん、ありがとう。わたしは負けませんよ」
何に負けないと言ったのか自分自身でもよくわからないけれど、わたしは強く負けないと思ったのだ。
「高男さん、わたしも負けないにゃん。頑張るにゃん」
肉球のある拳をぎゅっと握りしめてミケが言った。
「おっ、ミケちゃん頑張るんだね。で、何を頑張るのかな?」
「んにゃん? えっと、ご飯をたくさん食べられるように頑張るにゃん」
ミケは舌舐めずりをしながら答える。
「あはは、ご飯をね……ミケちゃんらしいね」
「ん? 何か違っていたかにゃん。あ、そうだ、わたしもこのムササビカフェ食堂にやって来たことの意味をちゃんと考えるにゃん」
ミケはその表情をキリッと引き締めて言った。
そんなミケの頭をおばあちゃんと真昼ひいおばあちゃんが両側から撫で「わたしもちゃんと考えるわね」と声を合わせて言った。
微笑ましい光景だなと思いながらミケとおばあちゃん達の様子を目を細めながら見ていると、二人と一匹はこちらに視線を向けニコッと笑った。
その笑顔を見ると元気が湧いてきた。この先何を知ってもきっと大丈夫だと思えてきた。
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