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ミケとわたし達
思い出の味
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「では、皆さんお待たせしました。カレーライスとお好み焼きを食べましょう。いただきま~す」
高男さんがにこやかな笑みを浮かべ手を合わせた。
わたし達も元気よく「いただきま~す」と言って手を合わせる。
ミケは『いただきます』と言い終わるか言い終わらないかのタイミングでもうカレーライスを食べ始めているではないか。しかも、お好み焼きも同時にだ。
「あはは、ミケちゃんってば凄い勢いで食べているね」
「にゃはは、だって、わたし待ちくたびれていたんだもん」
そう答え顔を上げたミケの口の周りにはカレールーとお好み焼きのソースがべったりくっついていた。
「あ、ミケちゃんってばお口の周りがばっちいよ~」
わたしは笑いながらウェットティッシュを差し出す。
「にゃはは、またまたやってしまいましたにゃん」
ミケは照れ笑いを浮かべわたしからウェットティッシュを受け取る。
そんなミケをみんなが見てどっと笑う。ただ、その笑い声から愛おしさが感じられなんだか幸せがぎゅっと胸の中いっぱいに広がった。
わたしもさっそくお好み焼きに箸を伸ばす。カレーライスかお好み焼きどちらから先に食べようか迷った末お好み焼きにしたのだ。
たっぷりかけられたソースの香りが鼻腔をくすぐり、もう食べる前から美味しさがじわじわと伝わってくる。
そして、お好み焼きを口に運ぶと豚肉がカリカリしていてソースと良く合いそれとなんだか懐かしさが込み上げてきた。
高男さんが作ってくれたお好み焼きなのにわたしはこの味を昔から知っているような気がする。
大きめサイズで生地を薄めにして焼かれたお好み焼きは……。素朴だけどとても美味しくて何枚でも食べられそうだ。
マヨネーズもプラスして口に運んでみる。ソースとマヨネーズの酸味が良く合う。美味しくてたまらない。
「真歌ちゃ~ん、お好み焼き焼けたわよ」
階下からわたしを呼ぶ声が聞こえてきた。
そうだ、この声は、この味はおばあちゃんの声とよく作ってくれたお好み焼きの味だった。
「おばあちゃん」
わたしは、おばあちゃんに視線を向けた。すると、おばあちゃんもわたしを見ていた。
「真歌ちゃん、このお好み焼きわたしが作るものと似ているわ」
おばあちゃんはわたしの目を真っ直ぐ見て微笑みを浮かべた。
「うん、わたしもおばあちゃんのお好み焼きを思い出したよ。田舎に遊びに行くとお好み焼き好きだよねと言って作ってくれたよね」
わたしは、大好きだったおばあちゃんのお好み焼きを思い浮かべる。お皿からはみ出しそうな薄くて大きめなお好み焼き美味しかったな。
最近は忙しくて田舎に遊びに行くことも少なくなっていた。
「真歌ちゃんが美味しそうに食べてくれるからおばあちゃん嬉しかったな。また、遊びに来てね」
おばあちゃんはお箸でお好み焼きを口に運び食べた。
「うん、絶対に行くね」
わたしももう一口お好み焼きを食べた。うん、やっぱりおばあちゃんの味がするお好み焼きだ。
そして、ふと視線を高男さんに向けると目が合った。その目はキラリと輝いて見えた。やっぱり高男さんは不思議な人だな。
高男さんがにこやかな笑みを浮かべ手を合わせた。
わたし達も元気よく「いただきま~す」と言って手を合わせる。
ミケは『いただきます』と言い終わるか言い終わらないかのタイミングでもうカレーライスを食べ始めているではないか。しかも、お好み焼きも同時にだ。
「あはは、ミケちゃんってば凄い勢いで食べているね」
「にゃはは、だって、わたし待ちくたびれていたんだもん」
そう答え顔を上げたミケの口の周りにはカレールーとお好み焼きのソースがべったりくっついていた。
「あ、ミケちゃんってばお口の周りがばっちいよ~」
わたしは笑いながらウェットティッシュを差し出す。
「にゃはは、またまたやってしまいましたにゃん」
ミケは照れ笑いを浮かべわたしからウェットティッシュを受け取る。
そんなミケをみんなが見てどっと笑う。ただ、その笑い声から愛おしさが感じられなんだか幸せがぎゅっと胸の中いっぱいに広がった。
わたしもさっそくお好み焼きに箸を伸ばす。カレーライスかお好み焼きどちらから先に食べようか迷った末お好み焼きにしたのだ。
たっぷりかけられたソースの香りが鼻腔をくすぐり、もう食べる前から美味しさがじわじわと伝わってくる。
そして、お好み焼きを口に運ぶと豚肉がカリカリしていてソースと良く合いそれとなんだか懐かしさが込み上げてきた。
高男さんが作ってくれたお好み焼きなのにわたしはこの味を昔から知っているような気がする。
大きめサイズで生地を薄めにして焼かれたお好み焼きは……。素朴だけどとても美味しくて何枚でも食べられそうだ。
マヨネーズもプラスして口に運んでみる。ソースとマヨネーズの酸味が良く合う。美味しくてたまらない。
「真歌ちゃ~ん、お好み焼き焼けたわよ」
階下からわたしを呼ぶ声が聞こえてきた。
そうだ、この声は、この味はおばあちゃんの声とよく作ってくれたお好み焼きの味だった。
「おばあちゃん」
わたしは、おばあちゃんに視線を向けた。すると、おばあちゃんもわたしを見ていた。
「真歌ちゃん、このお好み焼きわたしが作るものと似ているわ」
おばあちゃんはわたしの目を真っ直ぐ見て微笑みを浮かべた。
「うん、わたしもおばあちゃんのお好み焼きを思い出したよ。田舎に遊びに行くとお好み焼き好きだよねと言って作ってくれたよね」
わたしは、大好きだったおばあちゃんのお好み焼きを思い浮かべる。お皿からはみ出しそうな薄くて大きめなお好み焼き美味しかったな。
最近は忙しくて田舎に遊びに行くことも少なくなっていた。
「真歌ちゃんが美味しそうに食べてくれるからおばあちゃん嬉しかったな。また、遊びに来てね」
おばあちゃんはお箸でお好み焼きを口に運び食べた。
「うん、絶対に行くね」
わたしももう一口お好み焼きを食べた。うん、やっぱりおばあちゃんの味がするお好み焼きだ。
そして、ふと視線を高男さんに向けると目が合った。その目はキラリと輝いて見えた。やっぱり高男さんは不思議な人だな。
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