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ミケとわたし達
みんなの笑顔を
しおりを挟むその前に今日の夕飯に食べたいものを考えなくてはならない。そう、考えるというよりもぱっと思い浮かぶものがいいよね。
おばあちゃんが食べたい料理はなんだろうな。
わたしは右隣を歩くおばあちゃんの横顔をチラリと見た。その表情はとても穏やかだった。
「真歌ちゃんどうしたの?」
わたしの視線に気づいたおばあちゃんがこちらを見て聞いた。
「ううん、おばあちゃんの表情なんかいいなぁ~って思ったんだよ」
「あら、そうかしら?」
おばあちゃんは頬に両手を当てて、あらあらうふふと笑った。
そして、「真歌ちゃんも生き生きした表情よ」と言った。
「え! そっかな?」
わたしも頬に両手を当てて照れ笑いを浮かべた。
「うふふ、二人とも可愛らしいわよ~」
少女姿の真昼ひいおばあちゃんがわたし達の顔を覗き込むように見ながら言った。
「ありがとう。真昼ひいおばあちゃんも可愛らしいよ」
「お母さんも可愛らしいわ。わたしはおばあちゃんの姿に戻ってしまったけど可愛らしいかしら~?」
わたし達の言葉に真昼ひいおばあちゃんもちょっと照れたように頬を赤く染めた。
「わたし達も可愛いにゃんね」
「うん、わたし達も可愛いよ~」
前を歩くミケとムササビも楽しそうに笑っている。
この世界はとてもあたたかくて幸せだ。ずっと、心地よい世界にいたいな。
わたし達は高男さんのご厚意で高尾山をおもいっきり満喫した。と、言っても山頂まで登ってはいないけれど。
「そろそろ戻ろうか」
わたしがそう言うとみんなもそうだねと頷いた。
「夕飯が楽しみだにゃん」
「あはは、ミケちゃんらしいね」
「ミケちゃんはこの世界で食べることに目覚めたんだもんね~」
ムササビがミケの肩をポンポンと叩きながら笑った。
「ミケちゃんに感情が宿ってお話が出来るなんて本当に幸せだわ」
真昼ひいおばあちゃんが目を細めミケを見つめている。
「そうね、とっても食いしん坊さんになってしまったけれどね」
おばあちゃんも口元に手を当てて楽しそうに笑う。
ミケはにゃははと照れたようにほっぺたを赤く染め笑う。
わたしは、みんなの笑顔を見ていると幸福感に包まれた。
そして、幼い日もおばあちゃんとそれからぬいぐるみだったミケと笑い合ったような気がする。
わたしはおばあちゃんの笑顔とにゃははと笑うミケの顔を交互に眺めた。すると、今より少し若かったおばあちゃんとミケの顔が三毛猫のぬいぐるみと重なって見えた。
なんだろう。何か思い出しそうだ。だけど、何かが邪魔をして見えない。わたしは、手の甲で目をゴシゴシ擦る。
すると、無邪気に笑うわたしの笑顔とちょっとレトロチックな三毛猫のぬいぐるみミケがにゃははと笑っていた。
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