高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神のぬいぐるみとムササビやもふもふがいました

なかじまあゆこ

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ムササビカフェ食堂とおばあちゃん

寂しかった

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 そうだよね、ミケちゃん。わたしは炊き込みご飯をそれはもう幸せそうに食べている可愛らしいミケを眺め心の中で語りかけた。

 もう、ミケちゃんってばまたまたご飯つぶをこぼして可愛いんだから。なんてニコニコしていたのだけど。

 その時、ふと思った。でも、ちょっと待ってよと。

 そう、それは、ミケは真昼さんに大切にされていたしその娘さんにも。だけど、ミケはこのムササビカフェ食堂の棚に飾られていたんだよね。

「真歌ちゃん、難しい顔をしてどうしたのかしら?」

 そう、きっと長い間……。ミケは……。このムササビカフェ食堂の棚の上で……。寂しかったはずだ。

「ねえ、真歌ちゃんってば聞こえていないのかしら?」

「あ、え? おばあちゃん何か言った?」

 わたしは自分の考えに集中しすぎておばあちゃんの問いかけに気づいていなかった。

「さっきから眉間に皺を寄せてブツブツ呟いているからどうしたのかしらと思ってね」

「え! わたしそんな顔していた?」

「うん、していたわよ。ここに深い皺を寄せてね」

 おばあちゃんは自分の眉間に人差し指を当てて言った。


「そっか……ちょっと考え事をしちゃったんだよ。でも、大したことじゃないから心配しないでね」

 わたしはおばあちゃんに心配をかけたくなくてにっこりと微笑みを浮かべたのだけど。

 ミケに視線を戻すとやっぱりちょっと気になってしまう。

 そんなわたしの視線に気づいたのかミケは顔を上げて「うにゃん?」と言った。その顔にはもちろんお決まりのようにご飯つぶがくっついていたのは言うまでもない。

「あ、えっと、何でもないよ。美味しそうにご飯を食べているな~って思っただけだよ」

 わたしはそう言って笑ってみせた。

「うん、わたしご飯大好きだにゃん。この炊き込みご飯しめじもたけのこも全部美味しいにゃ~ん」

 わたしは、ミケのにゃぱーと笑うその笑顔になぜだか涙が出そうになった。

「そっか、良かった。美味しいよね。ミケちゃん幸せだね」

「うん、わたし幸せだにゃ~ん」

 ミケはご飯つぶをくっつけたまま炊き込みご飯を大きな口を開けて食べた。
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