高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神のぬいぐるみとムササビやもふもふがいました

なかじまあゆこ

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ムササビカフェ食堂とおばあちゃん

迷うね

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  おばあちゃんはメニュー表を食い入るように眺めている。そんなおばあちゃんをわたしは微笑ましく思いながら、「たくさんあると迷ってしまうよね」と言った。

  果たしておばあちゃんも何か意味のあるメニューを選ぶのかなと考える。

  だって、このムササビカフェ食堂にやって来るお客さんは決まってそうなのだから。それに、おばあちゃんは、何かに導かれるようにここへ辿り着いたそんな気がするのだ。

「う~ん、そうね……やっぱり迷ってしまうわ。あ、そうだ、真歌ちゃん選んでくれないかしら?」

  おばあちゃんはメニュー表から顔を上げわたしを見てにっこり笑う。

「ふへゃ!  わたしが!?」

  わたしは思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。

「うん、なんだか真歌ちゃんお勧めの料理がたべたくなったのよね」

「わたしのお勧めの料理を……食べたいの」

  考えてもいなかったことなのでちょっとびっくりしてしまった。

「そうよ、何かあるかしら?」
「突然言われてもね。ちょっと待ってね。あ、おばあちゃんメニュー表見せて」

  わたしはおばあちゃんからメニュー表を受け取りじっと眺める。

「わたしが食べたいものになってしまうけど大丈夫かな?」

「もちろん構わないわよ」

「そっか、良かった~じゃあ、え~っと真剣に選ぶね」 

  わたしはメニュー表をぺらぺらめくり食べたいものやおばあちゃんが喜びそうなものを探す。

  高男さんの料理はきっと、どれを食べても美味しいはずだ。あれもこれも食べたいなと思いながら頬を緩め眺める。

「あ、炊き込みご飯食べたいな。豚肉としめじの炊き込みご飯美味しそうだ。わっ、たけのこの炊き込みご飯も食べたいかも~」

  なんて思わず声を上げてしまった。

「あら、炊き込みご飯美味しそうだね」

「やっぱり美味しそうだよね。おばあちゃんも炊き込みご飯よく作ってくれたもんね」

「じゃあ、炊き込みご飯にしようかしら?」

 「えっ!  決定なの?」

 「うん、決定ね」

   おばあちゃんはそう答えにっこり笑っている。ちょっとあっさり決定してしまい拍子抜けだ。
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