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ムササビカフェ食堂とおばあちゃん
わたしのおばあちゃんがムササビカフェ食堂にご来店
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「ロッカーになんて預けていないわよ」
「へ? 預けていないってその小さなカバンだけ持っておばあちゃんは東京にやって来たの?」
わたしはおばあちゃんのお弁当箱が入るサイズの小さなトートバッグをじっと眺めながら尋ねた。
「そうみたいね……」
おばあちゃんは、まるで他人事のように返事をする。
「ねえ、今日はお父さんとお母さんの家に泊まるんだよね?」
おばあちゃんが東京《こっち》に来るなんて両親から聞いていないなと思いながら尋ねた。
「う~ん、あら、わたしどうしたのかしら?
記憶にないわ。どこに泊まるのかしら……」
おばあちゃんは困ったように眉間に皺を寄せる。
「ああ、 もうおばあちゃんってばどうしちゃったのよ。まあ、いいや、わたしここで働いているから中に入って」
わたしは木製の扉をガラガラと開けながら言った。
「うふふ、真歌ちゃんはここで働いているんだね。なんか良い雰囲気のカフェ食堂だね」
おばあちゃんはニコニコと笑いながら店内に足を踏み入れた。 その後に真昼さんも続く。
「いらっしゃいませ~ムササビカフェ食堂にようこそ~」
「ようこそ~」
高男さんとムササビは両手を横に広げ満面の笑みを浮かべた。その隣でミケは天狗焼きを大きな口を開けて食べている。
「おはようございます、お邪魔します」
わたしのおばあちゃんは高男さんとムササビにぺこりと頭を下げそれから天狗焼きを食べているミケにも「おはようございます、それ、美味しそうね」と言って笑った。
「おはようございますにゃん。ようこそムササビカフェ食堂に。あ、天狗焼き食べるにゃん?」
ミケはかじり天狗の顔が半分になった天狗焼きをおばあちゃんに見せる。
「あらあら可愛らしい天狗さんね。ありがとう、でも、それはお嬢さんが食べてね」
おばあちゃんは優しく微笑む。わたしの大好きな笑顔だ。
「あの高男さん、わたしのおばあちゃんです。開店前ですけど入ってもいいですか? あ、もう入っちゃいましたけど……」
「もちろん構いませんよ。真歌さんのおばあさんでしたか。いつも真歌さんにお世話になっております。オーナーの高男です」
高男さんはわたしから視線をおばあちゃんに移し挨拶をした。
「こちらこそ孫がいつもお世話になっております。ドジな孫ですが一生懸命頑張って働くかと思いますのでこれからもよろしくお願いします」
おばあちゃんもぺこりと頭を下げ挨拶をする。
「わたしはムササビです。このカフェ食堂の従業員で~す」
「わたしもこのカフェ食堂の従業員ですにゃん。ミケだよ」
ムササビとミケもにっこりと笑いおばあちゃんに挨拶をした。
そして、真昼さんも「わたしも今日からこちらのカフェ食堂さんで働かせてもらうことになりました真昼です」と真昼さんもふんわりとした笑顔を浮かべ挨拶をする。
「あらあら真歌ちゃんは素晴らしい仲間に囲まれてお仕事をしているのね。安心したわ」
おばあちゃんはわたしを見てうふふと笑う。
「皆さん、孫をどうぞよろしくお願いします」
おばあちゃんはみんなに向かってとびっきりの笑顔を浮かべた。
「おばあちゃん注文をどうぞ」
わたしはおばあちゃんの目の前にメニュー表とお冷やを置く。おばあちゃんが選んだ席も大きな窓がある眺めの良い窓辺の二人掛けの席だった。この席人気があるな。
「色々メニューがあるのね」
おばあちゃんはメニュー表をめくり目をキラキラと輝かせている。
「うん、このカフェ食堂の料理はどれも美味しいよ」
「うふふ、なんだかメニュー表や従業員の方の表情を見ているだけで美味しいんだろうな~とわかっちゃうわよ」
おばあちゃんは声を弾ませる。
「う~ん、でも迷ってしまう。全部食べたくなるわね」
「へ? 預けていないってその小さなカバンだけ持っておばあちゃんは東京にやって来たの?」
わたしはおばあちゃんのお弁当箱が入るサイズの小さなトートバッグをじっと眺めながら尋ねた。
「そうみたいね……」
おばあちゃんは、まるで他人事のように返事をする。
「ねえ、今日はお父さんとお母さんの家に泊まるんだよね?」
おばあちゃんが東京《こっち》に来るなんて両親から聞いていないなと思いながら尋ねた。
「う~ん、あら、わたしどうしたのかしら?
記憶にないわ。どこに泊まるのかしら……」
おばあちゃんは困ったように眉間に皺を寄せる。
「ああ、 もうおばあちゃんってばどうしちゃったのよ。まあ、いいや、わたしここで働いているから中に入って」
わたしは木製の扉をガラガラと開けながら言った。
「うふふ、真歌ちゃんはここで働いているんだね。なんか良い雰囲気のカフェ食堂だね」
おばあちゃんはニコニコと笑いながら店内に足を踏み入れた。 その後に真昼さんも続く。
「いらっしゃいませ~ムササビカフェ食堂にようこそ~」
「ようこそ~」
高男さんとムササビは両手を横に広げ満面の笑みを浮かべた。その隣でミケは天狗焼きを大きな口を開けて食べている。
「おはようございます、お邪魔します」
わたしのおばあちゃんは高男さんとムササビにぺこりと頭を下げそれから天狗焼きを食べているミケにも「おはようございます、それ、美味しそうね」と言って笑った。
「おはようございますにゃん。ようこそムササビカフェ食堂に。あ、天狗焼き食べるにゃん?」
ミケはかじり天狗の顔が半分になった天狗焼きをおばあちゃんに見せる。
「あらあら可愛らしい天狗さんね。ありがとう、でも、それはお嬢さんが食べてね」
おばあちゃんは優しく微笑む。わたしの大好きな笑顔だ。
「あの高男さん、わたしのおばあちゃんです。開店前ですけど入ってもいいですか? あ、もう入っちゃいましたけど……」
「もちろん構いませんよ。真歌さんのおばあさんでしたか。いつも真歌さんにお世話になっております。オーナーの高男です」
高男さんはわたしから視線をおばあちゃんに移し挨拶をした。
「こちらこそ孫がいつもお世話になっております。ドジな孫ですが一生懸命頑張って働くかと思いますのでこれからもよろしくお願いします」
おばあちゃんもぺこりと頭を下げ挨拶をする。
「わたしはムササビです。このカフェ食堂の従業員で~す」
「わたしもこのカフェ食堂の従業員ですにゃん。ミケだよ」
ムササビとミケもにっこりと笑いおばあちゃんに挨拶をした。
そして、真昼さんも「わたしも今日からこちらのカフェ食堂さんで働かせてもらうことになりました真昼です」と真昼さんもふんわりとした笑顔を浮かべ挨拶をする。
「あらあら真歌ちゃんは素晴らしい仲間に囲まれてお仕事をしているのね。安心したわ」
おばあちゃんはわたしを見てうふふと笑う。
「皆さん、孫をどうぞよろしくお願いします」
おばあちゃんはみんなに向かってとびっきりの笑顔を浮かべた。
「おばあちゃん注文をどうぞ」
わたしはおばあちゃんの目の前にメニュー表とお冷やを置く。おばあちゃんが選んだ席も大きな窓がある眺めの良い窓辺の二人掛けの席だった。この席人気があるな。
「色々メニューがあるのね」
おばあちゃんはメニュー表をめくり目をキラキラと輝かせている。
「うん、このカフェ食堂の料理はどれも美味しいよ」
「うふふ、なんだかメニュー表や従業員の方の表情を見ているだけで美味しいんだろうな~とわかっちゃうわよ」
おばあちゃんは声を弾ませる。
「う~ん、でも迷ってしまう。全部食べたくなるわね」
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