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つくも神のぬいぐるみミケ
高男さん
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「わたしはムササビのあやかしですよ~」
ムササビはえっへんと得意げに胸を張る。そして。気がつくとその姿は人間の女の子からムササビに変身していた。
「わっ! お嬢さんはムササビのあやかしだったのね!」
おばあちゃんは目を丸くして驚いている。
「あ、ムササビちゃんってば変身したにゃん。カッコいいにゃん」
ミケはパチパチと手を叩く。そして、ムササビの隣にちょこんと立つ。
「やっぱりこのムササビカフェ食堂は不思議な世界ですね」
ぬいぐるみの巨大な三毛猫とムササビを横目にそう呟くわたしに高男さんが、「ほんと、不思議な場所《カフェ》ですよね」なんて他人事のように言う。
「そう言う高男さんも不思議な人ですよ」
「えっ! 俺が? どうして?」
高男さんは自分を指差し腑に落ちない顔をする。
「そうですよ。だって、高男さんはこの不思議な世界に馴染んでいるし、人の食べたいものを感じ取る能力があるんですもん」
「そっか、俺は平凡な人間かと思っていたけどそうかもしれないですね」
高男さんはフムフムと頷く。高男さんが平凡な人間だったらみんな平凡な人間になるのではないかな。
「真歌さん、なんか笑ってますよね?」
「へっ! いえ、笑ってなんていませんよ。そんなことよりおばあちゃんが幽霊だったんですよ。高男さんはわかっていたんですか?」
わたしが尋ねると高男さんは、
「いえ、わかってなかったですよ。でも、普通の人とはちょっと違うかな? とは感じていましたけどね」と言いながらおばあちゃんに視線を向ける。
おばあちゃんは女の子の姿から動物のムササビに変身したムササビをこれは凄いと感心したように眺めている。
「高男さんはお客さんがカフェ食堂に入って来た時に何か感じるんですか?」
「う~ん、感じるってほどのことではないけどね。何て言うか神秘的なオーラを感じるかな?」
「神秘的なオーラですか」
わたしは、可愛いらしい雰囲気が漂うおばあちゃんだなと思っただけで神秘的なオーラなんて何も感じなかった。
それに今だって、普通に可愛らしいほんわかしたおばあちゃんに見えるのだった。
やっぱり高男さんは不思議な力があるのかもしれないなと改めて感じた。
ムササビはえっへんと得意げに胸を張る。そして。気がつくとその姿は人間の女の子からムササビに変身していた。
「わっ! お嬢さんはムササビのあやかしだったのね!」
おばあちゃんは目を丸くして驚いている。
「あ、ムササビちゃんってば変身したにゃん。カッコいいにゃん」
ミケはパチパチと手を叩く。そして、ムササビの隣にちょこんと立つ。
「やっぱりこのムササビカフェ食堂は不思議な世界ですね」
ぬいぐるみの巨大な三毛猫とムササビを横目にそう呟くわたしに高男さんが、「ほんと、不思議な場所《カフェ》ですよね」なんて他人事のように言う。
「そう言う高男さんも不思議な人ですよ」
「えっ! 俺が? どうして?」
高男さんは自分を指差し腑に落ちない顔をする。
「そうですよ。だって、高男さんはこの不思議な世界に馴染んでいるし、人の食べたいものを感じ取る能力があるんですもん」
「そっか、俺は平凡な人間かと思っていたけどそうかもしれないですね」
高男さんはフムフムと頷く。高男さんが平凡な人間だったらみんな平凡な人間になるのではないかな。
「真歌さん、なんか笑ってますよね?」
「へっ! いえ、笑ってなんていませんよ。そんなことよりおばあちゃんが幽霊だったんですよ。高男さんはわかっていたんですか?」
わたしが尋ねると高男さんは、
「いえ、わかってなかったですよ。でも、普通の人とはちょっと違うかな? とは感じていましたけどね」と言いながらおばあちゃんに視線を向ける。
おばあちゃんは女の子の姿から動物のムササビに変身したムササビをこれは凄いと感心したように眺めている。
「高男さんはお客さんがカフェ食堂に入って来た時に何か感じるんですか?」
「う~ん、感じるってほどのことではないけどね。何て言うか神秘的なオーラを感じるかな?」
「神秘的なオーラですか」
わたしは、可愛いらしい雰囲気が漂うおばあちゃんだなと思っただけで神秘的なオーラなんて何も感じなかった。
それに今だって、普通に可愛らしいほんわかしたおばあちゃんに見えるのだった。
やっぱり高男さんは不思議な力があるのかもしれないなと改めて感じた。
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