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つくも神のぬいぐるみミケ
遠い過去
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「ミケちゃんってばお口の周りも自分で上手に拭けるようになったのね」
「にゃはは、真昼ちゃんの真似をしてみたにゃんよ」
おばあちゃんは優しい眼差しでミケを見つめミケは、嬉しそうに笑っている。
「うふふ、真似をしてくれたのね」
「うん、なんか真似をするのも面白いにゃんね」
ミケは言いながら口の周りを拭き拭きする。巨大なぬいぐるみ姿なのにまるで生きているように見える。と、言うかミケはぬいぐるみに宿るつくも神だった。
そんなことなんてすっかり忘れてしまうほど女の子であり三毛猫のぬいぐるみが浸透している。
わたしはニコニコと微笑みミケとおばあちゃんを眺めていた。その時。
「戦争時代のコッペパンはもっと固かったわ。今のコッペパンは柔らかくて美味しいわね」とおばあちゃんはそう言った。
戦争時代? おばあちゃんは七十代後半くらいに見えるのだけど、戦争時代のことなんて覚えているのかなと不思議に思った。
わたしは思わず「戦争時代のことを覚えているんですか?」と尋ねてしまった。
「ええ、覚えていますよ。赤ちゃんだった娘を背中におぶり空襲から逃げたこともあったわ……あ、そうそうミケちゃんも忘れずにね」
おばあちゃんは遠い過去を見つめる目をして言った。記憶を手繰り寄せるおばあちゃんのその目は少し哀しげだった。
「そうでしたか……娘さんとミケちゃんを……」
きっと、若き日のおばあちゃんは辛く苦しく怯える日々を送っていたのだろう。わたしは空襲なんて教科書の中の話でしかなくて想像も出来ないけれど……。
今の時代に生まれたわたしは幸せで恵まれている。この先もずっと平和であってほしいしどの国も戦争なんてしないでほしいよ。
人の命は大切なんだもの。命があるからこそ笑ったり泣いたりできるんだもんね。
その時ふと、何かがおかしいことに気がついた。だって、戦争とは太平洋戦争のことだよね? どうしておばあちゃんはその時大人だったのかなと。
わたしは、そんなことを考えながらおばあちゃんの顔をじっと見つめてしまった。
「どうかしましたか?」
おばあちゃんはわたしの顔を見つめ返し不思議そうに首を横に傾げた。
「にゃはは、真昼ちゃんの真似をしてみたにゃんよ」
おばあちゃんは優しい眼差しでミケを見つめミケは、嬉しそうに笑っている。
「うふふ、真似をしてくれたのね」
「うん、なんか真似をするのも面白いにゃんね」
ミケは言いながら口の周りを拭き拭きする。巨大なぬいぐるみ姿なのにまるで生きているように見える。と、言うかミケはぬいぐるみに宿るつくも神だった。
そんなことなんてすっかり忘れてしまうほど女の子であり三毛猫のぬいぐるみが浸透している。
わたしはニコニコと微笑みミケとおばあちゃんを眺めていた。その時。
「戦争時代のコッペパンはもっと固かったわ。今のコッペパンは柔らかくて美味しいわね」とおばあちゃんはそう言った。
戦争時代? おばあちゃんは七十代後半くらいに見えるのだけど、戦争時代のことなんて覚えているのかなと不思議に思った。
わたしは思わず「戦争時代のことを覚えているんですか?」と尋ねてしまった。
「ええ、覚えていますよ。赤ちゃんだった娘を背中におぶり空襲から逃げたこともあったわ……あ、そうそうミケちゃんも忘れずにね」
おばあちゃんは遠い過去を見つめる目をして言った。記憶を手繰り寄せるおばあちゃんのその目は少し哀しげだった。
「そうでしたか……娘さんとミケちゃんを……」
きっと、若き日のおばあちゃんは辛く苦しく怯える日々を送っていたのだろう。わたしは空襲なんて教科書の中の話でしかなくて想像も出来ないけれど……。
今の時代に生まれたわたしは幸せで恵まれている。この先もずっと平和であってほしいしどの国も戦争なんてしないでほしいよ。
人の命は大切なんだもの。命があるからこそ笑ったり泣いたりできるんだもんね。
その時ふと、何かがおかしいことに気がついた。だって、戦争とは太平洋戦争のことだよね? どうしておばあちゃんはその時大人だったのかなと。
わたしは、そんなことを考えながらおばあちゃんの顔をじっと見つめてしまった。
「どうかしましたか?」
おばあちゃんはわたしの顔を見つめ返し不思議そうに首を横に傾げた。
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