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つくも神のぬいぐるみミケ
ミケとわたし
しおりを挟むその後もしばらくぼーっとする時間が続いた。
「ミケちゃんは人間の女の子の姿の時はあの激しいいびきはかかないみたいですね」
わたしの隣で幸せそうにスヤスヤと眠るミケに視線を向け言った。
「俺もあのいびきびっくりしましたよ」
「わたしも~」
高男さんとムササビもミケを見て笑っている。ミケはむにゃむにゃと楽しい夢でも見ているかのような幸せそうなその表情にやっぱりこの子は猫だなと感じる(ぬいぐるみだけど)
「ミケちゃんはどんな夢を見ているんでしょうね?」
「ご飯を食べている夢だったりしてね」
「有り得るな……」
なんて会話を繰り広げるわたし達。ミケは自分のことを話されているなんてまったく気づいていない様子でスヤスヤと寝息を立てている。
わたしも猫のように生きれたらな。ミケの可愛らしい寝顔にほっこりしつつそんなことを考えた。その時。
「ん~! 良く寝た~にゃ」
ミケは両手をぐーんと上に伸ばした。あはは、やっぱり猫みたいだよ。
「ん? あれまにゃん、みんなどうしてわたしの顔を見ているのかな?」
ミケは不思議そうにわたし達の顔を順番に見た。
「さあね~どうしてかな」
わたし達三人の声が揃った。
「うにゃん、なんかわたしだけのけ者くさいね」
ミケは口を尖らせている。女の子になっていても猫に見えちゃうよ。
あ、良く見ると。
「真歌ちゃん? わたしの顔に何かついてるにゃん?」
ミケはきょとんと首を横に傾げ不思議そうにわたしの顔を見る。
「ミケちゃんお口に……」
「ん? わたしのお口がどうかしたの?」
「ミケちゃんのお口の周りに納豆がべったりついてるよ」
「へ? 納豆にゃん?」
「うん、納豆だよ。そう言えばミケちゃんってば朝ご飯の納豆を口の周りにべったりくっつけていたもんね~」
わたしは、朝ご飯を食べていたぬいぐるみ姿のミケを思い出しクスッと笑う。
「ごめんね、お口の周り拭いてあげるの忘れてたよ」
「え~わたしってば可愛い女の子にゃのに納豆娘なの!」
ミケは手をぶんぶん振り回し慌てている。
「あ~ミケちゃんってば納豆娘だ~」
「あはは、マジで納豆くっつけてるぞ」
ムササビと高男さんも話に加わりミケを見て笑った。
「酷いよ。みんなして酷いにゃんよ~」
ミケはほっぺたをぷくっと膨らませ抗議をする。
「うふふ、ミケちゃん拭いてあげるよ」
わたしは、テーブルに置かれていたおしぼりを手に取りミケのお口の周りを拭いた。
「あ、ありがとうにゃん」
ミケは恥ずかしそうに顔を赤らめお礼を言った。そんなミケのことがとても可愛らしく愛おしく感じた。
「いえいえ」
わたしは、ミケの頭をそっと撫でた。すると、突然懐かしいような気持ちになった。
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