高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神のぬいぐるみとムササビやもふもふがいました

なかじまあゆこ

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つくも神のぬいぐるみミケ

今日も頑張りましょう

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「二人ともめちゃくちゃ優しいにゃん」

  ミケは目をうるうる潤ませ高男さんとムササビを見ている。

「ミケが無事でそれが何よりだよな」
「うん、そうだよ~」

  高男さんとムササビはそう言ってにっこりと笑った。

  そして、高男さんとムササビは、「だが、今度留守にする時は一言声をかけてくれよな」、「声をかけてね」と言った。

「は~い、了解しましたにゃん」

  ミケはスチャと敬礼ポーズをとる。

  なんだか優しくてほのぼのしたやり取りにわたしの胸は熱くなった。

「じゃあ、ミケちゃん、真歌さん今日もよろしくお願いしますね」

「は~い、よろしくお願いします」、「は~いにゃん」とわたしとミケの声が揃った。

  さて、今日も頑張らなくてはとわたしは更衣室兼休憩室の全身鏡の前でムササビとティーカップのロゴが可愛らしいエプロンをつけて気合いを入れる。

  わたしの隣でいつの間にか三毛猫のぬいぐるみから人間の女の子に化けたミケもエプロンをつけ「頑張るにゃん」と気合いを入れている。

  今日はどんな一日になるだろう。良い一日になるといいなと思いながらわたしは、更衣室兼休憩室の扉を開けた。

「本日一番目のお客さんはまだでしょうか?」
「真歌さん、焦らない。ゆっくり待ちましょう」
「そうそう焦りは禁物だよ~」

  わたしはと高男さんにそれからムササビはカウンターに肘を付きお客さんを待っている。その隣でミケはスヤスヤと寝ているのだった。

「そうですね。ちょっと心配だけどゆっくり~りと待ちますよ」

  そう、焦っても何もならないのだから二人の言うようにゆっくり待とうと決めた。その反面お給料のこともちょっと心配になってしまうわたしがいるのもまた事実。

  そんなわたしの心を読んだのか高男さんが、「安心してください。お客さんがたくさん来る日もあるんですよ」と言ってこちらに視線を向け微笑みを浮かべた。

「え!  そうなんですね」
「もちろん、安心してください。悩めるのお客さんが来てくれますからね」

  高男さんはそう言ってニーッと笑った。

  今、聞いてはいけない言葉が聞こえたような気がするけれど果たしてそれは……。空耳ということにしておこう。

「お客さんがたくさん来る日も楽しみにしておきますね。なので今は暇なのを満喫しますね~」

  わたしもニコーッと笑い返した。
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