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つくも神のぬいぐるみミケ

ただいま

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  それからミケはわたしとの約束を守り黙っていた。それはもちろんほっとしたのだけど、リュックの中でどうしているのかなとちょっと気にもなる。

「ミケちゃんもうすぐ家に着くからね」

  わたしは思わず声に出してしまった。きっと、うるさい返事が返ってくるかなと思ったのにシーンとしたままで返事はなかった。

  まさか、リュックの中が窮屈で苦しんでいないかなと不安がよぎる。わたしはリュックを揺らしミケちゃん待っててねと速足で家路に向かう。

  そして、スーパーから徒歩七分ほどで自宅のマンションの前にたどり着いた。

「ミケちゃん、お待たせ着いたよ」とリュックの中にいるミケにわたしは声をかける。

  だけど、返事はなかった。なんだか不安になりわたしは背中に背負っていたリュックを慌てて下ろしファスナーを開ける。

「ミケちゃん、大丈夫?」

  え!?  ミケちゃん……!!  わたしはびっくりして目を大きく見開いた。だって、ミケは……。

  ああ、ミケは信じられないよ。



  わたしはリュックの中にいるミケを食い入るように見てしまった。

「お~い、ミケちゃ~ん」とわたしはミケに呼びかける。けれど、ミケは……。

  口をぽかんと開けてぐーすーぴーにゃん、ぐーすーぴーにゃんといびきをかき寝ているのだった。

「ミケちゃん家に着いたよ~ねえ、ミケちゃんってばどれだけ寛いでいるのよ」

  いびきをかきまるで自宅で寛ぐかのような姿のミケにわたしは呼びかけその小さな体を揺する。だけど、ミケはにゃははと眠りながら笑っている。

「まったく呑気な猫さんだ。いや、つくも神さんだよ……」

  わたしはもう呆れてしまいクスッと笑った。それにしても面白可愛い姿だ。ぬいぐるみなのか本物の猫なのか区別もつかないキュートさにほっこり頬が緩む。

「さあ、わたしの部屋に行こう」

  ミケは返事をするかのようにグーグーにゃんにゃんといびきをかきそして鳴いた。

  わたしは口元を緩めマンションのわたしの部屋に向かった。

  部屋のドアを猫のキーホルダーが付いている鍵で開け「ただいま~」と誰もいない玄関で挨拶をして部屋に入った。

  
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