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高尾山のムササビカフェ食堂でお仕事ですよ
こんな人生も幸せかな
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「あ、うん、ありがとう」
「一緒に運ぶと重たくないもんね~」
もふもふな姿のムササビとモモコはうんしょ、うんしょと椅子を一生懸命運んでいる。その姿があまりにも可愛らしくてキュンとする。
「ムササビちゃん、モモコちゃん頑張って!」
わたしは顔の横にグーを二つ作り応援した。そのわたしの隣で「ムササビちゃん、モモコちゃん頑張ってにゃ~ん!」とミケもわたしと同じポーズで応援した。
「ありがとう~頑張るよ。うんしょ、うんしょ」
ムササビとモモコは声を揃えてお礼を言う。
そんなこんなで四人掛けのテーブルに椅子を二脚追加して座ろとしてあることに気がついた。
「ねえ、四人掛けのテーブルに元々三人しか座っていなかったんだから椅子は一脚だけの追加で良かったんじゃない」
わたしが一脚余った椅子を指差し言った。すると、「そうだった」とみんなの声が揃う。そして、あはは、にゃははと一斉に笑う。
「椅子が一脚余りましたが、まあ、よしとしましょう。では、お茶でも淹れて来ますね」
高男さんがにっこりと笑い厨房に向かった。
戻って来た高男さんは湯気の立った緑茶とおせんべいをわたし達の目の前に置いた。
「わ~い! おせんべいだ~」
わたし達は喜びの声を上げおせんべいをバリバリと食べ緑茶をゴクゴクと飲んだ。
美味しいねと笑い合いみんなで食卓を囲む時間は幸せ色に包まれていた。
「うふふ、今日はなんか楽しかったな~」
モモコが帰るとムササビが大きな伸びをして言った。今はポニーテールの女の子の姿になっている。
「モモコちゃんと仲直りできて良かったね」
「うん、モモコの奴あんなのだけど、意外と可愛い奴かもね」
ムササビはニカッと笑う。
「あはは、ムササビちゃんってばほんとはモモコちゃんと仲良くしたかったんでしょ?」
「え!? あ、えっとその……仲良くしてあげても良かったかな~とは思っていたよ」
ムササビは唇を少し尖らせ気味にして言った。ちょっとひねくれた言い方ではあるけれど、ムササビの表情を見ているとやっぱり嬉しいんだろうなってことがわかる。
だって、顔がいつもより柔らかくなっているんだもんね。
「ねえ、真歌ちゃんどうして笑っているの?」
ムササビがわたしの顔を覗き込み尋ねた。
「ううん、何でもないよ~だ。やっぱりムササビちゃんは可愛らしいなと思ってね」
「えへへ、わたしってばやっぱり可愛いかな~」
ムササビは頭をポリポリ搔きちょっと照れたように笑った。
本日のお客さんはモモコとそれから男性のお客さんと女性のお客さんが各々一名来ただけだった。
「真歌さん、本日もお疲れさまでした。助かりました。また、明日もよろしくお願いします」
「高男さんお疲れさまでした。本日もありがとうございました。はい、また、明日もお願いします」
わたしと高男さんはにっこり笑い挨拶をした。
「また、明日ね」
「また、明日にゃん」
ムササビとミケもニコニコ笑顔で手を振る。わたしも「また、明日ね」と二人に笑顔を向ける。
派遣先が倒産して途方に暮れていたわたしだったけれどこの不思議なカフェ食堂に出逢うことができたので今はそれも良かったなと思う。人生の出逢いはなんだか不思議だな。
今日はケーブルカーが動いている時間にムササビカフェ食堂を出た。ケーブルカーから見える景色に目を細めわたしはこれから先のことはゆっくり考えようと思った。
「一緒に運ぶと重たくないもんね~」
もふもふな姿のムササビとモモコはうんしょ、うんしょと椅子を一生懸命運んでいる。その姿があまりにも可愛らしくてキュンとする。
「ムササビちゃん、モモコちゃん頑張って!」
わたしは顔の横にグーを二つ作り応援した。そのわたしの隣で「ムササビちゃん、モモコちゃん頑張ってにゃ~ん!」とミケもわたしと同じポーズで応援した。
「ありがとう~頑張るよ。うんしょ、うんしょ」
ムササビとモモコは声を揃えてお礼を言う。
そんなこんなで四人掛けのテーブルに椅子を二脚追加して座ろとしてあることに気がついた。
「ねえ、四人掛けのテーブルに元々三人しか座っていなかったんだから椅子は一脚だけの追加で良かったんじゃない」
わたしが一脚余った椅子を指差し言った。すると、「そうだった」とみんなの声が揃う。そして、あはは、にゃははと一斉に笑う。
「椅子が一脚余りましたが、まあ、よしとしましょう。では、お茶でも淹れて来ますね」
高男さんがにっこりと笑い厨房に向かった。
戻って来た高男さんは湯気の立った緑茶とおせんべいをわたし達の目の前に置いた。
「わ~い! おせんべいだ~」
わたし達は喜びの声を上げおせんべいをバリバリと食べ緑茶をゴクゴクと飲んだ。
美味しいねと笑い合いみんなで食卓を囲む時間は幸せ色に包まれていた。
「うふふ、今日はなんか楽しかったな~」
モモコが帰るとムササビが大きな伸びをして言った。今はポニーテールの女の子の姿になっている。
「モモコちゃんと仲直りできて良かったね」
「うん、モモコの奴あんなのだけど、意外と可愛い奴かもね」
ムササビはニカッと笑う。
「あはは、ムササビちゃんってばほんとはモモコちゃんと仲良くしたかったんでしょ?」
「え!? あ、えっとその……仲良くしてあげても良かったかな~とは思っていたよ」
ムササビは唇を少し尖らせ気味にして言った。ちょっとひねくれた言い方ではあるけれど、ムササビの表情を見ているとやっぱり嬉しいんだろうなってことがわかる。
だって、顔がいつもより柔らかくなっているんだもんね。
「ねえ、真歌ちゃんどうして笑っているの?」
ムササビがわたしの顔を覗き込み尋ねた。
「ううん、何でもないよ~だ。やっぱりムササビちゃんは可愛らしいなと思ってね」
「えへへ、わたしってばやっぱり可愛いかな~」
ムササビは頭をポリポリ搔きちょっと照れたように笑った。
本日のお客さんはモモコとそれから男性のお客さんと女性のお客さんが各々一名来ただけだった。
「真歌さん、本日もお疲れさまでした。助かりました。また、明日もよろしくお願いします」
「高男さんお疲れさまでした。本日もありがとうございました。はい、また、明日もお願いします」
わたしと高男さんはにっこり笑い挨拶をした。
「また、明日ね」
「また、明日にゃん」
ムササビとミケもニコニコ笑顔で手を振る。わたしも「また、明日ね」と二人に笑顔を向ける。
派遣先が倒産して途方に暮れていたわたしだったけれどこの不思議なカフェ食堂に出逢うことができたので今はそれも良かったなと思う。人生の出逢いはなんだか不思議だな。
今日はケーブルカーが動いている時間にムササビカフェ食堂を出た。ケーブルカーから見える景色に目を細めわたしはこれから先のことはゆっくり考えようと思った。
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