高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神のぬいぐるみとムササビやもふもふがいました

なかじまあゆこ

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高尾山のムササビカフェ食堂でお仕事ですよ

仲直り

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ムササビとモモコが仲直りできて本当に良かったと思う。これからは二人(二匹)でこの高尾山を盛り上げてほしいな。

  ムササビとモモコは今も動物の姿でニコニコと笑い「美味しいは最高だね」と言い合っていた。なんとも微笑ましい光景だ。

  もう喧嘩なんてしないでね。わたしは口元を緩めムササビとモモコのもふもふな姿を眺めた。

「にゃんか羨ましいな~わたしも誰かと仲良くしたいな」

  視線をミケに向けるとムササビとモモコを目を細めじっと眺めていた。

「ミケちゃん、わたしと仲良くしようよ」

  わたしはそう言ってニコッと笑ってみせた。

「え!  あ、うん。真歌ちゃんありがとうにゃ~ん」

  ミケは嬉しそうに頬を緩めたかと思うと「真歌ちゃ~ん、わたし嬉しいよ~」と言ってわたしに飛びついてきた。

「わっ、ミケちゃん」

  ミケのその勢いでわたしは後ろへよろけそうになったけれど、なんとか踏ん張りミケの背中に腕を回しギュッと抱きしめた。

「にゃはは、真歌ちゃんはあったかいな」

  ミケの柔らかい声がわたしの胸にじわりと響く。なんだかその声に癒され懐かしく感じた。ぽかぽかと心が温まる。

  このムササビカフェ食堂に来たばかりだけど、幸せになれる場所だ。

  ぽかぽかな幸せと美味しい料理がたくさん溢れている。

「おっ、真歌さんとミケちゃんも仲良しですね」

  お互いにギュギュとし合うわたしとミケを見た高男さんが言った。

「あ、高男さんもギュギュに加わるにゃん?」

「良かったらギュギュの世界へようこそ~」

「おいおい、俺が加わるとちょっとマズイんじゃないかな?」

  高男さんは困ったように眉を下げてあははと笑った。

「え?  どうしてかなにゃん?」
「ん?  どうしてかな?」

  わたしとミケはほぼ同時にそう言って首を横に傾げた。

「……だって、君達一応女の子でしょ?」

  高男さんは今度はちょっと呆れたように笑った。

「あ、そっか!」とわたしとミケの声が揃う。

「でも、一応って酷くないですか?」
「酷いにゃんね」

  わたしとミケは頬をぷくっと膨らませる。

「忘れていたクセに」と言って高男さんはククッと笑う。

  なんて、わたし達が話していたその時、「なんか楽しそうだね」と声がしたなと思ったらムササビとモモコがこちらを見ていた。

「ねえ、みんなで一緒に食べない」

  ムササビがにっこりと笑い立ち上がったかと思うと、うんしょともふもふな姿で椅子をこちらに持って来ようとしている。

  そんなムササビの椅子を高男さんがひょいと持ち上げ運んだ。

「高男さんありがとう。じゃあ、モモコの椅子を一緒に椅子を運ぼう」

  ムササビがモモコの椅子に可愛らしい手を伸ばした。
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