44 / 141
高尾山のムササビカフェ食堂でお仕事ですよ
ミケの出番です
しおりを挟むわたしと高男さんはムササビとモモコの会話を聞きマズイと思い顔を見合わせた。また、バトルに発展しないといいのだけど。
どうしたものかなと思っていたその時、それまで黙っていたミケが、「リスの仲間どうし仲良くしてもらいたいにゃん」と言ったかと思うと、パタパタとモモコの席へと向かった。
「高男さん、わたし達も行きましょう」
「はい、真歌さん」
わたし達もミケの後を追いかけた。
大きな窓がある窓際のモモコの席の前に行くと、 ムササビとモモコはギロギロと睨み合っていた。
「お客さんこのフルーツヨーグルト美味しいですよ。取りあえず食べてくださいにゃん」
ミケは睨み合っているムササビとモモコの間に入りニコニコと笑いモモコの顔を見た。
「えっ! にゃん? フルーツヨーグルトは美味しそうだけど……」
「ムササビちゃんがバナナの輪切りを頑張ってましたにゃん。味の保証はわたしがしますにゃん」
「ふ~ん、味の保証ね……。にゃん語を使う店員さんはこのフルーツヨーグルトは食べたのかな?」
モモコはミケを見上げ尋ねた。
「にゃはは、それはもちろんにゃん」
ミケは自信ありげに腰に手を当てて答えた。まだ、味見していないのになと思いミケの顔に視線を向けたわたしはあることに気がついた。
そのミケの顔を良く見ると口の周りにヨーグルトがべったりとくっついていたのだった。高男さんもそんなミケの姿に気がついたようだ。目を大きく見開いている。
「ふ~ん、にゃん語の店員さんがそこまで言うのなら食べてみるよ」
モモコはそう言ってスプーンを手に取る。そんなモモコの様子をわたし達はじっと見つめ見守る。
「では、いただきま~す」
モモコはヨーグルトと輪切りバナナをスプーンですくい口に運んだ。
しばらく味わっているのかモモコは黙っている。美味しいと感じてくれたかな? わたしはドキドキしながらモモコを見る。
「このフルーツヨーグルト……」と言葉を発しモモコは少し間を置きそれから、「爽やかなヨーグルトの酸味とほんのりと甘いバナナが良く合っていてなんか癒されるな~」と言った。
そのモモコの言葉を聞いたわたしはほっとした。良かったと心から思う。ムササビに視線を向けると微かに口元が緩んでいるように見えた。
「ねっ、美味しかったでしょうにゃん?」
「う、うん、まあね……」
モモコはそう返事をしたかと思うと今度はスプーンでキウイとヨーグルトをすくい口に運んだ。そして、イチゴ、マンゴーと次々に食べた。
「お、美味しかった~!」
フルーツヨーグルトを完食したモモコは満足そうな声を上げた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
失恋少女と狐の見廻り
紺乃未色(こんのみいろ)
キャラ文芸
失恋中の高校生、彩羽(いろは)の前にあらわれたのは、神の遣いである「千影之狐(ちかげのきつね)」だった。「協力すれば恋の願いを神へ届ける」という約束のもと、彩羽はとある旅館にスタッフとして潜り込み、「魂を盗る、人ならざる者」の調査を手伝うことに。
人生初のアルバイトにあたふたしながらも、奮闘する彩羽。そんな彼女に対して「面白い」と興味を抱く千影之狐。
一人と一匹は無事に奇妙な事件を解決できるのか?
不可思議でどこか妖しい「失恋からはじまる和風ファンタジー」
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる