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つくも神
ここは高尾山だった
しおりを挟むムササビカフェ食堂に戻ると高男さんが紅茶を淹れてくれていた。
寒い外から帰ってきたわたし達三人は紅茶を飲み身体の芯からぽかぽかほっこりと温まった。
「真歌さん今日はお疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
「明日もよろしくお願いします」
「はい、明日もよろしくお願いします」
高男さんがカフェの外まで出てきて挨拶をした。
「では、気をつけて帰ってくださいね」
「はい、ありがとうございます」
ムササビとミケも出てきて、「真歌ちゃんまた明日ね」、「真歌ちゃん、また明日にゃん」と言って手を振ってくれた。
わたしは「また明日ね」と言って手を振り返した。良い職場が見つかり幸せ者だなと頬を緩ませ歩きだしたところであることに気がついた。そうここは高尾山だった。
カフェの前は街灯があったし山から見える夜景はとても綺麗でうっとり眺めていたのだけれどここは山の中なのだ。
そう、山の中なんだよ。しばらく歩くと辺りは真っ暗ではないか。漆黒の世界だよ。ケーブルカーは終了しているので歩いてこの暗闇の中を下山するしかないのだ。
「うわぁ~こんなに暗くなるなんて知らなかったよ~」
わたしは思わず叫んでしまった。
そして、背負っていたリュックを下ろしファスナーを開けごそごそし懐中電灯を見つけた。
ほっとしたわたしは「良かった~懐中電灯あった~」と声を上げ懐中電灯をつけた。
すると、ぱっと周囲が明るくなり何がぽわんと浮かび上がった。
「え!? 何?」
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