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つくも神

空飛ぶムササビを眺めていると

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  暗闇の中を気持ち良さそうに木から木ヘ飛び移るムササビの姿に癒されわたしは自然を感じる。

「うふふ、気持ちいいよ~」

  空をびゅーんと飛ぶムササビが言った。

「いいな~わたしも空を飛んでみたいな」
「わたしもムササビちゃんみたいに空を飛べたら気持ちいいだろうにゃん~」

  わたしとミケは空を舞うムササビを見上げながら言った。

  ムササビはどんな想いを胸に抱えているのだろうか。そして、わたしの隣に立っているミケもまた……。

  わたしは空飛ぶムササビやぬいぐるみだったつくも神のミケと何か繋がるものがあるのかもしれないなと感じた。今はそれが何なのか良くわからないけれど。

「わたしを目覚めさせてくれてありがとう」

  隣にに立っているミケがぽつりと呟いた。

「あ、それはたまたまだよ」

  ミケに何度か言われた『わたしを目覚めさせてくれてありがとう』と言う言葉にたまたまだよと答えながらも心のどこかで何か大事なことが隠されているのかもと感じているわたしがいる。

  そんなことを考えていると、「真歌ちゃんどうしたにゃん」とミケがわたしの顔を覗き込み尋ねた。

「うん、なんかわたし今、不思議な空間にいるな~って思ったんだよ」

  そう、上空には人間の女の子に化けるムササビがいてそして、目の前にはわたしの顔を覗き込むつくも神のミケがいるんだもん。

  これは、不思議な世界を通り越しファンタジーだ。けれど、非日常な世界でありながら日常的な世界にも感じられるのだった。

「うふふ、わたしのムササビショーはいかがだったかな~?」

  気がつくといつの間にかもふもふ姿のムササビがわたし達の目の前に二本足で立っていた。

「あれ?  ムササビちゃんいつの間に?  もうめちゃくちゃ格好良かったよ」

「めちゃくちゃ素敵だったにゃ~ん!」

  わたしとミケは感嘆の声を上げた。

「えへへ、やっぱり~わたしってばカッコいいよね」

  ムササビは可愛らしい手で頭をぽりぽり搔きニコニコ笑顔だ。照れながらもその笑顔には自信が満ち溢れている。

「ムササビちゃんってば自分を褒めるんだから。でも、そんなムササビちゃんが羨ましいな」

  だって、わたしは自分に自信なんて持てないからムササビのように自信を持ち胸を張れる生き方がちょっと羨ましい。

「わたしもムササビちゃんが羨ましいにゃん」

  ミケもムササビを羨ましそうに見つめている。

「なんか褒められちゃった~」

  星空の下ムササビは満面の笑みを浮かべた。もうめちゃくちゃ可愛いではないか。

「さて、ムササビカフェ食堂に戻ろうか」

  ムササビはいつの間にか女の子の姿に戻り歩きだした。
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