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5 静香と三毛猫

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「あ!」とわたしは声を上げた。

 だって、アルバムの写真の女の子の姿を見てわたしはびっくりしたのだ。

「この女の子は! わたしだよ」

 そうなのだ。その女の子は幼き日のわたしことりだった。砂場の前にしゃがみ込みツインテールを揺らしスコップで穴を掘っているみたいだ。

 そんなわたしの幼き日の写真がまゆかおばあちゃんのアルバムに貼られていたことにびっくりなんだけれど、それよりもっとびっくりしたことがある。

 それは……。

 
 わたしの隣で穴を掘っている女の子にびっくりしたのだ。だって、その女の子はあの子だったんだもん。

 あの子とはそう静香だったのだ。でも、どうして静香がわたしの隣でスコップを手に持ち穴掘りをしているのかな?

 あっ! そう言えば。幼い頃の記憶がよみがえる。

 わたしには幼稚園に上がる前仲良しの女の子がいた。すっかり忘れていたけれど、その女の子と公園の砂場やすべり台、それからブランコや鉄棒で遊んだな。

 だけど、幼稚園に上がるとその女の子のことなんてすっかり忘れていた。

 アルバムの写真をじっと見ていたらまゆかおばあちゃんが、「この写真静香ちゃんとことりちゃんだよね」と言ってわたしと静香の顔を見た。

 わたしと静香は顔を見合わせた。

「そうだけど……」と静香は答えた。

 わたしも「わたしと静香ちゃんみたいだよ」と返事をした。

 「懐かしい写真だよね」

 まゆかおばあちゃんはわたし達に向けていた視線をアルバムの写真に向け目を細めた。

「あの、どうしてわたしと静香ちゃんの写真をまゆかおばあちゃんが持っているんですか?」


 
 わたしはまゆかおばあちゃんの顔をじっと見てそれから幼き日のわたしと静香の写真に目を落とし尋ねた。

「うふふ、ことりちゃんは幼かったから覚えていなかったと思うけど、あの頃静香ちゃんはわたしの家によく遊びに来てたのよ。ねっ、静香ちゃん」

 まゆかおばあちゃんはそう言いながら静香の顔を見てウィンクをした。

「わっ! まゆかおばあちゃんってばウィンクなんてして気持ち悪いよ」

 静香はまゆかおばあちゃんの顔を見て嫌な顔をする。

「もう、静香ちゃんってば意地悪なことを言うんだから」

 まゆかおばあちゃんはほっぺたをぷくっぷくっと膨らませた。その表情はなんだか可愛らしい。

「ふん! 気持ち悪いんだもん」

 静香もまゆかおばあちゃんと同じようにほっぺたをぷくっと膨らませた。あはは、ちょっとその表情はそっくりだよ。

「ちょっと、ことりちゃんどうして笑っているのよ」

 静香はわたしの顔をギロリと睨む。オー恐い。

「だって、二人の表情そっくりなんだもん」
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