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5 静香と三毛猫

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「お母さんがまゆかおばあちゃんにぶどうとみたらし団子を持って行きなさいって言うから渋々来たんだよ」

 静香は言いながら木製のテーブルにぶどうとみたらし団子が入っているらしいビニール袋を置いた。

「あら、ありがとう」

 まゆかおばあちゃんはにっこりと微笑みを浮かべ「あ、でも渋々って酷いわね」と言いちょっと不満そうだ。わたしと美紀香ちゃんはテーブルに置かれたビニール袋をじっと眺めた。

 それとミケたんは「みたらし団子にぶどうだよ」と言って舌舐めずりをする。さっきみたらし団子を食べたばかりなのにね。

「静香ちゃんせっかく来たんだからみたらし団子でも食べていきなさいよ」

「いいよ。家にわたしの大好きなチョコレートケーキがあるもん」

静香はふふっと笑った。

「ケーキも美味しいけどお茶とみたらし団子も最高よ。さあ、座って~」

 まゆかおばあちゃんは両手を広げて歓迎のポーズだ。

「仕方ないな。まゆかおばあちゃんの家ぐちゃぐちゃだから嫌なんだけどな」

 静香は嫌そうな顔で座布団に座った。


 台所へパタパタと向かったまゆかおばあちゃんはしばらくすると、お盆にみたらし団子とジャスミンティーにそれからぶどうが盛られたお皿を載せ戻ってきた。

「わぁ~い! ぶどうだにゃん」

 ミケたんはにゃーんと飛び跳ねて喜んだ。

 わたしや美紀香ちゃんの目の前にまたもやみたらし団子が置かれた。

「さっきみたらし団子食べましたよ」

「うふふ、育ち盛りなんだから食べられるでしょ? きっと、このみたらし団子も美味しいわよ」

 まゆかおばあちゃんはニッと笑う。

「あ、はい。美味しそう。食べられますけど」

 わたしは返事をしながらチラリと静香を見た。

「ことりちゃん食べたら」

 静香はぶっきらぼうに言った。

「じゃあ、いただきます」

「さあ、みんなもう一度いただきますだよ~」

 まゆかおばあちゃんは、手を合わせる。わたし達もそれに続いて手を合わせた。

 静香が持ってきたみたらし団子ももちもちしていて美味しかった。

 わたしはみたらし団子を食べながらまゆかおばあちゃんと静香の顔をチラリと見た。

 やっぱり二人の関係が気になって仕方がない。

「あの、まゆかおばあちゃんは静香ちゃんのおばあちゃんなんですか?」


「え? わたしが静香ちゃんのおばあちゃん?」

 まゆかおばあちゃんは自分の顔を人差し指で指差しながら言った。

「はい、だって、静香ちゃんのお母さんがみたらし団子やぶどうを静香ちゃんに持たせるからそうかなって思ったんだけど違うんですか?」

「あら、だって、わたし独身よ」
「へっ! そうなんですか」

 そういえばこの家でおじいちゃんの姿を見かけたことはなかった。特に考えたことはなかったけれど、仕事か出かけているのかなと何となく思っていた。

「じゃあ、まゆかおばあちゃんと静香ちゃんの関係は?」

「あはは、そんなに気になるんだ」

静香は串に刺してあるみたらし団子を一つ口に放り込むとクスクスと笑った。

 何がそんなおかしいのよ。なんかムッとする。わたしが静香をじっと見ていると、

「まゆかおばあちゃんはわたしのおばあちゃんの妹だよ~」と言って笑う。

「へぇ、そうなんだ。親戚だったんだね」

 なんだかイラつくのと同時にまゆかおばあちゃんが静香のおばあちゃんじゃなかったことになぜだかほっとした。

 それはどうしてかな?
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