わたし雑草がぼうぼうと生えているおばあちゃんの家にお邪魔します!(猫と不思議な生き物が住みついています)

なかじまあゆこ

文字の大きさ
上 下
21 / 40
4 いざ、雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家へ

11

しおりを挟む
「結太君がね、牛柄ちゃんとうちの家の前で遊んでいたのよ。そしたらスズメがチュンチュンってやって来たらしいのよ」

 まゆかおばあちゃんはそう言いながら結太に視線を向けた。そして、「ことりちゃんと美紀香ちゃんに話してあげてね」と言った。

「えっ! 俺が話すの?」

 結太はちょっと嫌そうな顔をする。

「うん、結太君が話してくれたほうがわかりやすいと思うのよ」

 まゆかおばあちゃんはうふふと笑った。

「そうかな? まあ、話すほどのことじゃないけどね……」

 溜め息をつく結太にわたしは「話してよ」と言った。

「ああ、もう面倒くさいな~まゆかおばあちゃんの家の前で牛柄ちゃんがゴロンと寝転がっていたんだよ。それで、俺可愛いなと思って撫でたんだよ」

「結太も猫好きだもんね」

 わたしはククッと笑う。

「そうそう小さい頃から猫好きだったよね。それで、ペットショップの前で猫飼っててごねたこともあったよね」

 美紀香ちゃんはそう言ってニヒヒと笑う。

「美紀香うるさいな! 話さなくていいのかよ」

 結太は口を尖らせ美紀香ちゃんを睨んだ。

「あ、ごめんね、続きを話してよ」と美紀香ちゃんは胸の前で手を合わせた。

「そんなに聞きたいのかよ。牛柄ちゃんを撫でてもふもふタイムを楽しんでいたらスズメがやって来たんだよ」

 「スズメが?」

 それがどうしたんだろう。

「そうスズメだよ。牛柄ちゃんがゴロゴロゴロンと寝転がっている近くにテクテク呑気にスズメは歩いてきたんだよ。そしたら」



 わたしと美紀香ちゃんは固唾を呑み結太の次の言葉を待つ。まさか、牛柄ちゃんがスズメを攻撃したなんてことはないよね。

「そしたらさ、どこかのボス猫みたいな目つきの悪い猫《ヤツ》がやって来たんだよ。んで、ニャーゴ! って鳴いてスズメを襲うとしたんだ。それで俺と牛柄ちゃんがスズメをボス猫から守ったんだよ」

 結太はそう言って胸を張った。鼻の穴も膨らませている。

「うふふ、それをわたしが見ていたのよ。それでね家《うち》にどうぞ~って結太君を呼んだのよ」

 まゆかおばあちゃんが結太と同じように胸を張った。

「そうそう、あの日はまゆかおばあちゃんが切ってくれためちゃくちゃ甘くて美味しいスイカを食べたんだ」

 結太はスイカを頭に思い浮かべているのかヨダレを垂らしている。

「へぇーそうだったんだね。結太ヨダレ垂らすな!」とわたしと美紀香ちゃんはほぼ同時に言って結太とまゆかおばあちゃんをじっと眺めた。

 「うん、そしたらいつの間にかまゆかおばあちゃんや牛柄ちゃんにそれからミケたんと仲良しになったんだよ」

 結太はそう言って得意げに笑った。その得意げな顔を見ているとちょっと悔しくなる。

 だって、結太のくせにわたしより先にまゆかおばあちゃんや猫達と仲良くなったなんてね。ぷんぷんだ。

「そうよ。小学生の可愛いお友達が増えておばあちゃん嬉しいわ。結太君と仲良くなれたと思ったら今度はことりちゃんや美紀香ちゃんとも仲良くなれたんですもんね」

 まゆかおばあちゃんのその声も顔もなんだか嬉しそうだ。そんなまゆかおばあちゃんを見ているとわたしの頬は緩む。  

「まゆかおばあちゃん、これからも仲良くしてやるぜ!」

「あらあら結太君嬉しいわ」

「ちょっと、結太! 偉そうだよ。結太がまゆかおばあちゃんに仲良くしてもらってるんじゃな~い」

 とわたしが言うと美紀香ちゃんも「そうだよ~」と言った。

「うるさい奴らだな」

 結太は口を尖らせた。

「あはは、みんな仲良しで楽しいわね」

 まゆかおばあちゃんは楽しそうに笑った。

「そうだにゃん。みんな仲良しだにゃん」

 それまで黙って水ようかんを黙々と食べていたミケたんもにゃぱにゃぱと笑った。

 「あ、ミケたん! お口の周りに水ようかんがくっついているよ」

「うにゃん。わたしとしたことがにゃん」

 ミケたんは慌てて手の甲で口の周りや顔をゴシゴシ洗う。その姿はやっぱり猫っぽくて可愛いな。

「ミケたんは食いしん坊だからな」

「にゃぬぬ。結太こそ食いしん坊だにゃん」

 ミケたんは頬をぷくっと膨らませ結太を見る。

「はいはい、ミケたんも結太君も食いしん坊よ」

 まゆかおばあちゃんはケラケラ笑った。

 なんて楽しく話をしながらわたし達は冷たい麦茶と水ようかんを食べた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐️して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~

世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。 友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。 ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。 だが、彼らはまだ知らなかった。 ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。 敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。 果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか? 8月中、ほぼ毎日更新予定です。 (※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)

鎌倉西小学校ミステリー倶楽部

澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】 https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230 【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】 市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。 学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。 案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。 ……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。 ※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。 ※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。 ※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。 ※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)

沖縄のシーサーとミケネコーンとわたしの楽しい冒険をどうぞ~

なかじまあゆこ
児童書・童話
友達がいることは素晴らしい! 異世界(怪獣界)から地球に落っこちてきたミケネコーンも人間もみんな友達だよ。 門柱の上に置かれていたシーサーの置物が目に入った。その時、猫の鳴き声が聞こえてきた。だけど、この生き物は白、茶色、黒の三色の毛色を持つ短毛のいわゆる三毛猫と同じ柄なんだけど、目なんて顔からはみ出すほど大きくて、お口も裂けるくらい大きい。 猫ではない不思議な生き物だった。 その生き物は「ミケネコーンですにゃん」と喋った。 シーサーとぶさかわもふもふ猫怪獣ミケネコーンと中学一年生のわたし夏花(なつか)とクラスメイトみっきーのちょっと不思議な元気になれる沖縄へテレポートと友情物語です。 ミケネコーンは怪獣界へ帰ることができるのかな。

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

奈良町には食いしん坊な神様と狛犬が住んでいます!

なかじまあゆこ
児童書・童話
奈夜(なよ)はならまちの神社で夢が叶いますようにとお祈りをしていた。すると、狛犬の狛子と狛助がついてきた。プラス神様も……。 江戸時代末期から明治時代の昔ながらの町屋が建ち並ぶ奈良の懐かしさを感じるならまちで食いしん坊な狛犬の狛子と狛助それからお金が好きな神様に好かれた奈夜は……。 おじいちゃんとおばあちゃんとならまちで暮らす中学二年生の奈夜。おじいちゃんは……。 そこに狛犬と神様がいつの間にか居候、ご飯やお菓子を一緒に食べる。ほのぼのと美味しいご飯と楽しい時間を過ごしそして、時には切ない物語です。 よろしくお願いします(^-^)/

処理中です...