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4 いざ、雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家へ
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「うん、いるにゃん。おばあちゃんが生まれる前からずっとにゃん」
ミケたんはえっへんと得意げに鼻の穴を膨らませ胸を張る。
「すごい~」
「びっくり~」
「おい、本当なのか~」
わたしと美紀香ちゃんにそれから結太は口々に言った。
「昔は普通の猫だったにゃん。それがいつの間にか人間の姿に化けることができるようになったにゃん」
ミケたんはさらに胸を張り鼻の穴もより膨らんだ。
「わたしも初めて見た時はびっくりしたよ。三毛猫が人間になるんだからね」
まゆかおばあちゃんは昔のその風景を思い出したのか目を細めている。
昔のまゆかおばあちゃんなんて想像もつかない。昔から牛柄ちゃんのサンダルを履いているのかなと思うと笑ってしまう。
「ことりちゃんどうしたのかな?」
まゆかおばあちゃんはこちらに振り返りきょとん顔だ。
「あ、えっと、まゆかおばあちゃんは若い頃から牛柄ちゃんのサンダルを履いてるのかなと考えて笑ってしまいました」
わたしは正直に答えた。
すると、美紀香ちゃんと結太がププッと笑った。ミケたんもにゃははと笑っている。
「あら、ちょっとどうしてみんな笑うのよ」
まゆかおばあちゃんは頬を膨らませわたし達の顔を見た。その表情がなんだか可愛らしく感じわたしの頬は緩む。
しばらくの間、わたし達は笑い、まゆかおばあちゃんは、「もう、みんなってば」と言って手を振り回していた。
「おばあちゃんは残念ながら昔は牛柄ちゃんのサンダルは履いてなかったにゃん」とミケたんが言った。
「えっ、履いてないの? あ、じゃあ、下駄に着物姿ですか?」
わたしは古き時代を想像した。と言っても上手くイメージできないけれど。
「ちょっと、ことりちゃん。わたしは七十歳よ。着物なんて着てないわよ」
「あ、そっか、そうですよね」
「そうよ。着物を着てたのは当時のおばあちゃんくらいかしらね?」
「あはは、ごめんなさい。そうですよね」
わたしは、あははと頭を掻きながらそれはそうとミケたんは、まゆかおばあちゃんが生まれるずっと前からここにいたなんてもの凄いことだよね。
そう考えながらにゃははとまだ笑っているミケたんにわたしは視線を向けた。
すると、ミケたんの澄んだ大きな目と目が合った。
「わたしはこの場所でいろんな人や動物達と出逢ってきたんだにゃん。楽しいことも悲しいこともあったにゃん」
そう言ったミケたんの目は少し寂しそうだった。
「さてと、みんな、おばあちゃんの庭の雑草を抜こうにゃん」
ミケたんはぴょーんと庭に飛び降りにゃぱと笑った。
わたし達は、「賛成」と声を揃えて言った。
「えっ! 雑草抜いちゃうの!」
まゆかおばあちゃんは大きな声を上げた。
「まゆかおばあちゃん、雑草可哀想だけどお庭を綺麗にしようよ。ねっ」
わたしはまゆかおばあちゃんの顔を見てニッと笑ってみせた。
「そ、そうね。みんながそう言うんだったらね」
まゆかおばあちゃんはしぶしぶと言った感じではあったけれど了承してくれた。
そして、ミケたんがごみ袋とバケツを準備した。
「草抜き道具はないけどこれで良しにゃん」
ミケたんはにゃぱにゃぱと可愛らしい笑みを浮かべ「さあ、始めるにゃん」と雑草がぼうぼうと生えている庭の真ん中で叫んだ。
わたし達も足元が見えないほど雑草がぼうぼうに生えているまゆかおばあちゃんの庭に立った。
ミケたんはえっへんと得意げに鼻の穴を膨らませ胸を張る。
「すごい~」
「びっくり~」
「おい、本当なのか~」
わたしと美紀香ちゃんにそれから結太は口々に言った。
「昔は普通の猫だったにゃん。それがいつの間にか人間の姿に化けることができるようになったにゃん」
ミケたんはさらに胸を張り鼻の穴もより膨らんだ。
「わたしも初めて見た時はびっくりしたよ。三毛猫が人間になるんだからね」
まゆかおばあちゃんは昔のその風景を思い出したのか目を細めている。
昔のまゆかおばあちゃんなんて想像もつかない。昔から牛柄ちゃんのサンダルを履いているのかなと思うと笑ってしまう。
「ことりちゃんどうしたのかな?」
まゆかおばあちゃんはこちらに振り返りきょとん顔だ。
「あ、えっと、まゆかおばあちゃんは若い頃から牛柄ちゃんのサンダルを履いてるのかなと考えて笑ってしまいました」
わたしは正直に答えた。
すると、美紀香ちゃんと結太がププッと笑った。ミケたんもにゃははと笑っている。
「あら、ちょっとどうしてみんな笑うのよ」
まゆかおばあちゃんは頬を膨らませわたし達の顔を見た。その表情がなんだか可愛らしく感じわたしの頬は緩む。
しばらくの間、わたし達は笑い、まゆかおばあちゃんは、「もう、みんなってば」と言って手を振り回していた。
「おばあちゃんは残念ながら昔は牛柄ちゃんのサンダルは履いてなかったにゃん」とミケたんが言った。
「えっ、履いてないの? あ、じゃあ、下駄に着物姿ですか?」
わたしは古き時代を想像した。と言っても上手くイメージできないけれど。
「ちょっと、ことりちゃん。わたしは七十歳よ。着物なんて着てないわよ」
「あ、そっか、そうですよね」
「そうよ。着物を着てたのは当時のおばあちゃんくらいかしらね?」
「あはは、ごめんなさい。そうですよね」
わたしは、あははと頭を掻きながらそれはそうとミケたんは、まゆかおばあちゃんが生まれるずっと前からここにいたなんてもの凄いことだよね。
そう考えながらにゃははとまだ笑っているミケたんにわたしは視線を向けた。
すると、ミケたんの澄んだ大きな目と目が合った。
「わたしはこの場所でいろんな人や動物達と出逢ってきたんだにゃん。楽しいことも悲しいこともあったにゃん」
そう言ったミケたんの目は少し寂しそうだった。
「さてと、みんな、おばあちゃんの庭の雑草を抜こうにゃん」
ミケたんはぴょーんと庭に飛び降りにゃぱと笑った。
わたし達は、「賛成」と声を揃えて言った。
「えっ! 雑草抜いちゃうの!」
まゆかおばあちゃんは大きな声を上げた。
「まゆかおばあちゃん、雑草可哀想だけどお庭を綺麗にしようよ。ねっ」
わたしはまゆかおばあちゃんの顔を見てニッと笑ってみせた。
「そ、そうね。みんながそう言うんだったらね」
まゆかおばあちゃんはしぶしぶと言った感じではあったけれど了承してくれた。
そして、ミケたんがごみ袋とバケツを準備した。
「草抜き道具はないけどこれで良しにゃん」
ミケたんはにゃぱにゃぱと可愛らしい笑みを浮かべ「さあ、始めるにゃん」と雑草がぼうぼうと生えている庭の真ん中で叫んだ。
わたし達も足元が見えないほど雑草がぼうぼうに生えているまゆかおばあちゃんの庭に立った。
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