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4 いざ、雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家へ

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 そして、翌日の放課後。

「今日は何して遊ぶ?」
 
「まゆかおばあちゃんの家に行きたいけど二日連続はマズいよね? 公園で遊ぶ?」

 学校からの帰り道わたしと美紀香ちゃんはランドセルをカタカタ揺らしながらそんな話をする。

「うん、じゃあ、ランドセルを置いたら公園に行こう!」

「じゃあ決定ね」

 家の前で手を振り「じゃあ後でね」と言い合った数秒後に「じゃあ、行こうか」と公園に向かうわたし達。

 お隣に住んでいて幼い頃からずっと友達のわたしと美紀香ちゃん。この先、中学生、高校生、大学生(もし行くのならば)、そして大人になっても友達でいたいなと思う。

 美紀香ちゃんの横顔をじっと見ながらそんなことを考えた。

「ん? わたしの顔に何かついてる?」
「あ、えっと、美紀香ちゃんと大人になっても友達でいられるかなと思って」

 わたしがそう言って美紀香ちゃんをチラッと見ると、

「当たり前でしょう。だって、ことりちゃんはわたしの親友なんだもん」と言って美紀香ちゃんはにんまりと笑った。

「良かった」

 わたしも笑いなんだかほっとした。それと、美紀香ちゃんが親友と言ってくれたことも涙が出そうになるほど嬉しかった。

 そして、公園に行こうとしていたはずのわたし達の足はいつの間にか雑草がぼうぼうと生えているまゆかおばあちゃんの家へとまるで導かれるかのように向かっていた。

「あれ? まゆかおばあちゃんの家だ」
「いつの間にかここに来ていたね」

 わたしと美紀香ちゃんは顔を見合わせそれから視線をまゆかおばあちゃんの家へと移した。


 「来ちゃったね」
「うん、来ちゃったね」

 わたしと美紀香ちゃんは顔を見合わせ笑い合う。

 すると、その時わたしの足元にもふもふな何かを感じた。この柔らかくてもふもふな感触はと考えながら視線を下に落とす。

「あ、ミケたんだ!」

 そうなのだ。思ったとおりミケたんが三毛猫の姿でわたしの足に頭や体をすりすりしている。その姿はとてもキュートで可愛い。

 そんなミケたんをじっと眺めていると顔を上げたミケたんの黄色の澄んだ目と目が合った。

 ミケたんの目は濁りがなくて黄色にも緑色にも見えキラキラと輝きまるで宝石のように綺麗だ。わたしは、その美しい目に吸い込まれそうになった。

「おばあちゃんの家にようこそにゃん!」

「わっ! やっぱり喋った~」
「うわぁわぁ~!」

 わたしと美紀香ちゃんはほぼ同時に声を上げた。

「あらまにゃん」

 ミケたんは首を横に傾げきょとん顔だ。めちゃくちゃ可愛いけれど、怖いってば‥‥‥。

 わたしと美紀香ちゃんが口を金魚みたいにパクパクさせていると、ミケたんが「おばあちゃんのお菓子食べたくないの?」と言った。

 わたしと美紀香ちゃんは「食べる!」と声を合わせて返事をしてしまった。


「では、行こうにゃん」

 尻尾をピーンと立てててくてくにゃんにゃんと歩くミケたんの後ろをついて歩くわたしと美紀香ちゃん。

「なんだかミケたんのペースで悔しいね」

「だよね。ちょっと悔しいかも」

 わたしと美紀香ちゃんは頬をぷくっと膨らませながらまゆかおばあちゃんの家にお邪魔した。

 散らかり放題の玄関で靴を脱いでいると、

「あらあらこんにちは、今日も来てくれたのね」とまゆかおばあちゃんの声が聞こえてきた。

 顔を上げると今日は紫色のハーフパンツ(何色持っているのかな?)にやっぱり真っ白なランニングを着たまゆかおばあちゃんがにっこりと笑い立っていた。

「あ、まゆかおばあちゃん勝手にお邪魔してごめんなさい」とわたしは言った。

「ミケたんに案内されてしまいました」と美紀香ちゃんが言う。

「うふふ、いいわよ。いつでも来てねと言ったんだからね」

 まゆかおばあちゃんはうふふと笑いながら両手を大きく広げ「ようこそ!」と言った。

 でもね、まゆかおばあちゃんのお家に今日もお邪魔できてわたしは嬉しいんだ。
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