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4 いざ、雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家へ
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しおりを挟む授業が終わり、ランドセルに教科書を詰め込みウキウキしていると、
「ことりちゃ~ん、帰ろう~」と隣のクラスの美紀香ちゃんがやって来た。
「うん、帰ろ~」
わたしは元気よく返事をして教室を出る。
「雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃん家《ち》の喋る猫が楽しみ~」
美紀香ちゃんがわたしの耳に口を近づけて言った。
「ちょっと怖いけどね。でも、美紀香ちゃんがいるから心強いかな」
「うふふ、頼りにしてくれてありがとう~」
美紀香ちゃんはニッと笑った。
「うん、これからも仲良くしてね」
わたしは美紀香ちゃんの顔を見てにっこりと笑った。
そんな話をしながらわたし達は下校した。
一度家に帰りランドセルを二階の自室に放り投げすぐに玄関のドアを開け外に出る。お母さんは今日もパートで留守だ。
「さあ、行こうか」とすでにわたしの家の前で猫柄のトートバッグを肩にかけ待っている美紀香ちゃんに言った。
「うん、行こう~」
美紀香ちゃんは元気よく返事をした。
おばあちゃんの家は今日も雑草がぼうぼうに生えていた。
「猫ちゃんいるかな~?」、「いるといいね」と、わたしと美紀香ちゃんはおばあちゃんの家の前で言い合い辺りをキョロキョロと見回した。
わたしは昨日、おばあちゃんの家から逃げ出したのでとちょっと気まずいかなと思いながら。
その時、背後に気配を感じた。
誰だろう? 猫かなと思い振り返ると。
真っ白なランニングシャツに派手なオレンジ色のハーフパンツを穿き、牛柄ちゃんと似た猫柄のサンダルを履いているおばあちゃんが立っていた。今日ピンク色じゃない。色違いかな。
「お嬢ちゃんまた来たんだね」
おばあちゃんはそう言ってうっしっしと笑った。
「あの、昨日は突然帰ってごめんなさい!」
わたしはぺこりと頭を下げた。
「それはかまわないけど心配したよ」
「ちょっと用事が‥‥‥じゃなくて猫ちゃんが喋ってびっくりして逃げちゃいました」
わたしは正直に言ってみた。
「あ、そのことかい。うちに通う猫ちゃんは話し好きなのよね」
なんて言っておばあちゃんはうっしっしなんて笑ってる。
「えっ! おばあちゃん知っていたんですか?」
「そりゃうちに通ってる猫ちゃんだからね」
おばあちゃんは今度はワッハハと豪快に笑った。
わたしと美紀香ちゃんは顔を見合わせた。
「はぁ、そうなんですね。猫ちゃんが喋るなんて怖くありませんか? それに、その‥‥‥人間の女の子に化けたし‥‥‥」
そうだった。あの三毛猫は喋るだけではなく人間の女の子に化けたことを思い出しまたちょっとゾクゾクする。
「あはは、三毛猫ちゃんは人間に化けるずっと生きている猫ちゃんらしいわよ」
おばあちゃんはそう言ってうっしっしと笑った。
「ずっと生きている猫ーーー!」
わたしと美紀香ちゃんはほぼ同時に叫んだ。
「あらあらそんなにびっくりしたのね。こんなところで立ち話もあれだから中に入ってね。あ、お友達のお嬢ちゃんもどうぞ~」
おばあちゃんはそう言ってにんまりと笑ったかと思うとさっさと玄関の引き戸を開け家の中へ入ってしまった。
わたしと美紀香ちゃんは顔を見合わせ、「行こうか」と言い合った。
そして、わたし達は玄関で「お邪魔しま~す」と声を揃えて挨拶をし靴を脱ぎ家に上がった。
昨日は縁側から入ったのでまた違う感覚だ。田舎のおばあちゃんの家の匂いと少し似ていた。
それはそうとおばあちゃんの家の中は物であふれかえっている。
先ず、玄関に何人分なのかな? と思ってしまう靴やサンダルに園芸用品、廊下には新聞紙の束やペットボトルやタッパ類が所狭しと置かれていた。
「おばあちゃんの家散らかってるね」
美紀香ちゃんがわたしの耳元に口を近づけて言った。
「うん、物がいっぱいだね」とわたしも小声で返事をする。
まあ、わたしもお母さんに片づけなさいと怒られているので人のことは言えないけれど、それにしても同じ物がたくさんあるなと思って眺めた。
おばあちゃんは掃除が苦手というより物を捨てたくないのかなと思った。
「お嬢ちゃん達~麦茶とお菓子よ」
おばあちゃんの声が部屋の奥から聞こえてきた。
わたし達は「は~い」と声を揃えて返事をした。
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