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3 給食タイム
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しおりを挟むわたしは一組のクラスではお姫様の静香に嫌われたので特に仲良しの友達もいない。
なので大好きなカレーライスを黙々と無言で食べている。班ごとで机をくっつけているけどね。
昨年まではみんなと楽しく会話をしながら食べていたのにな。ちょっとツマンナイけれどまあいっか。
登下校も美紀香ちゃんと一緒だもんね。遊びにも出かけるしね。
わたしはカレーライスに唐揚げを二個のせた。(一個はそのまま食べるのだ)唐揚げはジューシーで美味しいしカレーに良く合う。
大きな口を開けてもぐもぐ食べる。カレーと唐揚げを同時に食べるとなんだか得した気分になる。
ああ、幸せだ。こんな小さなことで幸せだなんてわたしって単純かな。そんなことを思いながら唐揚げカレーライスを食べていると頬が緩んでしまう。
今日は最高の一日だなんてね。
わたしがにへらへらへらと笑いながら食べていると、
「あの‥‥‥ことりちゃん唐揚げカレーって美味しいのかな?」
「えっ?」
その声に振り返るとわたしの隣に机をくっつけて給食を食べている小岩絵美佐がわたしのカレーライスに視線を落としていた。
「うん、カレーと唐揚げは良く合うよ」とわたしは答えた。
絵美佐ちゃんが話しかけてくるなんて珍しいなと思った。
「ふ~ん、そうなんだね」
絵美佐ちゃんはそれだけ言って自分のカレー皿に唐揚げを一個のせスプーンでカレーと唐揚げをすくい口に運んだ。
そんな絵美佐ちゃんの横顔をチラッと見ていると、その顔がニンマリしたことをわたしは見逃さなかった。
「美味しい~」と絵美佐ちゃんは小声で呟いた。
うふふ、やっぱり美味しいんだと嬉しくなる。わたしはカレー皿にある二個目の唐揚げをカレーライスと一緒に食べた。
「うん、美味しい~」
絵美佐ちゃんも美味しいと感じているんだなと思うとより美味しく感じられた。
やっぱりみんなと会話を楽しみながら給食を食べたいかな? とちらりと思った。
だけど、このクラスに静香がいるとその夢は叶わないかな。なんて大袈裟だよね。
そんなことを考えながらわたしは、残りの一個の唐揚げはそのまま食べた。
うん、ジューシーで美味しい。カレーと一緒でもそのままでも美味しいな。
給食もみんなでわいわい食べるのも良いし一人で味わいながら食べるのも良いのだろうか。
それから牛乳もゴクゴク飲む。牛乳と唐揚げの相性も抜群だ。
もう何でもいい。好きなものを美味しく食べられるだけでわたしは幸せだ。
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