わたし雑草がぼうぼうと生えているおばあちゃんの家にお邪魔します!(猫と不思議な生き物が住みついています)

なかじまあゆこ

文字の大きさ
上 下
9 / 40
3 給食タイム

1

しおりを挟む

 午前中の授業が終わりキーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。お待ちねの給食の時間だ。

 やったー。

 今日の給食はカレーライス、唐揚げ、きな粉揚げパン、サラダに牛乳だった。

 ぐふふ、これこそわたしの大好きなメニューだ。

 ただ、美紀香ちゃんとクラスが離れてしまったので「美味しいね」と共に喜び合えないことが残念だ。

 それでもわたしの一番大好きなカレーライスと唐揚げなのだから嬉しくてヨダレが垂れそうになる。

 給食当番のクラスメイトが給食の白衣に身を包みカレーをお皿に盛りつけている。

 わたしは給食当番ではないのでトレーを持って並ぶ。カレーのスパイシーな香りがぷーんと漂ってきて食べる前から幸せだ。

 そして、わたしの順番がやってきた。カレーライスを受け取ろうとして顔を上げると、配膳係の男子と目が合った。

「おっ、食い意地の張ったことりがちゅんちゅんピヨピヨじゃないか」

「あ、ゲゲゲッ! 結太の列に並んでしまったよ」

 わたしが口を尖らせると、結太の奴は、

「ちゅんちゅんピヨピヨことりのカレーライスは小盛にしようかな~?」と意地悪なことを言う。

「そんな意地悪なこと言わないでよ」

 わたしは頬を盛大に膨らませた。

「あはは、わかったよ。じゃあ、特別大盛りにしてやるよ」

 結太はニッと笑った。

「やったね! 結太はいい奴だよ~」
「ふ~ん、大盛りにするといい奴に変わるんだね。大食いちゅんちゅんピヨピヨだな~」

「はい、大盛りカレーどうぞ~たくさん食べて大きくなれよ~ことり」

 結太はそう言いながらわたしのトレーに大盛りカレーライスをドーンと載せてくれた。それはとっても嬉しいのと同時に大きくなれよにムッとした。

「ふん、小柄で悪かったね。結太こそたくさん食べて大きくなるんだよ」

 せっかくお礼をいようと思ったのにさ。一言多いよ。

 でも、わたしは大盛りカレーライスに大満足だ。次は唐揚げだ。

 わくわくしながら今度は唐揚げの配膳台の列に並んだのだけど、顔を上げると給食当番の白衣に身を包んだら静香と目が合った。

 う、うげげっ! 思わず声を上げてしまいそうになった。

「あら、ことりちゃん」

 静香はそう言いながらわたしのお皿に唐揚げを盛りつけた。

「えっ!」
「ん? ことりちゃんどうしたの?」

 静香はきょとん顔で首を横に傾げる。わざとらしいよ。だって‥‥‥。

「どうしてわたしの唐揚げ二個しかないの? 三個だよね?」

「あら、間違えちゃった。でも、ことりちゃんのカレーライス大盛りだから二個でいいんじゃな~い」

 静香は口元に手を当ててうふふと笑う。

 わたしは笑う静香をキッと睨む。

「あ、そっか、ことりちゃんはチビだから大きくならなきゃなんだね~」

 静香は可愛い顔を歪めわたしのお皿に唐揚げをもう一個追加した。

 に、憎たらしいよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

オオカミ少女と呼ばないで

柳律斗
児童書・童話
「大神くんの頭、オオカミみたいな耳、生えてる……?」 その一言が、私をオオカミ少女にした。 空気を読むことが少し苦手なさくら。人気者の男子、大神くんと接点を持つようになって以降、クラスの女子に目をつけられてしまう。そんな中、あるできごとをきっかけに「空気の色」が見えるように―― 表紙画像はノーコピーライトガール様よりお借りしました。ありがとうございます。

秘密

阿波野治
児童書・童話
住友みのりは憂うつそうな顔をしている。心配した友人が事情を訊き出そうとすると、みのりはなぜか声を荒らげた。後ろの席からそれを見ていた香坂遥斗は、みのりが抱えている謎を知りたいと思い、彼女に近づこうとする。

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐️して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~

世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。 友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。 ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。 だが、彼らはまだ知らなかった。 ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。 敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。 果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか? 8月中、ほぼ毎日更新予定です。 (※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)

沖縄のシーサーとミケネコーンとわたしの楽しい冒険をどうぞ~

なかじまあゆこ
児童書・童話
友達がいることは素晴らしい! 異世界(怪獣界)から地球に落っこちてきたミケネコーンも人間もみんな友達だよ。 門柱の上に置かれていたシーサーの置物が目に入った。その時、猫の鳴き声が聞こえてきた。だけど、この生き物は白、茶色、黒の三色の毛色を持つ短毛のいわゆる三毛猫と同じ柄なんだけど、目なんて顔からはみ出すほど大きくて、お口も裂けるくらい大きい。 猫ではない不思議な生き物だった。 その生き物は「ミケネコーンですにゃん」と喋った。 シーサーとぶさかわもふもふ猫怪獣ミケネコーンと中学一年生のわたし夏花(なつか)とクラスメイトみっきーのちょっと不思議な元気になれる沖縄へテレポートと友情物語です。 ミケネコーンは怪獣界へ帰ることができるのかな。

鎌倉西小学校ミステリー倶楽部

澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】 https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230 【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】 市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。 学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。 案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。 ……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。 ※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。 ※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。 ※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。 ※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

処理中です...