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2 雑草がぼうぼうの家へようこそ!
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しおりを挟むわたしは三毛猫から目を逸らし慌てて立ち上がった。だって、猫が喋っているなんて怖すぎるもん。
これは怖いよ。家に帰ろう。ぼうぼうに生えている雑草もなんだか不気味に感じるよ。
うん、帰ろう。そう思いながらちらっと三毛猫に視線を向けた。
すると、三毛猫が五歳くらいの女の子に見えた。
え! えー! ウソでしょう。
「お姉ちゃんどうしたの? スイカ美味しいね」
三毛猫、いや、女の子はにっこり笑いながらスイカを食べている。
「う、うぎゃーーー! ね、猫のお化けだ~!」
わたしは悲鳴を上げた。わたしは腰を抜かしそうになりながら走り出した。
「あら、悲鳴が聞こえたみたいだけどどうしたの? お嬢ちゃん帰るの?」
縁側からおばあちゃんの声が聞こえてきた。
わたしは振り返らず「ごめんなさい。用事ができました」と言って駆け出した。
だって、振り返ると人間になった三毛猫がわたしを見ているような気がするから。
わたしは気がつくと家の前に立っていた。あまりにもびっくりしてどうやって帰ってきたのかもわからない。
ハァハァと息が切れている。おもいっきり走ったという証拠だ。
玄関のドアを開けて家に入る。
「おかえりなさい」とお母さんの声が聞こえてきた。
「ただいま」
お母さんはパートから帰ってきたんだ。良かったとほっとした。
この日は夕飯を食べ終えると布団にくるまり速攻寝た。
昨夜は早く寝たので早めに起きた。なんてことはなくて今日も早起き出来なかった。
二つ年上のお姉ちゃんが洗面台を占領してる。
「おはようお姉ちゃん。早く退いてよ」
「遅刻寸前だから急いでいるんだよ」
お姉ちゃんは振り向かず鏡を見たまま答える。今年中学生になったお姉ちゃんは制服に身を包んでいる。
まだまだ制服がブカブカでまったく似合っていない。だけど、昨年までランドセルを背負って登校していたのになんだかお姉ちゃんが遠くに行ってしまったように感じる。ちょっと寂しい。
そんなことを考えながら鏡の中のお姉ちゃんをぼんやり眺めていた。
「ん? 何? ことりちゃんどうかした?」
「中学生と小学生はなんか違うのかなって考えていた」
「まだ一年生だからあんまり変わらないけど、先輩後輩の上下関係と制服かな?」
お姉ちゃんは髪の毛をポニーテールに結わえ終え振り向いた。髪の毛には三毛猫のゴムはくっついてなくて地味な黒ゴムだった。
あ、三毛猫と言えばあの喋った三毛猫を思い出し身震する。
「先輩後輩か~」
「うん、小学生までは敬語なんて使わなかったのに中学生になると先輩に敬語使うんだよ。変な感じ~」
「中学生って面倒くさそうだね」
ああ、やっぱりわたしはまだ小学生でいたいかなと思った。
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