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おばさんと紫色の割烹着

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「うふふ、二人は息も合っているし本当に仲良しね」

  わたし達を見つめるおばさんのその目はとても穏やかで優しかった。

「そうですか?」、「そっかな~」とわたしときらりちゃんの声はまたまた重なってしまったではないか。

  そんなわたし達をおばさんは微笑ましげに見ていた。

「あの、森浜のおばさん、その紫色の割烹着は買ったんですか?」

  きらりちゃんは突然紫色の割烹着について聞くのだからちょっとびっくりしてしまった。

「あら、この紫色の割烹着ね」

  おばさんはニコニコ微笑みを浮かべ自身の着ている紫色の割烹着を眺めた。

「はい、こんな田舎の島にも売っているなんて珍しいなと思って」

「この島にはこんなハイカラな紫色の割烹着なんて売ってないわよ」

  おばさんは、そう言ってニコニコ笑っているのだけど、まさか、そんなことって無いよね。

  わたしの頭の中にある人の真顔が思い浮かんだ。けれど、そんなはずはないよねと、頭の中に浮かぶ真顔をパッパッと払いのけた。

  その時。


「ある人からプレゼントして頂いた割烹着なのよ」

  おばさんは目を細めうふふと笑った。

「ある人からですか?」

  紫色の割烹着をプレゼントしてくれる人がいるんだなと思いわたしは聞いた。

「そうなのよ。面白い方なんだけどね、紫色の割烹着を着ると幸せな気持ちがぶわぁーって溢れてくるんですよなんて言うのよ」

  おばさんはそう言いながら紫色を割烹着の裾を掴みくるくる回った。

「なんだか森浜のおばさんのほんわかしたキャラが変わった感じがするね」

「うん、そうだね」

  わたしときらりちゃんは、おばさんのまるで新しい服を買って自室の鏡の前で試着している時の少女みたいだと思えてくるような姿を見て言い合った。

  その時、「こんにちは~」と男性の声が聞こえてきた。

  この声は。
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