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七話目 お母さんとジーマーミ豆腐と沖縄ちゃんぽん

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「そうだ、きらりちゃん、夕飯を食べてると船が終わってしまうね」

「えっ!?  そうなんだ……でも、わたしおばぁの料理食べたいよ~」

  きらりちゃんはゴーヤをブンブン振り回しながら言った。

「う~ん、困ったね」

  顎に手を当ててわたしは考えた。

「ねえ、愛可、わたしおばぁの家に泊まってもいいかな?」

「えっ!  きらりちゃん泊まるの?  でも、着替えも持ってきてないし斎川さんはなんて言うかな?」

「お母さんなんて屁のカッパだよ~一日くらい着替えなくても大丈夫だよ」

  きらりちゃんはそう言ってわたしの顔をじっと見た。

「……でもね」

  斎川さんに何も言ってないのに困ってしまうなと思いわたしはうーんと唸ってしまった。

  すると、きらりちゃんがわたしの顔を覗き込み、「ねっ、いいでしょ。わたしも夕飯一緒に食べたいよ」と上目遣いで見てくる。

「……でもね、斎川さんは怒らないかな?」

「お母さんは大丈夫だってば」

「人の家に一人でお泊まりしたことあるの?」

  わたしが聞くと、

「おじいちゃんの家しかないよ」ときらりちゃんは答えるではないか。

  その時、おばぁが台所から居間に戻ってきて、「きらりちゃんのお母さんに聞いてみたら」と言った。

「うん、聞いてみま~す。わ~い!  おばぁのお家にお泊まり会だ~」

  きらりちゃんはぴょんぴょん飛び跳ねそれから、鞄をごそごそしてキッズ携帯を取り出した。

「きらりちゃん楽しそうだね」

「そうだね。あんなに喜んでもらえてなんだか嬉しいよ」

  わたしとおばぁは、キッズ携帯を耳に当て電話をしているきらりちゃんを眺めそして、顔を見合わせて笑い合った。

「ねえ、おばぁに愛可~お泊まりしてオッケーってお母さんが言ってくれたよ」

  きらりちゃんはこちらに振り向き満面の笑みを浮かべた。

「きらりちゃん、良かったね」

「良かった、良かった」

  わたしとおばぁもホッとして笑顔を浮かべた。

  その時、ピンポーン、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。

   これは、お母さんがやって来たのかなと思いわたしの心臓がピクンと飛び跳ねた。

  そして、横目でおばぁを見るとおばぁもなんだか落ち着かない様子だった。

「おばぁ、チャイムが鳴っているよ」


  ピンポーン、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴り続ける。

「あ、そうだね。誰かな?」

  おばぁはそう言いながらよっこらしょと立ち上がり玄関へ向かった。きっと、おばぁもお母さんが来たと思っているのだろう。

「愛可のお母さんが来たんじゃない?」

   きらりちゃんはイッシッシと面白そうに笑う。

「……お母さんかもね。きらりちゃんってばなんだか楽しそうだね」

  わたしは、面白がっているきらりちゃんの顔をじっと見て言った。

「だって、わくわくしちゃうよ」

「あっそう……」

   と、その時、「まあ、久しぶりね」とおばぁの声が玄関の方から聞こえてきた。

  お母さんが来たんだ。わたしの胸はドキドキしてきた。きらりちゃんはウッシッシと笑いながらわたしの肩をポンポンと叩いた。

  きらりちゃんの笑い方がなんだか牛みたいになっていてわたしはクスッと笑ってしまった。
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