70 / 111
マンゴー
しおりを挟む
ゴーヤチャンプルーをおかわりしてたらふく食べた。お腹が緑色に染まってしまいそうだ。なんて考えるとちょっと可笑しくなった。
「お腹がいっぱいになってわたしは満足だ~」
きらりちゃんはお腹をポンポンとたぬきみたいに叩いている。
「あはは、きらりちゃんってばたぬきみたいだね」
「そうかな? まあ、たぬきは可愛いから良いけどね」
「うん、ぽんぽこりんりんきらりちゃんだね」
「変な名前を付けないでくれるかな」
なんて、わたしときらりちゃんがどうでもいいような会話をしていると、
「さあ、デザートのマンゴーだよ。食べるよね」
おばぁが、お盆にマンゴーを載せて台所から戻ってきた。
「食べるよ。わたしマンゴー好きだよ」
「は~い、わたしも食べます。マンゴー大好き」
わたし達はにっこりと笑った。ゴーヤチャンプルーでお腹はパンパンだけど、デザートのマンゴーは別腹だもんね。
「わっ、可愛らしいね」
目の前置かれたマンゴーに視線を向けてきらりちゃんが言った。
「これは、マンゴーの花切りよ。食べやすいし見かけも可愛いでしょ」
「うん、そうですね。さあ、食べるぞ~」
「ふふっ、召し上がれ」
「美味しそうだね。いただきま~す」
わたしもフォークを握り笑顔になった。
「あの花切りって何ですか?」
きらりちゃんがマンゴーにフォークを刺しながら聞いた。
「花が咲いたような切り方だから花切りと言うんだよ。マンゴーは大きいからかぶりつくのも大変だからね」
目の前に置かれているマンゴーは果肉がサイコロ状にカットされていて、花のように見えて可愛らしいのだった。
「へぇ~そうですね。可愛い。まあ、わたしはがぶっとも食べられるけどね」
きらりちゃんはニヒヒと笑いフォークで刺したマンゴーを食べた。
わたしもうふふと笑いフォークで刺したマンゴーを口に運んだ。
オレンジ色のマンゴーは柔らかくてジューシーで美味しかった。これこそ沖縄のフルーツだという感じだ。
マンゴーの甘い香りに包まれわたしの頬は緩んだ。うん、美味しいフルーツを食べると幸せな気持ちになる。
「美味しかった~ごちそうさまでした」
わたしは、満足してフォークをお皿の上に置いた。
「愛可ちゃんのその笑顔を見ることができて嬉しいよ」
「わたしもおばぁの料理と元気なおばぁの笑顔を見ることができて嬉しいよ」
わたしとおばぁは顔を見合わせ笑い合う。かなり離れていたおばぁとの距離がぐっと近づいた気がした。
十年以上前の懐かしくて優しい風がふわりとわたしの周りにくるくると吹いてきたように感じられた。
おばぁにまた会えて良かった。
「お腹がいっぱいになってわたしは満足だ~」
きらりちゃんはお腹をポンポンとたぬきみたいに叩いている。
「あはは、きらりちゃんってばたぬきみたいだね」
「そうかな? まあ、たぬきは可愛いから良いけどね」
「うん、ぽんぽこりんりんきらりちゃんだね」
「変な名前を付けないでくれるかな」
なんて、わたしときらりちゃんがどうでもいいような会話をしていると、
「さあ、デザートのマンゴーだよ。食べるよね」
おばぁが、お盆にマンゴーを載せて台所から戻ってきた。
「食べるよ。わたしマンゴー好きだよ」
「は~い、わたしも食べます。マンゴー大好き」
わたし達はにっこりと笑った。ゴーヤチャンプルーでお腹はパンパンだけど、デザートのマンゴーは別腹だもんね。
「わっ、可愛らしいね」
目の前置かれたマンゴーに視線を向けてきらりちゃんが言った。
「これは、マンゴーの花切りよ。食べやすいし見かけも可愛いでしょ」
「うん、そうですね。さあ、食べるぞ~」
「ふふっ、召し上がれ」
「美味しそうだね。いただきま~す」
わたしもフォークを握り笑顔になった。
「あの花切りって何ですか?」
きらりちゃんがマンゴーにフォークを刺しながら聞いた。
「花が咲いたような切り方だから花切りと言うんだよ。マンゴーは大きいからかぶりつくのも大変だからね」
目の前に置かれているマンゴーは果肉がサイコロ状にカットされていて、花のように見えて可愛らしいのだった。
「へぇ~そうですね。可愛い。まあ、わたしはがぶっとも食べられるけどね」
きらりちゃんはニヒヒと笑いフォークで刺したマンゴーを食べた。
わたしもうふふと笑いフォークで刺したマンゴーを口に運んだ。
オレンジ色のマンゴーは柔らかくてジューシーで美味しかった。これこそ沖縄のフルーツだという感じだ。
マンゴーの甘い香りに包まれわたしの頬は緩んだ。うん、美味しいフルーツを食べると幸せな気持ちになる。
「美味しかった~ごちそうさまでした」
わたしは、満足してフォークをお皿の上に置いた。
「愛可ちゃんのその笑顔を見ることができて嬉しいよ」
「わたしもおばぁの料理と元気なおばぁの笑顔を見ることができて嬉しいよ」
わたしとおばぁは顔を見合わせ笑い合う。かなり離れていたおばぁとの距離がぐっと近づいた気がした。
十年以上前の懐かしくて優しい風がふわりとわたしの周りにくるくると吹いてきたように感じられた。
おばぁにまた会えて良かった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
降霊バーで、いつもの一杯を。
及川 輝新
ライト文芸
主人公の輪立杏子(わだちきょうこ)は仕事を辞めたその日、自宅への帰り道にあるバー・『Re:union』に立ち寄った。
お酒の入った勢いのままに、亡くなった父への複雑な想いをマスターに語る杏子。
話を聞き終えたマスターの葬馬(そうま)は、杏子にこんな提案をする。
「僕の降霊術で、お父様と一緒にお酒を飲みませんか?」
葬馬は、亡くなった人物が好きだったお酒を飲むと、その魂を一時的に体に宿すことができる降霊術の使い手だったのだ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/light_novel.png?id=7e51c3283133586a6f12)
会社をクビになった私。郷土料理屋に就職してみたら、イケメン店主とバイトすることになりました。しかもその彼はーー
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ライト文芸
主人公の佐田結衣は、おっちょこちょいな元OL。とある事情で就活をしていたが、大失敗。
どん底の気持ちで上野御徒町を歩いていたとき、なんとなく懐かしい雰囲気をした郷土料理屋を見つける。
もともと、飲食店で働く夢のあった結衣。
お店で起きたひょんな事件から、郷土料理でバイトをすることになってーー。
日本の郷土料理に特化したライトミステリー! イケメン、でもヘンテコな探偵とともに謎解きはいかが?
恋愛要素もたっぷりです。
10万字程度完結。すでに書き上げています。
一会のためによきことを
平蕾知初雪
ライト文芸
――8月、僕はずっと大好きだった〇〇ちゃんのお葬式に参列しました。
初恋の相手「〇〇ちゃん」が亡くなってからの約1年を書き連ねました。〇〇ちゃんにまつわる思い出と、最近知ったこと、もやもやすること、そして遺された僕・かめぱんと〇〇ちゃんが大好きだった人々のその後など。
〇〇ちゃんの死をきっかけに変わった人間関係、今〇〇ちゃんに想うこと、そして大切な人の死にどう向き合うべきか迷いまくる様子まで、恥ずかしいことも情けないことも全部書いて残しました。
※今作はエッセイブログ風フィクションとなります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる