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おばぁとゴーヤチャンプルー
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「さて、わたしはゴーヤチャンプルーを作ってくるね」
おばぁはそう言いながらよっこらしょと立ち上がった。
「おばぁのゴーヤチャンプルー楽しみだよ」
「わたしもゴーヤチャンプルーとっても楽しみで~す!」
わたしときらりちゃんはにっこりと笑った。
「うふふ、それはありがとうね。二人は庭でも見てゆっくり寛いでね」
おばぁは、「じゃあ、ゴーヤチャンプルー楽しみにしていてね」と言って部屋の中に入った。
「愛可のおばぁは優しい人だね」
きらりちゃんが、パタパタと台所に向かうおばぁの後ろ姿に視線を向けながら言った。
「うん、自分のおばぁであれなんだけど、本当に優しい人だと思うよ」
以前より少し年を取ったなと思うおばぁの後ろ姿をわたしは眺めた。
おばぁが元気なうちに会いに来て良かったな。これからもおばぁ元気でいてね。わたしは、おばぁの背中に心の中で囁いた。
わたしときらりちゃんはしばらくの間、島に吹く心地よい風を感じながら縁側で寛いだ。海から吹いてくる風がとても気持ち良かった。
「そうだ、おばぁのゴーヤチャンプルー作りに参加しようか」
「わっ、それは良いかも~」
きらりちゃんはわたしの提案に乗った。
わたし達は靴を脱ぎ縁側から部屋に上がった。そして、台所に行くとおばぁが木のまな板でゴーヤを切っているところだった。
台所にはお鍋などがたくさん並べられていた。懐かしいおばぁの空間がここにはあった。幼いあの頃もわたしは、おばぁの料理をする後ろ姿を眺めていたなと思い出した。
懐かしいなと思いながら「おばぁ、手伝いに来たよ」とわたしは、おばぁの懐かしいその後ろ姿に声をかけた。
おばぁは振り返り「あら、お手伝いをしてくれるのね」と言って笑った。
「うん、手伝うよ」
「は~い! わたしも手伝いま~す」
「じゃあ、一人は卵を割ってくれるかい。もう一人は食器棚からお皿を出してくれるかい」
「は~い! わたしが卵を割りま~す」
きらりちゃんは嬉しそうに手を上げた。
「じゃあ、わたしは三人分の食器を出すね」
わたしは、そう言いながら食器棚に向かった。
この食器棚はわたしが子供の頃から使っていた。なんだか懐かしくて幼いあの日にタイムスリップしたような感覚になる。
南国風のお皿を食器棚から三皿取り出した。
その時。
「あ~、た、大変だ~卵が~」
きらりちゃんの大きな叫び声が聞こえてきた。どうしたのかなと振り返ると、床に卵を落とし割ってしまったようだ。
「あらあら、きらりちゃん! 卵を床に落としてしまったのね。気にしないでね大丈夫だよ」
落っことして割れたとろーりとした卵の黄身をじっと眺めているきらりちゃんにおばぁは優しく言った。
「ごめんなさい。わたし料理ってしないから……」
「わたしだって卵なんて何回も落としているよ。気にしない、気にしない」
おばぁはそう言って、あははと豪快に笑った。
「そっか、料理になれているおばぁでも落としたりするんですね」
「そうよ、手からするんと滑り落ちたりなんてよくあるわよ。さあ、床を拭きましょうね。塩を生卵にかけて数分置くと本当は良いらしいけど踏んでもあれだしサッと拭くわよ」
おばぁは、棚からキッチンペーパーを取り出し床を拭いた。
きらりちゃんはそんなおばぁの姿をじっと眺めていた。
「さあ、きらりちゃん。ゴーヤチャンプルーを作るよ」
おばぁは生卵で汚れたキッチンペーパーをゴミ箱に捨て手を洗いながら言った。
「は~い、ゴーヤチャンプルー楽しみで~す」 きらりちゃんは元気よく答えた。
「じゃあ、きらりちゃん。もう一度卵を割るかい?」
「は~い、今度は気をつけて割りま~す」
「大丈夫だよ。焦らないでゆっくり割るんだよ」
「ニヒヒッ! 了解です」
そんな二人のやり取りを眺めていると微笑ましくて頬が緩んだ。なんだか幼い日のわたしとおばぁの姿を見ているような不思議な感覚になる。
「やった~割れたよ。成功だよ~」
卵を割ることに成功したきらりちゃんはバンザイをした。
「ほらね、ゆっくり焦らないで卵を割ると上手く割れるよね」
おばぁはきらりちゃんの頭をぽんぽんと撫でた。それを見てわたしも小学生に戻りたいななんて思ってしまったのだった。
「ふふん! なんだか楽しくなってきたよ」
きらりちゃんは嬉しそうに卵を混ぜている。
「楽しいかい。それは良かったね。では、そろそろ炒めるよ」
おばぁは、熱したフライパンにサラダ油を引いてゴーヤを入れた。すると、ジュージューと良い音がした。
それからポークランチョンミートを入れた。わたしもおばぁに近づき料理をするおばぁを眺めた。
「さあ、島豆腐を入れるよ~」
おばぁは大きく切った島豆腐を入れた。それから、粉末だし等の調味料を入れ炒めた。島豆腐がきつね色になると、
「では、きらりちゃん、卵を入れてください!」
「あ、は~い! わたしの出番だ~」
きらりちゃんはぴょんぴょんと飛び跳ねながら卵を入れた。
「うふふ、きらりちゃん。良くできました」
おばぁは、笑いながらきらりちゃんが入れた卵と具材をかき混ぜた。
「さあ、出来上がり」
おばぁは火を止めにこやかな笑みを浮かべた。
おばぁはそう言いながらよっこらしょと立ち上がった。
「おばぁのゴーヤチャンプルー楽しみだよ」
「わたしもゴーヤチャンプルーとっても楽しみで~す!」
わたしときらりちゃんはにっこりと笑った。
「うふふ、それはありがとうね。二人は庭でも見てゆっくり寛いでね」
おばぁは、「じゃあ、ゴーヤチャンプルー楽しみにしていてね」と言って部屋の中に入った。
「愛可のおばぁは優しい人だね」
きらりちゃんが、パタパタと台所に向かうおばぁの後ろ姿に視線を向けながら言った。
「うん、自分のおばぁであれなんだけど、本当に優しい人だと思うよ」
以前より少し年を取ったなと思うおばぁの後ろ姿をわたしは眺めた。
おばぁが元気なうちに会いに来て良かったな。これからもおばぁ元気でいてね。わたしは、おばぁの背中に心の中で囁いた。
わたしときらりちゃんはしばらくの間、島に吹く心地よい風を感じながら縁側で寛いだ。海から吹いてくる風がとても気持ち良かった。
「そうだ、おばぁのゴーヤチャンプルー作りに参加しようか」
「わっ、それは良いかも~」
きらりちゃんはわたしの提案に乗った。
わたし達は靴を脱ぎ縁側から部屋に上がった。そして、台所に行くとおばぁが木のまな板でゴーヤを切っているところだった。
台所にはお鍋などがたくさん並べられていた。懐かしいおばぁの空間がここにはあった。幼いあの頃もわたしは、おばぁの料理をする後ろ姿を眺めていたなと思い出した。
懐かしいなと思いながら「おばぁ、手伝いに来たよ」とわたしは、おばぁの懐かしいその後ろ姿に声をかけた。
おばぁは振り返り「あら、お手伝いをしてくれるのね」と言って笑った。
「うん、手伝うよ」
「は~い! わたしも手伝いま~す」
「じゃあ、一人は卵を割ってくれるかい。もう一人は食器棚からお皿を出してくれるかい」
「は~い! わたしが卵を割りま~す」
きらりちゃんは嬉しそうに手を上げた。
「じゃあ、わたしは三人分の食器を出すね」
わたしは、そう言いながら食器棚に向かった。
この食器棚はわたしが子供の頃から使っていた。なんだか懐かしくて幼いあの日にタイムスリップしたような感覚になる。
南国風のお皿を食器棚から三皿取り出した。
その時。
「あ~、た、大変だ~卵が~」
きらりちゃんの大きな叫び声が聞こえてきた。どうしたのかなと振り返ると、床に卵を落とし割ってしまったようだ。
「あらあら、きらりちゃん! 卵を床に落としてしまったのね。気にしないでね大丈夫だよ」
落っことして割れたとろーりとした卵の黄身をじっと眺めているきらりちゃんにおばぁは優しく言った。
「ごめんなさい。わたし料理ってしないから……」
「わたしだって卵なんて何回も落としているよ。気にしない、気にしない」
おばぁはそう言って、あははと豪快に笑った。
「そっか、料理になれているおばぁでも落としたりするんですね」
「そうよ、手からするんと滑り落ちたりなんてよくあるわよ。さあ、床を拭きましょうね。塩を生卵にかけて数分置くと本当は良いらしいけど踏んでもあれだしサッと拭くわよ」
おばぁは、棚からキッチンペーパーを取り出し床を拭いた。
きらりちゃんはそんなおばぁの姿をじっと眺めていた。
「さあ、きらりちゃん。ゴーヤチャンプルーを作るよ」
おばぁは生卵で汚れたキッチンペーパーをゴミ箱に捨て手を洗いながら言った。
「は~い、ゴーヤチャンプルー楽しみで~す」 きらりちゃんは元気よく答えた。
「じゃあ、きらりちゃん。もう一度卵を割るかい?」
「は~い、今度は気をつけて割りま~す」
「大丈夫だよ。焦らないでゆっくり割るんだよ」
「ニヒヒッ! 了解です」
そんな二人のやり取りを眺めていると微笑ましくて頬が緩んだ。なんだか幼い日のわたしとおばぁの姿を見ているような不思議な感覚になる。
「やった~割れたよ。成功だよ~」
卵を割ることに成功したきらりちゃんはバンザイをした。
「ほらね、ゆっくり焦らないで卵を割ると上手く割れるよね」
おばぁはきらりちゃんの頭をぽんぽんと撫でた。それを見てわたしも小学生に戻りたいななんて思ってしまったのだった。
「ふふん! なんだか楽しくなってきたよ」
きらりちゃんは嬉しそうに卵を混ぜている。
「楽しいかい。それは良かったね。では、そろそろ炒めるよ」
おばぁは、熱したフライパンにサラダ油を引いてゴーヤを入れた。すると、ジュージューと良い音がした。
それからポークランチョンミートを入れた。わたしもおばぁに近づき料理をするおばぁを眺めた。
「さあ、島豆腐を入れるよ~」
おばぁは大きく切った島豆腐を入れた。それから、粉末だし等の調味料を入れ炒めた。島豆腐がきつね色になると、
「では、きらりちゃん、卵を入れてください!」
「あ、は~い! わたしの出番だ~」
きらりちゃんはぴょんぴょんと飛び跳ねながら卵を入れた。
「うふふ、きらりちゃん。良くできました」
おばぁは、笑いながらきらりちゃんが入れた卵と具材をかき混ぜた。
「さあ、出来上がり」
おばぁは火を止めにこやかな笑みを浮かべた。
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