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さあ、船に乗船だよ
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わたしは、乗船券売り場でクイーンざまみの乗船券を購入し、それから売店でお弁当を買った。
「わ~い、楽しい、船旅のお時間だね」
きらりちゃんはわたしが買ってあげたお弁当をにんまりと眺めにっこりと笑った。
「きらりちゃんってば楽しそうだね」
「だって、お母さんが食堂の仕事で忙しくて船に乗る機会なんてあんまりないもん。何年ぶりなんだろう?」
「あ、斎川さんはお仕事で忙しいもんね」
わたしは、ニコニコと笑うきらりちゃんの横顔をちらりと眺めきっと寂しい思いをしていたんだろなと思った。
「うん? 愛可どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ。船に乗るのが楽しみだよねもうワクワクしちゃうよ」
「愛可って子供みたいだね~」
きらりちゃんはそう言ってクスクスと笑った。
わたしときらりちゃんはお弁当を片手に泊港と座間味島と阿嘉島を結ぶ高速船に乗船した。
「さあ、行こう!」
「うん、お弁当が楽しみだよ」
「ちょっと、きらりちゃんってば楽しみはお弁当なの?」
わたしは、お弁当の入っている袋を振り回すきらりちゃんに言った。
「えへへ、お弁当と愛可のおばぁと綺麗な海が楽しみだよ」
きらりちゃんは頭を掻きながらえへへと笑った。
なんてね。わたしもお弁当が楽しみだったりするのだけど、愛可って子供みたいだねと言われそうなので黙っていよう。
こうして、わたしときらりちゃんの船旅が始まったのでした。
おばぁ、元気にしているかな? 突然訪ねるとびっくりするかな。そんなこと考えながらおばぁの住んでいる座間味島へと向かうのだった。
「うん、お弁当美味しいな。船の中で食べるお弁当は最高だね」
きらりちゃんはランチョンミートを頬張りながら言った。
「うん、そうだね。なんだか小学生の頃を思い出すな~」
わたしは、ご飯の上にゴーヤがぎっしりなお弁当を食べながらうふふと笑った。
「ねえ、愛可のおばぁはどんな人なの?」
「えっ? わたしのおばぁ。そうだね、優しかったよ。ぽかぽかの太陽みたいな笑顔が印象的だったな」
わたしは、きらりちゃんに聞かれ懐かしいおばぁの太陽みたいにキラキラと輝く笑顔を思い出した。
「そうなんだね。愛可のおばぁに会うのが楽しみだよ」
きらりちゃんはにこにこと笑いゴーヤを口に運び食べた。
ずっと、おばぁに会いたかったのにどうして会いに行かなかったのかなと思った。
だけど、今、わたしは船に乗り座間味島ヘと向かっているのだから良いのだ。これも美川さんの幸せの運び屋のおかげかな。
ゴーヤを噛みしめるとほろ苦く感じた。
座間味島に到着しわたしときらりちゃんは下船した。
「わ~い、わ~い、ここが座間味島なんだね」
きらりちゃんはドタバタと駆け出した。
「ちょっと、きらりちゃん走ると危ないよ」
偉そうにしているけれどきらりちゃんはやっぱり可愛らしいなと思うのと同時になんだかわたしってきらりちゃんの保護者みたいになっているではないかと思うと可笑しくなる。
「えへへ、分かっているよ」
きらりちゃんはこちらに振り返りニッと笑った。
「そうならいいんだけどね」
「ねえ、愛可。この海の色がケラマブルーって言うんだね。那覇の海と全然違うね」
きらりちゃんは港の海をじっと眺めている。わたしもきらりちゃんの隣に立ち美しく輝く青い海を眺めた。
座間味島の風がサラサラと吹き、ああ、おばぁの住んでいる島に来たんだなと改めて感じた。
「わ~い、楽しい、船旅のお時間だね」
きらりちゃんはわたしが買ってあげたお弁当をにんまりと眺めにっこりと笑った。
「きらりちゃんってば楽しそうだね」
「だって、お母さんが食堂の仕事で忙しくて船に乗る機会なんてあんまりないもん。何年ぶりなんだろう?」
「あ、斎川さんはお仕事で忙しいもんね」
わたしは、ニコニコと笑うきらりちゃんの横顔をちらりと眺めきっと寂しい思いをしていたんだろなと思った。
「うん? 愛可どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ。船に乗るのが楽しみだよねもうワクワクしちゃうよ」
「愛可って子供みたいだね~」
きらりちゃんはそう言ってクスクスと笑った。
わたしときらりちゃんはお弁当を片手に泊港と座間味島と阿嘉島を結ぶ高速船に乗船した。
「さあ、行こう!」
「うん、お弁当が楽しみだよ」
「ちょっと、きらりちゃんってば楽しみはお弁当なの?」
わたしは、お弁当の入っている袋を振り回すきらりちゃんに言った。
「えへへ、お弁当と愛可のおばぁと綺麗な海が楽しみだよ」
きらりちゃんは頭を掻きながらえへへと笑った。
なんてね。わたしもお弁当が楽しみだったりするのだけど、愛可って子供みたいだねと言われそうなので黙っていよう。
こうして、わたしときらりちゃんの船旅が始まったのでした。
おばぁ、元気にしているかな? 突然訪ねるとびっくりするかな。そんなこと考えながらおばぁの住んでいる座間味島へと向かうのだった。
「うん、お弁当美味しいな。船の中で食べるお弁当は最高だね」
きらりちゃんはランチョンミートを頬張りながら言った。
「うん、そうだね。なんだか小学生の頃を思い出すな~」
わたしは、ご飯の上にゴーヤがぎっしりなお弁当を食べながらうふふと笑った。
「ねえ、愛可のおばぁはどんな人なの?」
「えっ? わたしのおばぁ。そうだね、優しかったよ。ぽかぽかの太陽みたいな笑顔が印象的だったな」
わたしは、きらりちゃんに聞かれ懐かしいおばぁの太陽みたいにキラキラと輝く笑顔を思い出した。
「そうなんだね。愛可のおばぁに会うのが楽しみだよ」
きらりちゃんはにこにこと笑いゴーヤを口に運び食べた。
ずっと、おばぁに会いたかったのにどうして会いに行かなかったのかなと思った。
だけど、今、わたしは船に乗り座間味島ヘと向かっているのだから良いのだ。これも美川さんの幸せの運び屋のおかげかな。
ゴーヤを噛みしめるとほろ苦く感じた。
座間味島に到着しわたしときらりちゃんは下船した。
「わ~い、わ~い、ここが座間味島なんだね」
きらりちゃんはドタバタと駆け出した。
「ちょっと、きらりちゃん走ると危ないよ」
偉そうにしているけれどきらりちゃんはやっぱり可愛らしいなと思うのと同時になんだかわたしってきらりちゃんの保護者みたいになっているではないかと思うと可笑しくなる。
「えへへ、分かっているよ」
きらりちゃんはこちらに振り返りニッと笑った。
「そうならいいんだけどね」
「ねえ、愛可。この海の色がケラマブルーって言うんだね。那覇の海と全然違うね」
きらりちゃんは港の海をじっと眺めている。わたしもきらりちゃんの隣に立ち美しく輝く青い海を眺めた。
座間味島の風がサラサラと吹き、ああ、おばぁの住んでいる島に来たんだなと改めて感じた。
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