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おばぁは元気になりました
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「富佐ちゃんがやる気を取り戻してわたしも嬉しいよ。最近の富佐ちゃんはなんだか老人ぽくなっていたからね」
ほのかおばぁはそう言ってニッと笑った。
「ほのかちゃん、老人ぽくなっていたってそれはちょっと酷いさね~」
おばぁは唇を尖らせている。
「あはは、だって、本当のことだからさね。だけど、今の富佐ちゃんはイキイキしているよ。若い頃の富佐ちゃんに戻ったみたいさね」
「それはありがとう。ちんすこうの作り方をみなさんに教えていたらなんだかやる気がメキメキ湧いてきたんだよ」
おばぁは紫色の割烹着の袖を捲り、「あと百年頑張ろうかな」と言って舌を出した。
「あはは、富佐ちゃん、あと百年頑張ると妖怪になるさね」
ほのかおばぁがそう言うと参加者のみんなも笑った。
「妖怪にでもなってやるさね!」
おばぁの笑顔は太陽のようにキラキラと輝いていた。
「みなさん、今日はありがとう。これ、お土産さね」
おばぁがちんすこう作りの参加者のみんなに駄菓子を詰め合わせた紙袋を配っている。
「わ~い、おばぁ、ありがとう」
有利ちゃんが嬉しそうに紙袋を受け取る。
「わ~い、お菓子だ。お菓子だぞ~」
丸久君は紙袋を覗いたかと思うと手を突っ込みうまい棒を取り出しパクパクと食べた。
「ちょっと、丸久食べちゃダメだよ~」
「だって、お菓子なんだぞ。もらったら食べるよ」
丸久君は有利ちゃんの注意なんて気にもせず次々とお菓子を食べた。
「あはは、丸久君。良いさね。本当はお家に帰ってからだけど今日は特別に食べても良いぞ」
おばぁは丸久君の頭を撫でそれから有利ちゃんに微笑みかけた。
「……特別にだって」
有利ちゃんはそう言ったかと思うと紙袋からうまい棒を取り出しパクパクと食べ始めた。しっかり者の有利ちゃんもやっぱり小学生なんだなと思うと微笑ましく感じられた。
「おばぁ、今日は楽しかったよ。小学生時代を思い出したよ。懐かしくてそれからあの頃は幸せだったな~って思った。また来るね」
香さんは駄菓子入りの紙袋を受け取りにっこりと笑った。
「香ちゃん。小学生時代も幸せだったと思うけど香ちゃんは若いんだからまだまだこれからさね。おばぁなんてこんな年寄りだけど夢を見つけたよ」
おばぁは胸を張りニコニコと笑った。
「そっか、そうだよね。わたしは、まだ二十歳だもんね。おばぁ、夢を見つけたの? 凄いね。わたしおばぁに負けないように生きなきゃね」
「香ちゃん、そうだよ。人生は辛いことも悲しいこともあるけれどやっぱり生きていると楽しいこともあるさね。それが今日だよ」
おばぁはにっこり笑い香さんの顔を見てそれから視線をわたし達の方に向けた。
「ありがとう。ちんすこう作り体験を開催できて本当に良かったよ。これからこの駄菓子屋を経営しながら若い人達にお菓子作りを教えたいなという夢ができたよ」
そう言ったおばぁの笑顔はとても若々しく見えた。夢を叶えることに年齢なんて関係ないとそう思わせるような輝いた笑顔だった。
「こちらこそありがとうございます。おばぁの太陽のようにキラキラと輝く笑顔を見ることができて良かったです。わたしも頑張らなきゃなと思いました」
「うふふ、愛可さん、ありがとう。おばぁはやる気満々になってきたさね!」
おばぁはうふふと笑い紫色の割烹着の袖を捲った。
「おばぁ、紫色の割烹着が似合っていますよ。これからもその割烹着を着て元気に頑張ってくださいね」
美川さんが胸の前で拳を握る。
「あはは、この割烹着も大切にするさね。ありがとう美川さん。割烹着を着る度におばぁは元気になれるかもさね」
おばぁは満面の笑みを浮かべた。
キラキラ輝くおばぁの笑顔と笑顔はぎこちないけれどきっと心の中は笑っているであろう美川さんを眺めていると元気になれた。
今日は幸せが溢れた日なのだ。
そして、「ほのかちゃんもありがとうさね」と言って、おばぁがほのかおばぁに駄菓子入りの紙袋を渡した。
「こちらこそありがとう。わたしもなんだか若返った気分になったよ」
「二人であと百年生きて妖怪になろうよ」
「妖怪にか……それも良いかもさね」
ほのかおばぁはおばぁから駄菓子入りの紙袋を受け取りワハハと豪快に笑った。
そんなおばぁ達のやり取りを眺めていると微笑ましい気持ちになった。わたしもいつかおばぁになった時に一緒に笑い合える友達がいるといいなと思った。
そんなことを考えていると、
「あ~ 間に合わなかった~」と言いながら栗さんが店に入ってきた。
「あら、栗ちゃん今頃来たのかい?」
「うん、ちょっと仕事が入ってしまってね」
「そうかい。それなら仕方がないね」
「うん、今度参加させてね。あ、美川さんに幸川さんとそれからきらりちゃんこんにちは」
栗さんはわたし達にそう言ってニコニコと微笑みかけた。
わたし達は「こんにちは~」と挨拶をした。
栗さんはほのかおばぁとにこやかに話をしているおばぁをちらりと見て、それからわたし達に視線を向けた。
「うちのおばぁを元気にして頂きありがとうございます」
栗さんはにっこりと笑いぺこりと頭を下げた。
「いえいえ、おばぁは自分自身の夢を思い出したんですよ。俺達がおばぁの背中を押せたのであれば嬉しいですよ」
美川さんはそう言って栗さんの顔を見てそれからわたしの顔に視線を移し、「ねっ、愛可さん」と言った。
「はい、そうですよ。おばぁ自身の好きなことを思い出したんですよ」
わたしは、美川さんと栗さんの顔を交互に見てニコニコと笑った。
「うふふ、ありがとうございます。美川さんに頼んで良かったですよ。そして、優秀と噂の幸川がいらっしゃるんですもんね!」
「いえいえ、どういたしまして」
ちょっと待ってくださいよ。話が見えませんがどういうことなのでしょうか……。
「あれ? 愛可さんどうかしましたか?」
美川さんはそう言って首を傾げているのだけど首を傾げたいのはわたしの方ではないか。
「二人はお知り合いだったんですか?」
わたしがそう聞くと、
「わたしが幸せの運び屋さんにおばぁを元気にしてくださいと頼んだんですよ。幸川さんは美川さんから聞いていなかったんですね」と栗さんが言った。
「……そうだったんですか? 知らなかったですよ」
「あらあらそうなんですね」
栗さんは口元に手を当ててうふふと笑った。
ほのかおばぁはそう言ってニッと笑った。
「ほのかちゃん、老人ぽくなっていたってそれはちょっと酷いさね~」
おばぁは唇を尖らせている。
「あはは、だって、本当のことだからさね。だけど、今の富佐ちゃんはイキイキしているよ。若い頃の富佐ちゃんに戻ったみたいさね」
「それはありがとう。ちんすこうの作り方をみなさんに教えていたらなんだかやる気がメキメキ湧いてきたんだよ」
おばぁは紫色の割烹着の袖を捲り、「あと百年頑張ろうかな」と言って舌を出した。
「あはは、富佐ちゃん、あと百年頑張ると妖怪になるさね」
ほのかおばぁがそう言うと参加者のみんなも笑った。
「妖怪にでもなってやるさね!」
おばぁの笑顔は太陽のようにキラキラと輝いていた。
「みなさん、今日はありがとう。これ、お土産さね」
おばぁがちんすこう作りの参加者のみんなに駄菓子を詰め合わせた紙袋を配っている。
「わ~い、おばぁ、ありがとう」
有利ちゃんが嬉しそうに紙袋を受け取る。
「わ~い、お菓子だ。お菓子だぞ~」
丸久君は紙袋を覗いたかと思うと手を突っ込みうまい棒を取り出しパクパクと食べた。
「ちょっと、丸久食べちゃダメだよ~」
「だって、お菓子なんだぞ。もらったら食べるよ」
丸久君は有利ちゃんの注意なんて気にもせず次々とお菓子を食べた。
「あはは、丸久君。良いさね。本当はお家に帰ってからだけど今日は特別に食べても良いぞ」
おばぁは丸久君の頭を撫でそれから有利ちゃんに微笑みかけた。
「……特別にだって」
有利ちゃんはそう言ったかと思うと紙袋からうまい棒を取り出しパクパクと食べ始めた。しっかり者の有利ちゃんもやっぱり小学生なんだなと思うと微笑ましく感じられた。
「おばぁ、今日は楽しかったよ。小学生時代を思い出したよ。懐かしくてそれからあの頃は幸せだったな~って思った。また来るね」
香さんは駄菓子入りの紙袋を受け取りにっこりと笑った。
「香ちゃん。小学生時代も幸せだったと思うけど香ちゃんは若いんだからまだまだこれからさね。おばぁなんてこんな年寄りだけど夢を見つけたよ」
おばぁは胸を張りニコニコと笑った。
「そっか、そうだよね。わたしは、まだ二十歳だもんね。おばぁ、夢を見つけたの? 凄いね。わたしおばぁに負けないように生きなきゃね」
「香ちゃん、そうだよ。人生は辛いことも悲しいこともあるけれどやっぱり生きていると楽しいこともあるさね。それが今日だよ」
おばぁはにっこり笑い香さんの顔を見てそれから視線をわたし達の方に向けた。
「ありがとう。ちんすこう作り体験を開催できて本当に良かったよ。これからこの駄菓子屋を経営しながら若い人達にお菓子作りを教えたいなという夢ができたよ」
そう言ったおばぁの笑顔はとても若々しく見えた。夢を叶えることに年齢なんて関係ないとそう思わせるような輝いた笑顔だった。
「こちらこそありがとうございます。おばぁの太陽のようにキラキラと輝く笑顔を見ることができて良かったです。わたしも頑張らなきゃなと思いました」
「うふふ、愛可さん、ありがとう。おばぁはやる気満々になってきたさね!」
おばぁはうふふと笑い紫色の割烹着の袖を捲った。
「おばぁ、紫色の割烹着が似合っていますよ。これからもその割烹着を着て元気に頑張ってくださいね」
美川さんが胸の前で拳を握る。
「あはは、この割烹着も大切にするさね。ありがとう美川さん。割烹着を着る度におばぁは元気になれるかもさね」
おばぁは満面の笑みを浮かべた。
キラキラ輝くおばぁの笑顔と笑顔はぎこちないけれどきっと心の中は笑っているであろう美川さんを眺めていると元気になれた。
今日は幸せが溢れた日なのだ。
そして、「ほのかちゃんもありがとうさね」と言って、おばぁがほのかおばぁに駄菓子入りの紙袋を渡した。
「こちらこそありがとう。わたしもなんだか若返った気分になったよ」
「二人であと百年生きて妖怪になろうよ」
「妖怪にか……それも良いかもさね」
ほのかおばぁはおばぁから駄菓子入りの紙袋を受け取りワハハと豪快に笑った。
そんなおばぁ達のやり取りを眺めていると微笑ましい気持ちになった。わたしもいつかおばぁになった時に一緒に笑い合える友達がいるといいなと思った。
そんなことを考えていると、
「あ~ 間に合わなかった~」と言いながら栗さんが店に入ってきた。
「あら、栗ちゃん今頃来たのかい?」
「うん、ちょっと仕事が入ってしまってね」
「そうかい。それなら仕方がないね」
「うん、今度参加させてね。あ、美川さんに幸川さんとそれからきらりちゃんこんにちは」
栗さんはわたし達にそう言ってニコニコと微笑みかけた。
わたし達は「こんにちは~」と挨拶をした。
栗さんはほのかおばぁとにこやかに話をしているおばぁをちらりと見て、それからわたし達に視線を向けた。
「うちのおばぁを元気にして頂きありがとうございます」
栗さんはにっこりと笑いぺこりと頭を下げた。
「いえいえ、おばぁは自分自身の夢を思い出したんですよ。俺達がおばぁの背中を押せたのであれば嬉しいですよ」
美川さんはそう言って栗さんの顔を見てそれからわたしの顔に視線を移し、「ねっ、愛可さん」と言った。
「はい、そうですよ。おばぁ自身の好きなことを思い出したんですよ」
わたしは、美川さんと栗さんの顔を交互に見てニコニコと笑った。
「うふふ、ありがとうございます。美川さんに頼んで良かったですよ。そして、優秀と噂の幸川がいらっしゃるんですもんね!」
「いえいえ、どういたしまして」
ちょっと待ってくださいよ。話が見えませんがどういうことなのでしょうか……。
「あれ? 愛可さんどうかしましたか?」
美川さんはそう言って首を傾げているのだけど首を傾げたいのはわたしの方ではないか。
「二人はお知り合いだったんですか?」
わたしがそう聞くと、
「わたしが幸せの運び屋さんにおばぁを元気にしてくださいと頼んだんですよ。幸川さんは美川さんから聞いていなかったんですね」と栗さんが言った。
「……そうだったんですか? 知らなかったですよ」
「あらあらそうなんですね」
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