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「みんなでちんすこうを作りましょう。そして、この駄菓子屋さんで販売するのはどうですか? それとか近所の子供達を呼んでちんすこう作りを体験してもらうと楽しいかもしれませんよ」
わたしは、みんなの笑顔を思い浮かべながら言った。
「……そ、そうだね! 楽しそうだね。お嬢ちゃん愉快なことを思いつくな。それもいいかもしれないね。だけど子供達は来てくれるかな?」
「チラシでも作ると良いかもですよ」
「ほぅ。チラシかね」
「そうですよ。おばぁ、俺がチラシ作ってあげますよ」
美川さんはそう言って睨んだのではなく笑ったのかな。
「わたしもちんすこう作りに参加したいな」
きらりちゃんもにっこりと笑った。
「うふふ、おばぁ良かったね。皆さんありがとうございます」
栗さんはにっこりと微笑みぺこりと頭を下げた。
こうしてわたし達はおばぁと栗さんの思い出の味でもあるちんすこう作りをすることになったのだ。
ーーー
「ちんすこう作りが楽しみですよね」
おばぁのお店『おばあちゃんのお菓子屋』からの帰り道を歩きながらわたしは言った。
「そうですね。俺も楽しみだな。作るのも楽しみだけどやっぱり食べるのが楽しみですよ」
「あはは、そうですね。わたしは料理が苦手ですけど美川さんは得意なのに」
「まあ、そうだけど、手作りちんすこうを想像するとほっぺたが落っこちそうなんですよ」
そう言った美川さんの顔は食べる前からふにゃーふにゃーとなっている。あのですね美川さん食べるのも作るのも今からじゃないんですよ。
「美川さんの顔ってば変な顔~」
きらりちゃんが美川さんの顔を指差して笑った。
「きらりちゃん、指差して笑うなんて酷いじゃないか」
「だって、ふにゃーふにゃー顔で面白くて笑えるんだもん。あ、わたしもちんすこう楽しみだな」
きらりちゃんはニヒヒと笑った。
「まあ良くないがいいや。そうだ、おばぁに紫色の割烹着をプレゼントしてあげなきゃな」
「あの……美川さん、おばぁに紫色の割烹着をプレゼントするんですか?」
わたしの質問に美川さんは真顔で「もちろんですが何か?」と言った。
「あはは、そうなんですか?」
わたしはおばぁが紫色の割烹着を着ている姿を想像し可笑しくなり笑ってしまった。
「愛可さん、紫色の割烹着は我が『幸せの運び屋』のユニフォームなんですからね」
「……はい? ユニフォームですか?」
「はい、ユニフォームですよ」
「……意味が分かりませんけれど、それにおばぁは『幸せの運び屋』と関係ないじゃないですか」
「まあおばぁはそうかもしれませんが……俺達がちんすこう作りのお手伝いをするのですから仲間ですよ」
美川さんはそう言って口の端を上げてニヤリと笑った。
これはなんだか嫌な予感がするけれど考えたくない。
「愛可さん頭を抱えてどうしましたか?」
「……いえ、何でもありませんよ」
わたしは頭を抱えながら答えた。
「そうですか。では俺達も紫色の割烹着を着ましょうね」
「えっ!? 俺達とは美川さんがですよね?」
「いいえ、俺もですけど俺達ですよ」
この続きは耳を塞ぎたい。絶対に聞きたくない。
わたしは、みんなの笑顔を思い浮かべながら言った。
「……そ、そうだね! 楽しそうだね。お嬢ちゃん愉快なことを思いつくな。それもいいかもしれないね。だけど子供達は来てくれるかな?」
「チラシでも作ると良いかもですよ」
「ほぅ。チラシかね」
「そうですよ。おばぁ、俺がチラシ作ってあげますよ」
美川さんはそう言って睨んだのではなく笑ったのかな。
「わたしもちんすこう作りに参加したいな」
きらりちゃんもにっこりと笑った。
「うふふ、おばぁ良かったね。皆さんありがとうございます」
栗さんはにっこりと微笑みぺこりと頭を下げた。
こうしてわたし達はおばぁと栗さんの思い出の味でもあるちんすこう作りをすることになったのだ。
ーーー
「ちんすこう作りが楽しみですよね」
おばぁのお店『おばあちゃんのお菓子屋』からの帰り道を歩きながらわたしは言った。
「そうですね。俺も楽しみだな。作るのも楽しみだけどやっぱり食べるのが楽しみですよ」
「あはは、そうですね。わたしは料理が苦手ですけど美川さんは得意なのに」
「まあ、そうだけど、手作りちんすこうを想像するとほっぺたが落っこちそうなんですよ」
そう言った美川さんの顔は食べる前からふにゃーふにゃーとなっている。あのですね美川さん食べるのも作るのも今からじゃないんですよ。
「美川さんの顔ってば変な顔~」
きらりちゃんが美川さんの顔を指差して笑った。
「きらりちゃん、指差して笑うなんて酷いじゃないか」
「だって、ふにゃーふにゃー顔で面白くて笑えるんだもん。あ、わたしもちんすこう楽しみだな」
きらりちゃんはニヒヒと笑った。
「まあ良くないがいいや。そうだ、おばぁに紫色の割烹着をプレゼントしてあげなきゃな」
「あの……美川さん、おばぁに紫色の割烹着をプレゼントするんですか?」
わたしの質問に美川さんは真顔で「もちろんですが何か?」と言った。
「あはは、そうなんですか?」
わたしはおばぁが紫色の割烹着を着ている姿を想像し可笑しくなり笑ってしまった。
「愛可さん、紫色の割烹着は我が『幸せの運び屋』のユニフォームなんですからね」
「……はい? ユニフォームですか?」
「はい、ユニフォームですよ」
「……意味が分かりませんけれど、それにおばぁは『幸せの運び屋』と関係ないじゃないですか」
「まあおばぁはそうかもしれませんが……俺達がちんすこう作りのお手伝いをするのですから仲間ですよ」
美川さんはそう言って口の端を上げてニヤリと笑った。
これはなんだか嫌な予感がするけれど考えたくない。
「愛可さん頭を抱えてどうしましたか?」
「……いえ、何でもありませんよ」
わたしは頭を抱えながら答えた。
「そうですか。では俺達も紫色の割烹着を着ましょうね」
「えっ!? 俺達とは美川さんがですよね?」
「いいえ、俺もですけど俺達ですよ」
この続きは耳を塞ぎたい。絶対に聞きたくない。
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