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きらりちゃんと雑貨屋
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きらりちゃんに追いついたわたしと美川さんは、日用品から食べ物まで扱っている雑貨屋『沖縄の楽しい世界へめんそ~れ』の前に立っている。
「きらりちゃんはお買い物でしょうか?」
「そうみたいですね。あ、きらりちゃんがお店の中に入りましたよ。俺達もちょこっと覗きましょう」
「でもきらりちゃんに見つかるとまた何か言われそうですよ」
「いいじゃないですか。だって、ここはお店なんだから、何か言われたらやあって挨拶をすればいいんですよ」
自動ドア開きお店の中にさっさと入る美川さん。わたしもその後に続いて中に入る。やれやれだ。
お店の中は外の暑さが嘘のようにひんやりしているので汗がスッと引いた。そして、それほど広くはない店内を見渡すとシーサー(沖縄の守り神)の置物や文房具、時計や日用品や食料品などが棚に並べられていた。
きらりちゃんは何処にいるのかな?
店内をもう一度見渡すときらりちゃんは沖縄そばコーナーの前に立っていた。
どうして食券と書かれた沖縄そばの券売機の前にいるのかなと不思議に思った。だって、きらりちゃんの家は食堂なんだし沖縄そばはメニューにあってわたしもそれを食べたのだから。
そんなことを考えながらきらりちゃんをじっと眺めていると、きらりちゃんは券売機のボタンを押して食券を買った。
「おばぁ! 沖縄そばをくださ~い!」
きらりちゃんは店の奥に向かい注文をした。
「おや、きらりちゃんじゃないかい」
店の奥から少し腰の曲がったおばぁが出てきた。
「さあ、俺達も注文しましょうか」
「えっ? 俺達も注文しましょうかってさっき沖縄そばを食べましたよね」
「いいじゃないですか。俺達は食いしん坊ですもんね」
「……俺達って」
「愛可さんは食いしん坊じゃないんですか?」
「く、食いしん坊ですけど」
「ならば、レッツゴーですよ」
美川さんは笑っているのか怒っているのか分からない表情を浮かべながらそう言ったかと思うと券売機の方にさっさと歩き出したではないか。
わたしは困ったなと思いながら美川さんの後を追いかけた。
飲食コーナーは雑貨屋の一角にあり木製の四人掛けのテーブル席が一つと二人掛けのテーブル席が一つにカウンター席が三席ある。
きらりちゃんは四人掛けのテーブル席に座りピンク色の手提げカバンからノートと筆記具を取り出していた。
美川さんは券売機で沖縄そばの食券を買っている。狭い飲食コーナーなのだからきらりちゃんに気づかれるのが目に見えているのになと思いわたしは溜め息をついた。
そんなわたしの気も知らない美川さんはふんふんと鼻歌を歌いながらおばぁに食券を渡している。
わたしは二人掛けのテーブル席に座ろうと歩き出したのだけど……。
まさかのことが起こったのだ。
それは……。なんと美川さんは信じられないことにきらりちゃんの目の前の席に座ったのだった。
どうしてきらりちゃんの目の前に座るのよとわたしは叫びたくなってしまった。
「あの……他の席も空いているんだけど」
きらりちゃんのそれはもう氷のように冷たい声が聞こえてきた。
ほらやっぱりだ。それに美川さん……小学生の女の子の目の前に座ってなんだか怪しげなんですが。
「きらりちゃんはお買い物でしょうか?」
「そうみたいですね。あ、きらりちゃんがお店の中に入りましたよ。俺達もちょこっと覗きましょう」
「でもきらりちゃんに見つかるとまた何か言われそうですよ」
「いいじゃないですか。だって、ここはお店なんだから、何か言われたらやあって挨拶をすればいいんですよ」
自動ドア開きお店の中にさっさと入る美川さん。わたしもその後に続いて中に入る。やれやれだ。
お店の中は外の暑さが嘘のようにひんやりしているので汗がスッと引いた。そして、それほど広くはない店内を見渡すとシーサー(沖縄の守り神)の置物や文房具、時計や日用品や食料品などが棚に並べられていた。
きらりちゃんは何処にいるのかな?
店内をもう一度見渡すときらりちゃんは沖縄そばコーナーの前に立っていた。
どうして食券と書かれた沖縄そばの券売機の前にいるのかなと不思議に思った。だって、きらりちゃんの家は食堂なんだし沖縄そばはメニューにあってわたしもそれを食べたのだから。
そんなことを考えながらきらりちゃんをじっと眺めていると、きらりちゃんは券売機のボタンを押して食券を買った。
「おばぁ! 沖縄そばをくださ~い!」
きらりちゃんは店の奥に向かい注文をした。
「おや、きらりちゃんじゃないかい」
店の奥から少し腰の曲がったおばぁが出てきた。
「さあ、俺達も注文しましょうか」
「えっ? 俺達も注文しましょうかってさっき沖縄そばを食べましたよね」
「いいじゃないですか。俺達は食いしん坊ですもんね」
「……俺達って」
「愛可さんは食いしん坊じゃないんですか?」
「く、食いしん坊ですけど」
「ならば、レッツゴーですよ」
美川さんは笑っているのか怒っているのか分からない表情を浮かべながらそう言ったかと思うと券売機の方にさっさと歩き出したではないか。
わたしは困ったなと思いながら美川さんの後を追いかけた。
飲食コーナーは雑貨屋の一角にあり木製の四人掛けのテーブル席が一つと二人掛けのテーブル席が一つにカウンター席が三席ある。
きらりちゃんは四人掛けのテーブル席に座りピンク色の手提げカバンからノートと筆記具を取り出していた。
美川さんは券売機で沖縄そばの食券を買っている。狭い飲食コーナーなのだからきらりちゃんに気づかれるのが目に見えているのになと思いわたしは溜め息をついた。
そんなわたしの気も知らない美川さんはふんふんと鼻歌を歌いながらおばぁに食券を渡している。
わたしは二人掛けのテーブル席に座ろうと歩き出したのだけど……。
まさかのことが起こったのだ。
それは……。なんと美川さんは信じられないことにきらりちゃんの目の前の席に座ったのだった。
どうしてきらりちゃんの目の前に座るのよとわたしは叫びたくなってしまった。
「あの……他の席も空いているんだけど」
きらりちゃんのそれはもう氷のように冷たい声が聞こえてきた。
ほらやっぱりだ。それに美川さん……小学生の女の子の目の前に座ってなんだか怪しげなんですが。
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