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愛可の仕事
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「それはもちろん愛可さんのお仕事の話ですよ」
「はい? わたしの仕事の話ですか? それってまさか……」
なんだか嫌な予感がしてきた。聞きたくなくて耳を塞ぎたい。
それなのに美川さんは話を続ける。
「はい。そのまさかかもしれませんね。沖縄そばを笑顔で食べてオーナーの斎川さんと気難し屋のきらりちゃんを笑顔にさせてあげてくださいね」
美川さんはニカッと笑った。
「……なんだか話が違うような気もするんですが」
「そうですか? 愛可さんのご飯を幸せそうに食べるその姿できらりちゃんも笑顔にさせてあげてください」
「どうやってですか?」
「それは愛可さんの腕次第ですね」
美川さんは勝手なことを言って沖縄そばの残りを食べた。その顔は幸せそのものだった。
わたしも沖縄そばに箸を伸ばした。今は余計なことを考えないでこの沖縄そばを味わおう。
わたしはニコニコと微笑みを浮かべ沖縄そばを食べた。
「おまたせしました~ちんすこうをお持ちしました」
わたしと美川さんの目の前にお皿に盛られたちんすこうとグラスに注がれたさんぴん茶が置かれた。
「わっ、美味しそうですね。ありがとうございます」
「ちんすこう俺好きなんですよ。ありがとうございます」
「うふふ、どうぞ食べてくださいね。プレーン味とパイン味にそれから黒糖味ですよ」
斎川さんはそう言ってにっこりと微笑みを浮かべた。
ちんすこうは沖縄県の伝統的なお菓子で小麦粉と砂糖にラードを主原料とした焼き菓子なのだ。観光客のお土産としても人気がある。
「いただきま~す」
「いただきま~す」
わたしと美川さんは手を合わせた。そして、ちんすこうに手を伸ばして口に運んだ。
まずは、プレーン味のちんすこうから食べた。サクサクとしていて素朴な味が口の中に広がった。この素朴感これがまた良いのだ。
美川さんはパイナップル味のちんすこうを食べている。またまた幸せを噛み締めるかのように食べている。
そんな美川さんを見ているとわたしも幸せな気持ちになる。だけど、美川さんはどうしてきらりちゃんをその笑顔で幸せな気持ちさせてあげないのだろうか?
まあ、食べていない時の顔が怖いからね。
わたしはうん、そうだと納得してさんぴん茶を飲んだ。
「はい? わたしの仕事の話ですか? それってまさか……」
なんだか嫌な予感がしてきた。聞きたくなくて耳を塞ぎたい。
それなのに美川さんは話を続ける。
「はい。そのまさかかもしれませんね。沖縄そばを笑顔で食べてオーナーの斎川さんと気難し屋のきらりちゃんを笑顔にさせてあげてくださいね」
美川さんはニカッと笑った。
「……なんだか話が違うような気もするんですが」
「そうですか? 愛可さんのご飯を幸せそうに食べるその姿できらりちゃんも笑顔にさせてあげてください」
「どうやってですか?」
「それは愛可さんの腕次第ですね」
美川さんは勝手なことを言って沖縄そばの残りを食べた。その顔は幸せそのものだった。
わたしも沖縄そばに箸を伸ばした。今は余計なことを考えないでこの沖縄そばを味わおう。
わたしはニコニコと微笑みを浮かべ沖縄そばを食べた。
「おまたせしました~ちんすこうをお持ちしました」
わたしと美川さんの目の前にお皿に盛られたちんすこうとグラスに注がれたさんぴん茶が置かれた。
「わっ、美味しそうですね。ありがとうございます」
「ちんすこう俺好きなんですよ。ありがとうございます」
「うふふ、どうぞ食べてくださいね。プレーン味とパイン味にそれから黒糖味ですよ」
斎川さんはそう言ってにっこりと微笑みを浮かべた。
ちんすこうは沖縄県の伝統的なお菓子で小麦粉と砂糖にラードを主原料とした焼き菓子なのだ。観光客のお土産としても人気がある。
「いただきま~す」
「いただきま~す」
わたしと美川さんは手を合わせた。そして、ちんすこうに手を伸ばして口に運んだ。
まずは、プレーン味のちんすこうから食べた。サクサクとしていて素朴な味が口の中に広がった。この素朴感これがまた良いのだ。
美川さんはパイナップル味のちんすこうを食べている。またまた幸せを噛み締めるかのように食べている。
そんな美川さんを見ているとわたしも幸せな気持ちになる。だけど、美川さんはどうしてきらりちゃんをその笑顔で幸せな気持ちさせてあげないのだろうか?
まあ、食べていない時の顔が怖いからね。
わたしはうん、そうだと納得してさんぴん茶を飲んだ。
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