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トマト尽くしですよ
しおりを挟むわたしの目の前に真っ赤な色のミネストローネスープが置かれた。それはもう見ただけで美味しいと分かるそんな感じなのだ。
「うふふ、美味しそう」とわたしが呟いたその時、にょきにょきと目の前にお皿が出てきて置かれた。
「トマトパスタだ」
そう言ったのはケンだった。
「えっ! ケン?」
「このトマトパスタ美味しいぞ。食べろよ」
「あ、うん。ありがとう」
どうしてケンが料理を運んできたのかなと不思議だったけれどきっと、シロッコちゃんのお手伝いをしているんだろうなケンってば口は悪いけれど偉いではないかと思った。
「わ~い! トマトパスタだにゃん~ミケにゃんこれ大好きにゃんだ~」
ミケにゃんは言いながら手掴みでトマトパスタを食べた。
「おい、ミケにゃん! 手掴みで食べるなと言っただろう」
「あ、うん。分かったにゃん」
ミケにゃんは肉球のある可愛らしい手でフォークをむぎゅと掴みトマトパスタを口に運んだ。
「うん、めちゃくちゃ美味しいにゃん」
浮かべたミケにゃんの笑顔はとても可愛らしいのだけど、これはもうお決まりなのか口の周りにトマトソースをべったりとくっつけていたのだった。
「ミケにゃん、口の周りが真っ赤になっているぞ、拭けよ」
ケンがそう言いながらおしぼりをミケにゃんに渡した。そして、わたしの顔をちらっと見て手伝うなよと言った。
ケンの奴はミケにゃんに厳しいのだから。相手は子猫なんだからもっと優しくしてあげたらいいのになと思った。
「トマトサラダも美味しいよ」
にゃははと笑いながらシロッコがわたしの目の前にトマトサラダを盛り付けたサラダボウルをどーんと置いた。
テーブルの上は真っ赤なトマト色に染まった。ってトマト尽くしではないか。トマトは大好きだから嬉しいけれど。
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